ダンジョンの奥に行きました!
私たちは、一度準備を整えてから、再びダンジョン前に集合した。
「それじゃあ、行こうか!」
「わかりました!」
私たちは、もらった紙を門番に見せて、61層への案内を聞いて、61層に降り立った。
61層は、60層のちょっとした洞窟のダンジョン、という雰囲気は消え失せ、荘厳な神殿を思わせる真っ白な石で囲まれたダンジョンに変化していた。
「ここから、モンスターもちょっと変わるみたい。とりあえずどれくらいか、戦ってみようか」
私たちは、降り立った周辺を歩き回る。
とすぐに索敵に反応があったので、反応があった場所に向かう。
そこには、サソリのような、しかしそれでいて金属のような光沢をもつモンスターと出会った。
「ルエ。ここは私がやってみていいですか?」
私は、ムーファに「うん」といった感じでうなづく。
ムーファはまだ存在に気づかれていないようで、モンスターの背後に回り、特大のつららを作り出す。
「はぁっ!」
ムーファはそのままつららを思いっきり力強く発射させる。
つららは、モンスターに突き刺さる。
「やった!」
モンスターは動かなくなった。
ここら辺のモンスターでも、戦うには問題ないみたいだ。
「だいぶ成長したね、ムーファも」
「まぁ、なんだかんだ言ってルエのおかげですけどね!」
そう言って、ムーファは倒した敵をあれこれあさる。
「でも、本当に生物じゃないんですね……」
「そうだね……」
鋼鉄の敵、とは聞いていたけど、こんな感じなんだ。
「これ、持って帰って売れますかね……」
「まぁ、武器とか防具にはしやすいかも」
まぁ、そうですね、と言ってモンスターを収納するムーファ。
その様子を見ていたダーミラが言う。
「もういっそのこと、各層の管理人だけ撃破していって、いけるとこまで行ってみたらどう?地図は持ってるんだし」
「まぁ、そうだよね」
「それがいいかもですね」
そこで、私たちは、管理人の部屋に向かった。
管理人の部屋の前の扉も、やっぱりガラッと雰囲気が変わっている。
「じゃあ、さっきモンスターはムーファがやったから、次はわたしがやるね!」
「わかりました!」
そう言って扉を開くと同時に『時間加速』を使用。
部屋の真ん中にアホみたいに立ち尽くしているクレイゴーレムの心臓を一刺し。
私は時間加速を解除して、くるっと振り向く。
「終わったよ~!」
そんな私の後ろで、ズドーンと倒れ込むゴーレム。
「改めて、能力を知った後で見ると、だいぶやばいですね。敵、いないんじゃないですか?」
「わからないよ~?世の中広いからね」
私は、ハハハと笑うと、「まぁでもここの管理人、とりあえず敵ではなかったね」と管理人を収納する。
ということで、さっさと上っていくことにした。
ダンジョン内には、罠が設置されている部屋もあるが、そこは勉強させてもらうことにしたが。
地図をなるべく見ずに、罠がどこかを気を付けながら歩く。
ムーファが間違えても、私がうまく時間操作で躱せばいいと、気を張っていたのだが……。
「な、なんで……?」
「まぁ、何かしら、あるんでしょうね……」
ムーファは全く罠にかからず、逆に私はほぼすべての罠に引っ掛かってしまった。
「おかげで、罠踏んだ瞬間に時間操作する技能まで身についちゃったよ!」
「お姉ちゃん、周りに鈍感すぎるよ……」
ダーミラもため息をつく。バターも心なしかあきれてるっぽい。
「……とりあえず、今後も罠があるところは注意していきましょうね、ルエ」
「はい……」
ということもありながら進んできたが、78層ぐらいまで来たときに、おなかがすき始めた。
「お腹すいたね」
「まぁ、今何時かわかりませんしね。ごはん、食べましょうか?」
「そうしよう!」
そう言って私たちは、それぞれ自分の収納から、自分の夕飯を取り出した。
各々で準備したのは、二人とも、料理はあまり上手じゃないということからだった。
「はい!宿屋で提供されるお弁当~!」
私は、毎朝、追加料金でもらうことができる、宿屋の弁当を取り出す。
ムーファは、リンゴを二つ取り出した。
「え、ムーファ、それだけで足りるの?」
「私、実家の時から小食でして。なにせほかの兄弟がほんとによく食べて……」
「なるほど!」
と私は宿屋の弁当をかきこむ。
家じゃ絶対にできないやつだ。
食べ終わった私たちは、弁当の残りガラや、リンゴの芯を燃やして、出発する。
管理人は二人で交互に倒していく。
日にちの間隔はわからないが、食料もそろそろ半分になりそうな頃。
私たちは90層に到達した。
「いよいよ、90層だね」
「はい。でも、もう戻らないと食料的に危ないんじゃ……」
私たちの荷物は、その半分が、討伐した管理人の素材で埋められ始めていた。
「……そうだね。とりあえず、ここの層まで倒したら、いったん戻ろうか」
そして、管理人の部屋。
どうやら、誰かが戦っているらしく扉の前からでも剣や魔法やらが衝突する音が聞こえてきた。
「凄いね、どんなパーティなんだろう?」
中から聞こえてくる音は、剣や魔法だけでなく、鎖や、ハンマ―等、多岐にわたる。
聞こえてくる武器の種類から、4~5人パーティっぽいが、いったいどんなパーティなんだろう?
どうせ討伐が終わるまで何もできない私たちは、部屋の中にいるであろうおそらくベテランの冒険者に想いを馳せた。
「ここに来るまででも、戦闘をしているパーティはみましたけれど、こんなにいろいろな武器を使ってるパーティは初めてですね」
「そうだよね。しかも、私たちが管理人を倒しながら登ってきているってだけでも結構驚いていたもんね」
そうなのだ。意外に、倒さなくても先に進める管理人をわざわざ倒すような人なんていないらしくて、それを聞いてほとんどの人が驚いていた。
「それに、私なんて、85層あたりから管理人が少しずつ手ごわくなってしまって。先に管理人の情報を見てからでないと、少しきつくなってきたのが現状ですし。これ以上はもう無理かもしれません。結構強くなったと思ったのに……」
そう言って、シュンとするムーファ。
「バターの今後の成長に期待だね」
「そうですね……」
と話していると、戦闘音が終わり、中から人が出てきた。
……あれ?
「「一人!?」」
ここまで読んでくださり、ありがとうございます!