再会でした!
ギルドに報告に行ったら、ギルド内が一時騒然とした。
なにせ今まさに停滞していたダンジョンの攻略をまさか一か月程度で完全に終わらせるようなパーティがいるなんて誰も思ってもも無かったからだ。
私たちがたおした魔物や手に入れた財宝を換金したときに、サイゼンさん直々にお金を渡してくれた。
その換金額を聞いて、ムーファがひっくり返った。
「わ、私の家族が1000年生活してもなくなりません……!」
そして、私たちはSSランクに任命された。
ダンジョンの攻略と、そして……。
「この騎士型のモンスターがSSSランクのモンスターだったなんて!」
「サイゼンさんもびっくりしてましたしね」
まぁ確かに、一人じゃ絶対に勝てなかった敵ではある。
三人+一匹の作戦がうまくはまったおかげだと思う。
そんなわけで私とムーファは街をブラブラしていた。
それこそ、大量にお金が入ってきて、皆思い思いの使い方をしている。
ムーファはほぼ全額実家に送ったそうだ。
向こうで親御さんがひっくり返っていないか少し不安である。
ビンチはまた色々な物を買い込んでたそうだ。
「今度は錬金術……」とぶつぶつつぶやいていたのを見かけた。
ちなみに、ビンチは私たちのパーティに正式に入ることになった。
だから、ダーミラの事もきちんと紹介しておいた。
すると、ビンチは目を輝かせて、「神様に弟子入りしたら何ができるようになりますかね!?」とダーミラをぎゅっとしていた。
ダーミラは、「ふにゃああ!!?」と猫のような声を出して逃げていった。
……次の日には戻ってきたが、ビンチに一切近づかなかった。
さて、何をしようかと店を眺めていると、
「姉様……?」
という声がした。
……私は聞き覚えのある声、いや慣れ親しんだその声のする方へ顔を向ける。
「姉様!!」
声の持ち主は耐えきれない!といった感じで私に詰め寄り、私にぎゅっとハグをする。
「ルー!?」
私はなぜここにルーがいるのか、ルーは突然いなくなった私の事をどう思っているのか。
そんなことが頭をよぎった。
でも、今は、そんな事より。
ひたすらに泣いているルーをぎゅっと抱き返してあげた方が良いと思った。
ルーは泣き止むと、私の手をギュッと握ってきた。
「姉様!!早くしないと!急がないと、母様が……」
そう言って手を引っ張るルーに、ムーファは、
「ちょっと待ってください!全然話の先が見えないんですけど!」
と言う。私はルーの手を外して、
「でも……!」
と何か続けようとするルーの肩を持って優しく言った。
「大丈夫!どうしたの?ちゃんと聞いてあげるから落ち着いて話して」
私がそう言うと、ルーはようやく冷静になったようで、ポツリ、ポツリと話し始めた。
「なるほど、お母さんが……」
どうやら、今、お母さんが病気になって生死の境をさまよっているそうだ。
そのせいで、私が消えて落ち込んでいたお父さんはさらに元気を無くし、今、家はバタバタととんでもないことになっているみたいだ。
ルーは、その騒ぎに乗じて、私を探しにここまで来たらしい。
昔、ダンジョンで一旗揚げる、という私の話を覚えていたらしい。
「衛兵さんたちもね、姉様のことを探したんだけど、なんでか見つからなくて、もう姉様は亡くなったってみんな思ってたの。でも、僕は姉様は生きていると思って……」
……そうなんだ。
私はルーをギュッとする。
「ありがとうね、ルー。わかった。お姉ちゃん、一旦帰る」
「姉様……」
私は、ムーファの方を見る。
そしてニカッと笑って言う。
「いい機会だからきちんと帰って確認する!」
「……大丈夫?」
「……最初は怖いと思ったけど、ルーがいるから。きちんと腹を括って本当の事、両親に問いただしてくる!」
そう言うと、ムーファは首を横に振った。
「いいや。私もついていきます。だって、約束したんですから」
ムーファは、優しく微笑んだ。
「ありがとう、ムーファ。でもビンチはどうしよう……」
「多分、ビンチさんもついてきてくれると思いますよ」
「話は聞きました」
「うわっ!!」
と噂をすればそこにビンチがいた。
「私もついていきます。私だって仲間ですよ」
「ビンチ……」
私は、涙の跡が残っているルーの方に向きなおして告げる。
「じゃあ、一緒に帰ろっか!」
「うん!!」
聞くと、ルーは何も用意せず、この街に来ちゃったらしく、止まる宿も決まっていなかった。
だから、私と一緒の部屋で一夜過ごすことにした。
いよいよ次の日は、両親との対面。
少しの緊張はありながらも、明日に備えて、私はゆっくりと眠りに入った。
しかし、次の日の朝、事件が起こった。
ルーが、部屋からいなくなっていたのだ……。
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