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第1章10話【多色地域】-致命的な欠陥-



 目を瞑り脳をすすう感覚に襲われる。



 考えが甘かった。


 そう言わざる得ないだろう。



 何軒も何軒も戸を開く。

 その全てに首を振られ、流れ着いた先。



「問題はない。まだ…。」



 本命と言っても良い。壁の影に隠れ、近くの大型ホテルに身を潜める小さな箱家。

 その場所はプレスト自治区3-Cに位置し、3-Dとの殆ど沿い部分、中間を担っている。


 プレスト自治区3-Dに向かったがイミヤ達がいなかった。そこでようやくヘクタは頭の隅にいた突っ掛かりを思案する。



 なぜ私に向けらた諜報員の練度が低かったのか、それが常に疑問だった。確かに国内での乱戦による緊急時のため、優秀な人材が不足しているであろう。しかし、都市部に限ってその訳はないのだ。

 当たり前だ。都市を落とされれば、プレスト州知事の全てが無に()されるから。


 つまり、他に、ヘクタより優先度が高い物があった。そしてそれは何なのか。



 身体にあたる熱風。絶えぬ延焼。


 欠けたガラス片。


 

 決まっているイミヤ達だ。言わばワーマナの主戦力に位置する彼女ら。ここで落とすことが出来るのであればサタブラッドに取って都合の良い。むしろ良過ぎる結果となる。



「くそっ。遅過ぎた。」



 額に張り付く汗、張り付く服。それらを一切忘れさせるこの焼き爛れた光景。


 音が店内に備えられた静音機により籠る性質と変化した為か、辺りにはそれ程この状況が伝播しているわけではなかった。その状況が唯一の救いでもあり、騒ぎにはなっていない。しかし、確実に災害センターに連絡が入っている。その情報から一般人から薄い関係者まで伝わる。



 この惨状を目撃してから早15秒。この騒動もつい先程と考えると…。瞬の事、足を切り返し、チを蹴り石を這う勢いで走り出す。



「次に行くところは……。いや、」



 思考が纏まらない。



 あぁ本当に駄目だ。永い時、守りに注力していたせいで考えが甘くなっていた。(いち)、駒としていられた日々に後悔はない。が…





 こうなっては現状できることは少ない。イミヤ達が三日後プレスト州知事と交渉することを前提として立場を立て直す。



「後手に回るは不愉快だが致し方ない。イミヤ達と合流できるのは、早くて半日、遅くても二日だ。それまでにサタブラッドの対応を検討するしかない。」



 連絡を取り合いたいところではあるが、この都市の連絡網は全て有線であり、無線は使用できない。無線を使用すれば国家提携無線を外れ確実に浮き彫りに出る。かといって有線を使用しようにも当然のように内容はプログラムにより監視されており、暗号データなど無意味だ。



「無事を祈ることしかできないとはな………」



 ギュッと背中の感触が強くなった気がした。





 



↑↑↑









「イミヤちゃーん。そんなにあいつの事気にしてても変わんないよ~。」



 検問を超え、異国の地、高い門を潜った先、見えるものは変わらず友の顔。



「いえ、、私は…。」


「いいっていいって。そんなに硬くならなくても。だいじょーぶ。もう少しでワーマナに戻れるよ。そうでしょ?」


「リーダー。揶揄(からか)われているだけ。それと姐さんは短絡的。」


「仲がいいんだねぇ。うらやましくなっちゃうよね。」



 懐かしむように目を細め遠くを眺めていたミスリアが、イミヤに振り返り長い耳を反らせる。



「そりゃ付き合いが長いからねぇ。それに一緒に働く()()でもあるんだから。」


「部署で逢ったのは一年前…。割と最近。」



 苦笑いするイミヤにケチと拗ねるヴァルエ。インディゴはそんな様子気にもしていないようだ。目を瞑りそっぽを向く。



「それでどうしますかミスリアさん?アレカサンドゥリアには着いた訳ですけれど。」


「着いたから、はいさよならってのはちょっと悲しくない?最後位良い恰好させてよ~。いい店知ってるからさ。ねっ?」



 そう言って先頭にトットと腕を横に広げ抜け出した。その笑顔は、小さな体格から想像通りの美しいものだった。

のんびり投稿することにしました。月曜更新は流石に変えたくはないと思いつつ今日もぎりぎり……


来週…いや今週か、今回の章全体的に見直すかも

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