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魔眼をもらいました!

……一向に意味が分からない。


「えっと、魔眼をもう一つ?それじゃ、倍、歳取るだけじゃないですか?」


私がそう神様に聞き返すと、神様は器用に猫の手で指を振った。


「ちっちっち。違うんだなぁ、魔眼が両目そろうってことは、完全なものになるってこと!

今までお姉ちゃんが使えなかった能力も使えるようになるんだよ!」

「使えなかった能力って?」

「時間遡行の逆の時間加速と、もう一つ、時間停止だよ!」

「それで今の状態を何とかしなさいと?」


どっちにしたって無理な気がする。時間を加速させたら、さらに老化が進むし、時間停止は、ただただ寝たきりの状況を引き延ばすだけだし。

私は、やはり理解ができず、首をひねっていると、神様は私の頭の上に飛び乗って言った。


「君は、時間遡行の代償に悩んでるんでしょ!だったら、もう一つの魔眼の能力の時間加速と時間停止の代償も想像つくんじゃない?」


——時間加速と時間停止の代償?時間遡行が老化ってことは……。


「若化!?」

「そう、正解」


神様は私の頭から飛び降りて、笑った。

でも、私は不思議に思った。


「でも、若返りって、いいことじゃないんですか?」

「何言ってるの、お姉ちゃん。若返り続けたら、どんどん小さくなって、赤ん坊になって、消えちゃうよ。それに、若返って赤ちゃんになったとしても、無限に生きられるわけじゃないからね」

「そうなんですか?」

「そりゃ、何事にも限界はあるさ。普通の人より長生きできたって、多分2~300年ぐらいが限界だと思うよ。肉体がもっても、精神がついていかなくなっちゃう」

「そうなんですね」


「それじゃあ、お姉ちゃんには、僕の初能力授与者として、『時間操作の魔眼』をあげるね!」

「はい!」


私は元気よく返事をする。


「じゃあ行くよ~!それー-っ!」


神様がジャンプして、一回りしたかと思うと、私の中にひと月前と同じポカポカが生まれ、体内を巡る。ポカポカは、私の体を一回りしたかと思うと、私の左目に集まってきた。

私の左目のポカポカは、時間がたつと私の中に馴染むように収まったのだった。


「よし!うまくいった!」


神様がガッツポーズをしている。

私は、その様子を見て、少し吹き出す。


「神様でも、ガッツポーズってするんですね」

「そりゃあ、初めてだったし。失敗はできないからさ」


神様がその場を一周ぐるりと回ったかと思うと、神様は一枚の紙をくわえていた。


「はい、これ。お姉ちゃんの世界で、能力をもらったときは、この紙に詳細がかかれるんでしょ。これに、完全体になった能力の詳細が書かれてるから、読んでみてよ!」

「ありがとうございます」


私は、神様から、教会でもらったような紙を受け取り、その中身を読んでみた。


『能力:時間操作の魔眼

代償:老化、若化

対象物の時間を操作することができる。

代償は、対象の時間を進めると、自分が若返り、

対象の時間を巻き戻すと、自分が老いる。

自分自身への利用も可能。

世界の時間を止めることも可能。この場合も、代償として自分が若返る。

特殊強化:矛盾克服(創造神ダーミラの加護)

時間を操作した上で発生する、自分に不利益なことを無効化する。

例:時間停止中でも、あらゆる問題を無視して動ける。

また自分の時間が巻き戻ろうとも、また進んだとしても、筋力や魔力は自身の全盛期のものと同等になる。

植物に時間加速をかけた時、栄養や水の問題を無視して成長できる。

利用例:けがなどを無かったことにできる。

時間加速で超高速での行動や、相手の時間を止めて一方的に攻撃ができる。

物の鮮度を保ったり、逆に物の成長を高速で行うことができる』


読んでみた私はかなりこんがらがっている。


「うーん……」


すると、神様が笑って言う。


「まぁ、使っていくうちに慣れると思うよ。僕からの加護もプレゼント!最初の一人だからね!」


そういうと、神様は、少し、言いづらそうな感じで「あのね……」と言う。


「どうしました、神様」

「ちょっとお姉ちゃんに、お願いしたいことがあるんだけどね……」


神様は、少し、緊張しているみたい。


「大丈夫ですよ!できる事ならなんだってしますから!」


神様は、意を決した表情で言った。


「えっと、お姉ちゃんの旅について行ってもいいかな?

いや、えっと、その、僕が初めて能力をあげた人が、どんな人生を歩むか見てみたいんだ。

別に、僕が見張ってるから、善行をしろとか、そういうことを言うつもりも無いよ。

僕がただ、純粋に、気になるだけ。ねぇ、だめ?」


神様がキラキラとした上目遣いで、こっちを見てくる。


「……私は構いませんけど、いいんですか?研修は?」

「まぁ、一通り、世界の仕組みとかは勉強したからたった100年や200年ぐらい、お姉ちゃんについていくのは問題はないよ」


100年や200年を「たった」と言える時間観にも驚いたけど、お世話になった人?猫?神?だ。


「それなら、大丈夫です。こちらこそ、よろしくお願いします」


私がそう言うと、猫は、「やった!」と言って飛び跳ねた。


「よろしく!僕は、さっきの紙にも書いてあったと思うんだけど、ダーミラっていうんだ!

気軽に呼び捨てでも構わないよ!それに、敬語も大丈夫!僕気にしないから!

これから一緒に冒険する仲間なんだから、もっと気軽に接していいよ!」

「はい!わかりました、神……」


ここまで言うと、神様がシュンとなってしまっていた。


「……わかった、ダーミラ、よろしくね」


私は拳を突き出す。

ダーミラも、高く飛んで、私の拳に猫パンチをした。


「じゃあ、僕は先に現実世界で待ってるから!

起きたら、早く時間加速か時間停止を使って、若返ってね!」

「わかった!」


そう私が答えると世界は真っ白に染まっていく。

今度こそは、絶対にAランクになってやる!

そう思いを胸に、私は自分の眠る現実世界へと帰還したのだ。


ここまで読んでくださり、ありがとうございます!

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