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戻りました!

今、私は、荷車に積まれている。


もう一度言おう。私は!今!荷車に積まれているっ!


事は少し遡る。


「ねぇ!いま修理したいものってある!?」

「突然何を言ってるんですか!?」


私は急いでビンチに事情を伝える。

私は時も止められること。でもそれには私の寿命が必要で、今のままじゃ全く足りないという事。

一通り聞くと、ビンチはひとまず冷静になった。


「……わかりました。じゃあ、修理しなければならないほどに壊れたものがあれば、代償に足る能力を発揮できると?」


私はこくり、とうなづく。

ビンチはすぐに、虚空に手をかざすと、巨大な荷車と、大量の壊れた武器を出してきた。


「明日、時間があればすべての武器を手入れしたんですが、なんと好都合でしょう!さぁ、馬車に乗ってください!」


私は、ビンチに言われた通りに馬車に乗り込む。

が、大量の武器と、私一人の重量で、荷車は非常に重そうだ。


「……大丈夫?」

「安心してください。こんなこともあろうかと作っておいた特別な荷車です。

使用者の魔力を使って馬車の下方から空気を勢いよく噴出し、ほぼ無抵抗で荷車を弾ける最強の荷車です!さぁそんな事より!」


そう言って、ビンチは私の方を見る。

すぐに私は、ビンチの手をつかみ、叫んだ!


「時間停止!!!」



そして、今に至る。

私は全力で武器を時間遡行で修理。

時間停止の代償である、急激な若返りをぴったり相殺している。

荷車はとてつもない勢いで進んでいく。


「凄い!罠がまるっきり反応しません!?」


まさに破竹の勢い。

瞬く間に私たちは先ほどの罠だらけの道を突破する。

——ふと思う。

この間に発生した罠って、どうなるんだろう?

踏んだことが検知されて、解除した後、一瞬にしてすべての罠が同時に発動するのか。

それとも、時間停止中だから、そもそも踏んだことが検知されないか。

気にはなったが、武器にも限りはあり、ここで無駄な事は出来ないのでやめておいた。

いつかやってみよう。


真っ暗な洞窟を真っすぐに駆けていくビンチ。

いよいよ子供たちのいたところへと着いた。


私たちはその光景を見た瞬間、間一髪だったことを悟る。

キマイラは檻から解き放たれ、子供たちのいた檻を破壊すると、今にも子供たちをつかんで食べようとしていたからだ。爪に引っ掛けられ。大きな口を開けたキマイラが、今にもビンチの妹さん、あぁ、さっき、レアって言ってた——レアちゃんを一飲みにしようとしていた。


「あぁっ!危ない!」


その光景に我を忘れたビンチは、荷車に乗ってた修理された武器の中でもトップクラスででかいハルバードを取ると、キマイラに振り下ろす。

キマイラは時間停止中に、無残にも首と胴体がおさらばしてしまった。

しかし、時間は無事止まっているので、血が飛び散らずに済んだのは良かった。


ビンチはレアちゃんを丁寧に爪から引き離すと、キマイラから降りて、私ににこっと微笑んだ。


「さぁ、ルエさん。時を進めていいですよ!」


ビンチはしっかりとレアの目と耳をふさいでいる。


「いや、レアちゃんだけ守っても、どうしようも無いでしょ……」


私は武器を直す手を休めることなく、ビンチに告げる。

ビンチは首をかしげて「ん?」という顔をしている。シスコンだな。


「え?」

「え?じゃなくて、キマイラの後始末。このままじゃ、キマイラが倒されたのに阿鼻叫喚の嵐だよ?」

「……あぁ、なるほど!そっちを片付ければよかったですね!」


そう言ってビンチはレアちゃんをお姫様抱っこして、キマイラを収納に片付ける。

そして、ちょうど壊れた武器のストックも尽きてしまった。


「じゃあ、戻すよ」

「よろしくお願いします」


私は止めた時間を元に戻す。

途端に、悲鳴や怒声があたり一帯に響き渡る。


「お兄ちゃん!!」


レアちゃんは目をつむっている。

そして、皆状況が一変したことに、混乱し始めている。


「あれ?」

「あの怪物は?」

「私たち、助かったの?」

「ママ~~!!」


そして、ビンチは、そっとレアちゃんの頭をなでなでしていた。

レアちゃんは、自分の頭をなでる不可思議な感覚に目を開けたようだ。

そこには、兄の顔が。


「お兄ちゃん!!」

「大丈夫ですか?よ~しよ~し」


レアちゃんは一頻りビンチにぎゅっとすると、辺りをきょろきょろと見回す。


「ねぇ、さっきの大きいやつは?お兄ちゃんがたおしちゃったの?」


ビンチは、レアちゃんの頬をすりすりしながら、「そうですよー!怖いやつは私がやっつけておきましたよ!」と言う。


レアちゃんも、「すごーい!」と笑顔になり、ビンチに再び抱き着いた。


「じゃあ、ここから出ようか」


私はみんなに提案する。今、見た目はちょうど差し引きがあって10歳で落ち着いてくれた。

そして、皆も助かったということをようやく理解し始めたようで、私の元に集まる。


「それで、どうしますか?穴は塞ぎました……」

「時間遡行」


私は先ほど穴を埋めた天井を見ると、穴は元通り開いた。


「……なるほど、便利ですね」

「でしょ?」


ここまで読んでくださり、ありがとうございます!

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