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道が開けました!

歓声が静まるとサルたちはさっき王様ザルが持っていた杖を持ってきた。


「これを私に?」


ビンチは杖を受け取る。


「それ、どうするの?」


私がビンチに尋ねると、ビンチは


「まぁ、とりあえず使ってみるしかないんじゃないでしょうか?ここで貰えたのにも何かしら理由があるわけですし」



というわけで、サルたちと別れを告げて元の海岸まで戻ってくる。


「どうする?戻る?」


私が聞くと、ビンチは


「そうですね……だけど、戻るのにも時間がかかりますし……でも何もわからない以上、一旦戻るのが得策ですよね」


そう言って杖を一旦地面に刺して、舟を取り出そうとしたその時だ。


「え……?」


なんと、杖が刺さった所から、海が真っ二つに割れていく。


「嘘でしょ!?」

「そんな事ってあるんですか!?」


がしかし、何度見ても現実は変わらない。

みるみるうちに海は割れていき、そこには大きな建物があるのが分かった。


「なるほど……、あの魔法をそらしていたことが伏線だったんですね……」


ビンチはそんな中でも冷静に状況を見ている。


「とりあえず、行きましょう。ここを進めばきっと階段にたどり着けると思います」


そう言ってすたすた物おじせずに海の中に入っていくビンチ。

私も後を追いかける。

ムーファは恐る恐ると言った感じでついてきた。


「あの……、これって突然海に戻ったりしないんでしょうか?」


ブルブルと小動物のように震えるムーファを私とビンチは励ます。


「大丈夫!もし、そんなことが起こったりしたら、私が時間を止めるから!」

「大丈夫ですよ。この収納の中には一応水中で活動するための魔道具も入ってます。もしもの時はそれを使いましょう。なんなら、持たせましょうか?」


そこまで言われると、流石のムーファも、「一応……」と言いながらその魔道具たちを借り受けてさっきよりかは足取り確かに先に進み始めた。


しばらく進むと、神殿みたいな建物があり、中に入ると、階段があった。


「凄い!ビンチの言ったとおりだね!」

「まぁ、ここまで壮大な仕掛けだったから、この先に何かあるんじゃないか、と思っただけなんですけどね」

「これで、この層もクリアですね!」


そして私たちは階段を下りていく。



それから2,3週間が経過した。

私たちは、順調に階層を攻略しながら進んでいった。

サイゼンさんの言っていた通り、94を超えてからはダンジョンの形はまるっきり変わってしまった。

海岸のダンジョンから始まり、森林のダンジョン、天空のダンジョン、果ては荒廃した街のダンジョンまであった。

しかも、そのたびに管理人と戦う羽目になって、だんだんと強くなってくる相手に、ムーファは苦戦していた。

私とビンチ?私は瞬殺だし、ビンチはまだまだ隠し玉があるみたいで多彩な戦術で相手を翻弄していた。


どんどん層を刻むたびに、ビンチの凄さがよくわかった。

まず、武器の製作、修理ができる。

まさか収納の中に鍛冶道具をすべて入れていたとは……。

それにダンジョン中での料理のレパートリーもやばい。

え?どうしてダンジョンでカレーが食べられるのだろう。

凄すぎる。


ムーファはムーファで戦いの中で研鑽を積んでいた。

ひとまず自分がうかつにダメージを受けないように慎重に攻撃をしつつ、分析が終了した瞬間にダメージをある程度覚悟しながら無傷で敵を倒し戻ってくる。

確かに苦戦はしているが、それはこの戦い方あっての事だ。成長は私たちの中で一番している。


そして、いよいよ117階に私たちは歩みを進めた。

117階層は60層以前と似た岩の迷宮スタイル。


階段を下りた瞬間に、若干の違和感はあった。

あれ?最初と同じ?そう思ったけど、気にせず進んだ。


もっと警戒すべきだったのかもしれない、と今になって思う。


……今、私、一人になって探索中。


ここまで読んでくださり、ありがとうございます!

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