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探しました!

珍しく私は朝早く目が覚めた。

きっと、今から逃げていたことと向き合わなくちゃいけないという緊張からだろう。

しかし、横には誰もいない。


……おかしいな?ルーと一緒に寝ていたはずなのに?

ルーは何処に行ったんだろう?

私は「ルー?」とうるさくならないように呼ぶが、返事は来ない。

私は、もしかしたらルーが別の場所でうっかり眠っちゃった、例えばトイレとか、可能性を考えて、部屋をあちこち見て回る。

しかし、どこにもルーはいなかった。


……もしかして、おなかがすいて朝ご飯を食べに行ったとか?

私は胸騒ぎを覚えながらもてきぱきと準備を済ませて食堂に下りる。

見回すが、そこにルーの姿はない。


……本当にどこに行った?

私は、すぐに宿屋を飛び出し、あちこち探して回る。

起きてから一時間もたつが、まだ見つからない。

まさか、誘拐?でも、どうやって……?

部屋の中に入って私に気づかれずにさらうなんて、そんな事ができるのか?

それとも、ルーは自分の意志で出ていった?それも理由がない。


当ては全くないが、それでも私はルーを探し回る。

そうしているうちに、ギルドの前にたどり着いた。


「あっ!ルエ!どうしましたか?」

「……どうしたんですか?何かありましたか、ルエさん」


ギルド前に集合という約束をしていた二人に会う。

私は二人にルーが消えたことを話す。

すると、ビンチがハッとしたように言う。


「そう言えば、今朝、おかしなことがあったらしいんです。女性が、10歳ぐらいの子供を抱えてダンジョンの方に向かっていったっていう話です。ダンジョンは15歳からしか入れないのに」

「もしかしたら、その連れられていた男の子がルーであるという可能性が?」


ビンチは静かにうなづく。


「……とりあえず、サイゼンさんに言ってみよう。何かいい情報を貰えるかもしれない」


私たちは話を聞きにサイゼンさんの元に行く。

すると、珍しい怒鳴り声が聞こえてきた。


「おい!!どうして子供を通したんだ!?それはギルドじゃご法度のはずだ!!」


私たちが急いでサイゼンさんの元に行くと、サイゼンさんは何やら用紙を持ってキレていた。


「ダンジョンに15歳以下が入れないっていうのはな!子供を守るためのルールだ!なんでそのルールを無視した!?」


「は、はぁ……そう言われましても、俺、この人たちを許可した記憶がないんですよ」

「だったら、なんで確認の欄にお前のサインがあるんだ!?」

「そ、それは……わかりません」

「わかりませんじゃない!!今回、どれだけの人に迷惑をかけたと思ったんだ!?」

「すみません、その話、詳しくお願いします!」


そんなサイゼンさんの話を遮るように私は一歩踏み出した。

サイゼンさんはこちらの方を一瞥するが、再びやらかした事務員の方を向いて、説教を再開しようとする。


「……こいつはけじめをつけなきゃなんねえ。止めんな」

「すみませんが、ダンジョンに入った男の子の名前ってわかりますか!?」

「……残念ながら情報を安易に他人に公開するわけにはいかん」


「お願いします!」


私はまっすぐとした目でお辞儀をする。

サイゼンさんは少し考えた後。「わかった」といった。

「残念ながら、流石に見せるわけにはいかんが、お前たちが探しているものを探すぐらいならしてやろう」


サイゼンさんはそう言ってくれたので、私はすかさず、


「ルーって子が今朝ダンジョンに入りませんでしたか?」


私がそう聞くと、サイゼンさんはちょうど手に持っていた資料を開いていく。


「ルーってやつか……」


パラパラとめくると、「マジか」と言って私たちの方を向く。


「いた。しかも、怪しい女とダンジョンに入ってるぜ?」

「本当ですか!?」

「しかも、まだ出てきてない。これは最悪の事態も想定するしかないと思うな」


サイゼンさんは静かにうなづく。


……急がなきゃ!


「あちょっと!」

「ルエさん!」


私はそれを聞いた瞬間にわき目も降らず、ダンジョンに向かって走り出した。

私の道の先には、暗く、大きな雲が立ちふさがっている。

まるで、これから起こるのが悪いことでもあるかのように。

それでも私は走っていく。何としてでも、家族は守り抜きたい。そう思って走った。


ここまで読んでくださり、ありがとうございます!

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