第0章23話【存在価値】-限られた選択-
忘れた人用
世界調和管理組織(GHM)
イミヤたちは↑の第一艦ワーマナに所属
それと前回の締め後半部分気に入らなかったので、数十文字程度修正しました。
風が失せ、まるで何かを待つように、空気が止まった。
「もうやめてください!!!!!」
目の前には幼きも奮う少女が。彼女、イミヤの姿があった。
砂が意志を持つように舞い散り、自然と潰える。それが意味することは……
「ーー今更何のつもりかしら?」
苛立ちを隠せないほどにノウンは声を低く唸るように問う。
「私は……あなたも救いたい。」
彼女が何を言っているのか。ノウンは内容を噛み砕くことができず、呆気に取られる。ーーそして、その答えに青く燃ゆるような静かな怒りが沸き…。
「救う?馬鹿言わないでちょうだい。そんな言葉を言われる筋合いはないし、私はあなたのことが嫌い。わざわざそんなことを言うために、邪魔をしたってこと?」
「ーーそうです。私はあなたが辛そうに見えたんです。だから…私はあなたにも手を差し伸べなければならない。そう思いました。」
その答えに異議を立てるもう一人、当事者である彼女も黙ってはいなかった。
「ちょっと、正気なの!?イミヤちゃん。こんな奴を生かすなんて。絶対にありえない。」
そうヴァルエは手を大にして抗議した。パリパリと紅い焔の線が拒絶するかのように乱雑と散る。こう表現したものの、ヴァルエはその言葉が届きようのないことを薄々肌で感じ取っていた。いや、取れてしまったのだ。思わずに筋が引き締まる。なぜならーー
あの水球のように輝き、底の見えない暗明を持つ彼女の目は本物なんだと。振り返ったイミヤはそう告げていた。
「……はい。私は正気ですよ。ヴァルエさん。確かに納得できないかもしれません。けれど、私はノウンさんをこの終わらない沼地から引き上げるべきだと考えたんです。」
「……。」
それ以上ヴァルエは口を挟む事はしなかった。挟む気にはなれなかった。それが呆れなのか諦めなのか甘さなのか私にはわからない。
「ちょっと。勝手に話を進めないで。私は嫌。死んでもごめんだわ。」
「ーーあなたはサタブラッドに居るべき人じゃない。ノウンさん。あなたの居場所は別にある。」
火に油を注ぐような行為だ。それでも彼女ははっきりと発音することをやめることはない。たとえ喉が焼き消えようが、その思いは繋がるから…。
「ふざけてるの?私の居場所は私が決める。まだまだ青い小娘ちゃんに言われる筋合いはないわ。そもそも、GHMは個人の自由を認めている筈よ。他人に縛られることなんて書面上ない。」
「確かにその通りです。ですが、その当たり前の書面ですら守れていないのが今の世なんです。だから私が変えていきたい。こんな無意味な争いを。」
「ふっ。笑わせないでよ。そんな世界はもうどこにも、これからも存在しないわ。会話だけじゃ駄目なのよ。アーテルで判らせなければならない。」
「そんな事はありません。これからの事は私たちが決めるんです。今まで無意味な血を、享受された生を流し過ぎたんです。」
胸に秘めたる思いとでも言うのだろうか。左手を当て、心の内を聞くかのように、右手を空に斬らせ、広げる。必死に問いかけるように。
「あははっ。あなた面白いこと言うのね。無意味?それは違うわ。小娘ちゃん。今の貴方にはまだ分からないでしょうね。今世は想像するよりも、根が深い。いくら小娘ちゃんが表層を取り除こうが結果は変わらない。結論は出てるのよ。全てが潰えるまで、この争いは続くわ。きっとね。」
「ノウンさん私はあなたを救いたい。そう言ったんです。私は組織を……。」
「まだ分からないの?」
聞き分けのないイミヤに諭すように言葉という刃をジクジクと痛めつけるように告げる。
「手順を間違えてるのよ。たかが私1人を変えたところで、結果は目に見えてるわ。そう、何も変わらない。薄々気付いてるんでしょ?あなたは間違えた。物事ってものはね、細かな部分を変えたところで意味をなさないわ。そこらに転がってる機械じゃないのよ?元を正さなきゃいけないわ。ここまで言っても分からないって事は無いわよね?」
「細かなものを積み重ねればいずれ大きなものとして機能します。機械はどれも人が作り出したもの。その細かな部分を変えるのは人です。そしてその意識こそ私が直す機会を与えてほしいものです。」
「いずれ?そんな悠長にゴッコ遊びをしている暇はないのよ。今も尽き逝く灯があるわ。それは細かなもの。あなた達にその全てが救えるとでも?何様のつもり?」
「ッッ……。。。」
その言葉になす術はなかった。いや、なす術などないのだ。初めから運命は決まっている。そう言われるほどに、抱え込むには大きすぎるものなのだ。
「ーーそうです。その道筋を立てることができない。導いてあげることができないのが今の私達です。ですが今一つだけでも、できることはしたい。だからノウンさん。私はあなたに願います。罪を償い私たちと戦って欲しいと。」
そう祈ることしかできない私は、なんて矮小なんだと、それ以上考えたくはなかった。蚊帳の外に放り出され、冷たくて悲しくて惨めな思いはもう嫌だから。
「本当に諦めが悪いのね。その罪を償うってのは、小娘ちゃんは何だと思っているわけ?罪を築き、罪を裁くのは司法?違う。人。根本から矛盾しているのよ。罪を生み出すも人。裁くも人。処すのも人。罪滅ぼしなんて言うけどね?結局は自分の為。そこに他人なんてありゃしないわ。その殆どが私事なのよ?残念ながらね。なぜ法廷に立つ事を、さも必然の様に選択するの?私はそんな分かりきったおままごとをするつもりなんてないわ。」
そしてノウンは「でもね……」と優しく諭すように言葉を続ける。結末を知っているかのように、嘲嗤うかのように。
「小娘ちゃん。一ついいことを教えてあげる。私達強きアーテルを持つものはね。独りじゃ何にもできない。生きることですらね。そして、死に場所すらも選べない。私達は死のうとしたってそう簡単には死ねないの。どう足掻こうとも1人では死ねない。」
「刺突や絞首、溺水。色々あるけどどーれぇも死ねない。私達は自身を傷つけることはできない。アーテルがそれを許さない。たとえ呼吸が塞がれたとしても、辺りのアーテルを吸収し生き続けるわ。」
何故突然ノウンさんがこんな話をするのか私には理解できない。疑問が解消されることはなくヌメ付いた油のように引き延ばされる。
「何を言ってるんですか?例え溺れて呼吸が出来ないとするんでしたら私たちは死にます。当たり前です。死ぬんです。」
イミヤの顔は少し沈み、その瞳には年不相応の深さがあった。
それでもノウンは嗤う。嗤い続ける。不自然な程頬を引き攣らせながら。
「溺死?できるわけないじゃない。いつ死ねるかもわからない。息ができないっていう生存本能に縛られる所為で永遠にも感じるほどの苦しみを味わい続ける。やがて気が狂い始め、『生きたい』と切実に願うようになってしまうものよ。アーテルが自身の死を拒絶するの。…どう?少しは理解したかしら?私達は独りじゃ何もできないのよ。他人と仲良く享受し合えるのは、土臭い闇の中。ただそれだけよ。」
その言葉は空に地に吸われているかのようだった。
またいつの日か修正します。話の流れが纏まってないし…。体調悪いので今日はこの辺で寝ようかな。ぽやしみ~(明日の俺が何とかするさ)




