第0章21話【表裏多体】-永遠の宿敵-Ⅰ
自然と毛が逆立つのがわかった。
ツンと鼻を劈く程の異臭が、喉を緩やかに通過する。
形崩れる岩。燃え盛る炎。消えない悲鳴。
誰がどう見たとしても眼を当てられないほどの惨状だった。
ヴァルエは思わず手を握る。握りしめる。けれど、視線を外すことはしない。私が招いた結果でもあるから。
わかっていたことだ。威力もさながら確実に人を殺すための技術。生きているなんて生易しい兵器でもない。全てを終わらせる。
粉塵の中、捲る煙。
陽の光に照らされ、その全容が見えようと……
「はぁ。ほんとやってくれたわね。」
黒く濃い声が脳に響く。
じわりじわりと近づく大きな影。不自然なほど細かく舞う砂塵の中、姿を現す者がいた。
嫌な信頼だった。こんな事で奴が死ぬはずがない。期待した。してしまった。こんな呆気ない終わりなんて許さないと。
「お互い様でしょ?」
そんな不確かな問いに、ノウンはただ嗤うだけだった。
「そんなに死にたいなら私が殺してあげるっ!!!」
開始の合図なんていう高貴なものは存在しない。間髪を入れることなく気付けば始まっていた。
ヴァルエは紅蓮に染まる炎を圧して圧して圧しまくる。その限界まで圧した炎をチャージした銃を放つように飛ばした。
その放たれた火花は、ノウン目掛けて…
「わぁーお。すごいすごい。」
辺りに轟音が鳴り響く。その炎は周囲のものを苦ともせず、溶かし尽くす。
すまじい熱風により揺れる揺れる。
「だったらこれはどう!!!」
地を蹴り、空を切り、ノウンに急速に接近する。眼前に迫ったノウンに対抗心を燃やすような笑顔で返す。
切り札なんてそんな悠長なことが許される世界じゃない。だから…
それは大きな大きな流れるような紅いアーテルで……自壊させた
衝撃が骨身に響き渡る。キーンとした耳鳴り音が鳴り、目の前が真っ白になる。体の表面に当たる感触はおそらく地面だ。すさまじい音のせいで耳がしばらく言う事を聞きそうにない。そんな状態でも意識を保つことだけを考え続けた。唇を噛み、歯を軋ませ何とか持ちこたえる。
自殺行為とも取れるほど限界にまで膨れ上がったアーテルは弾け、確実にダメージを与える。与えたはず。
敵を確認するためだけに、うつ伏せのまま顔を上げ、視界を無理矢理にでも取り戻す。ぼやける視界の中、必死に奴を探すことに注力した。
「ははっ。危ないわねぇ〜。死にかけちゃった。」
滴る手を大きく広げたまま奴、ノウンが何かを言っている。それが何かは聞くまでもなく、ただの戯言だと切り捨てた。
「…。そっかぁ。聞こえないもんねぇ。ならお返しはあなたの肉体でってね。」
悪寒が走った。この場所にいてはいけない。うつ伏せの体を四足獣のように起こし、手と足全てを使い左横に飛んだ。
元いた場所は深く抉れ、塵芥ですら吹き飛ばす。
そんな事を確認する暇もなく、次々に白爆発は繰り返される。
左手を使い、身体を支え、飛んで跳ねてを繰り返し、躱す。上下など存在せず、まるで地が味方をするように、避ける。
だが、そんな無茶な動きには限界が必ず来る。
一度距離を取ろうにも、四方八方いつ来るかも分からないアーテルを気にしながらなんて器用なこと私にはできない。
奴のアーテルが掠るたびに呼吸が乱れる。廃れた空気が、喉を焼き、肺をひたすら圧迫する。
足りない。何もかも足りない。
とってっとっと軽い身体を宙に浮かし、右足を綺麗に着地させた。が、と同時に頭が真っ白になった。
「ッッ!?」
激痛が神経一つ一つを過剰に反応させ、大腿部を大きく痙攣させる。
奴のアーテルには当たってないはず。意味がわからない。
視界の端に映るコンクリートには紅い体液が散っていた。先日治したばかりの刺し傷が開いたのだ。大腿部に巻かれた包帯は黒く変色し、浸食が進み滲む。
まずい。誰がどう見たって今の状況、ヴァルエにとって悪過ぎた。
こんな所で息潰えたくない。そんな訳にはいかない。貪欲に生きる為に睨み続ける。生存本能だろうか。私の目に映る奴は、やけにゆっくりと動いていた。
けれど、思いを通じ合うことなんてある訳なく。ノウンが左手を大きく掲げて………。
一閃、いや一線と言った方が正しいかもしれない。
蒼い光の筋がヴァルエの背後を通り抜ける。その光はノウンの前で弾けて…淡く散った。
血が散る表現が好きすぎる。流れれば流れるだけ良い。でもあんまりやり過ぎると次章で話の折り合い付けなきゃならんくなるというジレンマ
気持ちの良いように書いてやるさぁっ!
近況報告
いつか自分で3Dpv作れる事を夢見て…
maya難すぎぃ!




