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対峙しました!

「ルー!!」


私は魔法陣の真ん中にいるルーに駆け寄る。

幸いにも、気を失っているだけでどこか怪我をしていたりとかそういう事はないみたいだ。

私はどうやらルーを連れ去った犯人であるらしい女性に顔を向ける。


「あなた、誰?」


女性は、最初、きょとんとした顔をしていたが、すぐに笑みを浮かべる。


「私?私は……そうね……神様?」

「神?」


私はダーミラをちらりと見る。

ダーミラは知らないといった感じで首を横に振る。


「そう、神様。この世界を粛正するために力を得たの」


そう言って女性は腕を一薙ぎする。

すると、凄まじい風が私たちを襲い、思わず吹き飛ばされそうになる。

私たちは吹き飛ばされないように踏ん張って耐えた。


「……まぁ、私の事なんてどうでもいいわ。それよりもさっさとどきなさい?この子を生贄に、私は更なる力を得るの。邪魔しないで?」

「……邪魔をする、と言ったら?」

「そうね……」


その瞬間。

女性は私にも感知できないスピードで私の懐に入ると、私を思いっきり蹴り飛ばした。

私の体はすさまじい勢いでバウンドし、壁にぶち当たった。


「殺すだけよ」


私は、「時間停止!」と叫んだ。

時間が止まる。

一瞬の油断。これで勝負は決したと思った私は愕然とした。


「あらぁ?あなた、何かした?」


女性は、まるで何事もなかったかのように動いていたのだ。

……時間停止が効かない?


「あら、皆固まっちゃってる。ラッキーね。今のうちに」


「時間停止解除!時間加速!」


私は瞬時に時間停止を解除し、ムーファを蹴り飛ばそうとする女性の足を止めた。


「ふえっ?」


ムーファは何が起こったのか理解できず、一瞬戸惑って立ち尽くしたが、すぐに女性から距離を取って魔法を唱え始めた。


圧倒的なスピードで形成される氷柱は、私と女性の元に向かって高速で放たれていく。

私は、被弾を避けるためにギリギリのところで躱す。

女性は躱す気がないようで、次々に氷柱が衝突していく。


「やった!?」


ムーファが叫ぶ。


「あら?倒せたと思った?残念」


その声はムーファの後ろから。


「ムーファ!危ない!」


バターが咄嗟の判断で魔法を打ち込む。

攻撃が入った女性は一瞬怯み、ムーファは飛びのくことができた。

ビンチが、更なる追撃を加えようと、剣で女性に切りかかる。

私も、時間加速を使用しながら、一撃を加えようとする。


しかし、決まったと思った瞬間、私たちの剣が、女性に握られていることに気が付いた。


「全然遅いわよ?」


そう言って女性は剣ごと私たちを軽々と持ち上げ、両端に吹き飛ばす。


「うわっ!?」


私は再び壁に打ち付けられて肺の中の空気を一気に吐き出す。

……強い。

まさに圧倒的。伊達に神様は名乗っていない。

しかし、こっちにも引き下がれない事情がある。


私は無謀であると分かっていながらも、再び女性に切りかかる、

ムーファも氷の球を打ちまくる。

ビンチは今度は素早い双剣で女性にダメージを与えようとする。


「鬱陶しい!」


しかし、そのどれもが決定打にならず、私たちは女性から数歩分の距離を取らざるを得なくされた。


「せっかくの上質な魔力を持った生贄を見つけたのに、まさかこんなに面倒くさいのに絡まれるなんて」

「じゃあ何?私たちを見逃してくれるの?」


そうなれば今度はもっと入念な準備の下で挑める。


「そんなわけないじゃない。皆殺しよ。み・な・ご・ろ・し」


女性は語尾にハートでもつくんじゃないかって言うぐらいに甘ったるく物騒な言葉を吐き出した。


——いったいどうすれば勝てる?

どうやら、あいつには時間停止が効かないみたいだから、それこそ余計な隙を生んでしまう。


私には、その時、危険すぎる賭けを思いついていた。

私の魔眼を最大限に生かして攻撃をするのだ。

魔眼の最高出力なら、きっといける。

うまくいけば、倒せるかもしれない。

しかし、下手をすれば、一気に私たちの形勢は悪くなる。

それこそ、一瞬で寿命を使い切って死ぬかもしれない。

しかし、このまま戦っていても絶対に勝てないことも確か。

ここは、そのスピードが女性に届きうることを祈ろう。


私は、女性と二人の立ち位置を見て、一番死角となる場所で女性に襲い掛かる。


そこは、偶然なのか、それとも何かしら運命が働いているのだろうか。

ルーの寝ているすぐそばだった。

私は、持ちうるすべての力を持って女性に切りかかる。

女性は、私を見て、そして笑った。


「あら?隙だらけよ?」


……無理だったのか……。

女性は私の心臓を貫いた。

時間加速はまだ切れず、私はゆっくりと死に向かっている。

そのゆっくりとした中で、一つの思い付きを得た。

あぁ、もしかしたら、この方法なら……。

私の意識は薄れゆく。

私は必死で意識をつなぎ留めながら、倒れた。


後ろで、「姉様……?」という声が聞こえた気がした。


ここまで読んでくださり、ありがとうございます!

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