神様に会いました!
「ねぇねぇ!お姉ちゃん!起きてよ!」
……声が聞こえる。
子供の声だ。
目を開けると、そこは真っ白な世界だった。
「ここは……?」
天国だろうか?いや、もしかしたら、実は地獄でしたってパターンかもしれない。
「ねえってば~!」
下の方から声がするので、見ると、猫が足元を猫パンチしている。
かわいい。真っ黒な子猫だ。
猫は私が気づいた事に気づいたようで、「あ!やっと気づいた~」
と声を出した。あの世では、猫は当たり前にしゃべるらしい。
猫は続けてしゃべる。
「お姉ちゃん、僕を助けてくれたでしょ!ありがとう~!」
「いや、そんなお礼言われるほどの事じゃ……!」
おかしい。
声が、枯れていない。
おばあちゃんになってから、声が少しガラガラになっていたのに、今はそれがない。
私は、自分の顔を触ってみる。
……しわがない。
「お姉ちゃん、最初はおばあちゃんかと思ってたから、びっくりした~!
魂の年齢はまだまだ若かったんだもん!」
気が動転して、何も話せない私に畳みかけるように話す猫。
「それじゃ、改めまして。僕は、神様です。といっても、新米なんだけどね!」
へぇ~~神様なんだ。
私はうんうんうなづく。
神様だったら、喋れて当然、って!
「神様!?神様なんですか!?」
「うん。僕神様だよ」
突然の神様宣言に、なんて返したらいいのかよくわからない。
「神様ってあの、能力をくれる人ですよね……」
そう私が訪ねると、
「いや、それは残念ながら僕じゃない」
と答える神様。
えっ。違うってどういうこと?
私が、「どういうことですか?」と聞くと、
「言ったでしょ。僕は新米さんだって。僕は、新しい世界を作るために、一生懸命勉強中なのだ!だから、この世界の神様にお願いして、研修させてもらってるの」
「へ、へぇ~」
……なんか、人知を超えた話で、想像つかない。
「じゃあ、なんで、あんなところで倒れてたんですか?」
私がそう聞くと、猫の神様は、「それだよ!」と言って私を指さす。
「そこからが本題なんだ。研修ってことでね、能力の付与も勉強したかったんだけど、ここの神様に『世界のバランスが崩れるから一人だけでお願いします』とお願いされてね。じゃあ、誰にしようかって時に、とある世界の物語を思い出してね」
「物語?」
「そう。おじいさんが、雪が降っているときに、地蔵っていう神様みたいな人に自分の持ってた笠っていう帽子をあげたら、その神様が恩返しに来た話!それでピンと来たんだ。
じゃあ、僕の能力は、僕を助けてくれた、最初の人にしようって」
……なるほど。
「それが私だったと」
「そう!」
……それは申し訳ないことをしてしまったなぁ。
「あの、本当にすいません」
「どうしたの?」
神様は不思議そうな表情をしている。
「私、多分あなたを助けた後に死んじゃったみたいで……」
神様に、自分の能力の事、自分が神様を助けるまでに、どんなことがあったのかを説明した。
「なるほどね……。でも、お姉ちゃん、まだ死んではいないよ?」
「え……!?」
嘘、あれ絶対死ぬ奴だと思ってたのに!
「お姉ちゃんの場合はね、ほら」
そういって神様がジャンプして空間を叩くと、四角い板に私と、トゲモリさんとクサリネさんが映っている。
私はベッドに寝かされていて、クサリネさんはずっと回復魔法をかけて、トゲモリさんが絶えずクサリネさんのために色々と世話をしている。
「この二人が、お姉ちゃんを見つけて、急いで処置をしたから、ほんとにまだギリギリ、生きているみたい」
神様は続けて、「多分僕のせいでもあるんだけどね」と言う。
私が、「どういうことですか?」と聞くと、神様は
「ほら、お姉ちゃんの能力ってお姉ちゃんの寿命を代償にしているって言ってたよね」
「はい」
「神様を治すって、どれくらい力使うか、わかってる?」
「え……?」
私は自分の頭の上を見る。
そこにはでかでかと『-100』という数字が輝いていた。
「え、マイナスひゃく?」
ありえない数値に、開いた口が塞がらない。
「でしょ?だから、数値がバグっちゃっているのも、ギリギリ生きられている原因だと思うんだ」
「でも、ギリギリ生きているなら、起きた後、すぐに死んじゃいますよね……」
クサリネさんとトゲモリさん、こんなに頑張ってくれてるのに。
しかし、神様は「そこでだ!」っと、再び私を指した。
「僕がお姉ちゃんに与えようと思っている能力はね」
お姉ちゃんから話を聞いたときに、ピンときたよ、と神様は笑う。
「お姉ちゃんの能力、どこか不完全だとは思わないかい?」
「不完全?」
なんのことだろうと思ったがわからない。
「お姉ちゃんの能力は、『時間操作の魔眼』なのに、できることは時間を戻すことだけ。
きっと、お姉ちゃんの性格である、ガンガン行こうぜっていう性格を補助するために、その能力が与えられたんだと思う」
——あぁ、そう言えば。
私は、いっつも先に突っ走った挙句、傷を作ることが常だった。
幸い、パーティに入ってからは、役割分担で後ろの方が多く、また、仲間と距離を開けないようにとか思ってたから、ケガすることはなくなったけど。
「だからね!お姉ちゃんのその魔眼。もう一つあげようと思うんだ!」
「え?」
ここまで読んでくださり、ありがとうございます!