パーティに加入しました!
それから三日が経過し、荷物の配達に、ドブさらいに薬草集め等、色々な仕事にも慣れてきた頃。もうこれ位でもういいかなと思って、私は、サシバナさんとパーティを組むことを承諾した。
「よろしくお願いします!」
サシバナさんは、私に、飛躍蛙のパーティメンバーを紹介してくれた。
戦士でみんなを守る役割を果たすトゲモリさん。
魔法使いで後衛を務めるクサリネさん。
私も含めて、4人のパーティらしい。
「前衛と後衛がいて、あと一人仲間がいれば、ダンジョンでも安定した探索ができるなって思っていたところに、新人の君が来たんだ。最近はどこも人手不足で、新人育成の手間を差し引いても、とにかく4人パーティにしたかったんだ」とサシバナさんは言う。
トゲモリさんは、武骨な男の人で、クサリネさんは、綺麗な女の人だ。
どちらも、私の加入を歓迎してくれた。
「どうも、よろしく。魔法の事なら任せて。教えられることは教えてあげるから」
「おう!よろしく!盾とかの持ち方だとか、盾持ちの立ち回りなんかは任せな!」
「僕は、剣の扱いとかなら教えてあげられるよ。ルエさんは、何がしたい?」
三人が、親切にも私に色々と教えようとしていたが、私は丁重に断った。
というのも、
「あの、すいません。私、武術は習ってまして。一通りの武器の扱いとある程度の魔法は心得ています」
……ごねにごねまくった領主の勉強の一環で。
それを聞いて、三人はびっくりしたようで、
「へぇ!すごい!もしかしてどこか凄いところのお嬢様だったりする?」
と私に聞いてきた。私は、あまり、家から飛び出してきたことを伝えたくはなかったので、
「あはは、いや、まぁ……」
とお茶を濁した。その言葉に何かを感じ取ったのか、それ以上三人が追求してくることはなかった。
「それじゃあ、ダンジョンへと向かおうか。まずは低層で君の実力を見てみたい。
武器はどうする?」
「一応剣は持ってますが、大丈夫ですか?」
「なら大丈夫だ。じゃあ、行こう!」
そうサシバナさんが言ったので、私たちは、ダンジョンへと向かった。
道中、聞いた話によると、三人は同じ村の出身で、幼馴染らしい。
ダンジョンに到達すると、見張りの人に、カードを見せて中に入る。
……いよいよダンジョン探索である。
ダンジョンは未発見のお宝や、良い素材をもつモンスターの宝庫で、ランクを上げていくために必須の狩場なのだ。
ダンジョンの中は、ひんやりとした洞窟で、時々雫が岩に落ちる音以外何もしない。
「……ここがダンジョンなんですね」
私がそういうと、クサリネさんが答える。
「ええ、そうよ。今はシーンとしてるけど、気を付けて。いつモンスターが襲ってくるかはわからない。警戒を怠っちゃだめよ」
「はい、わかりました……」
静かな洞窟を、一歩一歩気を付けながら進んでいく。
すると、トゲモリさんが「止まれ!」と静かに言った。
そして、私の方を見ると、前の岩陰を指さす。
「あそこにモンスター。おそらくゴブリンが一体だろうな。やってみるか?」
私の答えは当然一つだ。
「もちろんです!」
私は、まるでモンスターに気づいていないようなふりをして、岩の方へと近づいていく。
岩陰との距離が、数メートルのところまで近づいたとき、私の元に、勢いよく飛び込んでくるゴブリン。
私は、その一撃を躱すと、そのままゴブリンの背後に回って剣で首を飛ばす。
そして、剣から血を払うと、腰に剣を戻した。
私は、三人の方を見ると、「どうでしょうか!」と聞いた。
三人は少しびっくりしながらもこそこそと話し合って、三人とも、こちらへ来た。
「思った以上だったよ。ここまでゴブリンに物怖じしないで戦えるなんてびっくり」
——まぁ、武術の修行の一環でモンスターとは少しだけ戦ったことがあったからね!
私が、モンスターとも戦ったことがあるということを三人に伝えると、
「ルエさんは結構できるみたいだから、ダンジョン入って初日だけれど、僕たちが今まで探索してた層まで下りていいかい?」
「はい、大丈夫です!」
「これは将来有望なやつを仲間にした」とか「すぐにランクが上がるわね」とか三人から言われて、私は嬉しくなった。
——よし!もっともっと活躍するぞ!
……そう思う私の前に、実は巨大な暗雲が立ち込めていたということがわかったのは、
何もかも、もう手遅れになった後だった。
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