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色々聞きました!

そう言ってサイゼンさんは話し始めた。


「そもそも、ギルドについての詳しい説明をしていなかったな。まずは、それからするか」


サイゼンさんは机の中から紙を数枚取り出すと、私たちの前に出す。


「いいか、まずはランクの話からだ。まずお前らはCランクだったな。これはギルドの中でも中堅レベル。一応人数は一番多いな。ここから、俺たちギルドの職員はお前たちの要望に応じて動き始める。一人前ってところだ」

「あの、質問が」

「なんだ、嬢ちゃん、言ってみな」


私は、少し気になったところを質問する。


「あの、じゃあ、CランクってEランクの時とかの扱いとは違うってことですか?」


それを聞いて、「ふむ」とうなづくサイゼンさん。


「そうだな。基本的には変わらん。でも、必要があれば、Cランクの冒険者にはより詳細な情報を与える。今回の説明もそうだ」

「なるほど、じゃあ、初めてギルドに入ったときの説明は?」

「あれは本当に必要最低限だからな。なにせ入ってくる奴は多いが、まず話をまるで理解できない奴や、ただギルドカードを作りに来る輩も多い。そんなやつにも懇切丁寧に教えてやっていては時間が足りんからな。Cランクになったとき、ようやく上を目指している奴に詳しい情報を提供するんだ」

「なるほど……」


そういう感じだったのか、と私は納得する。


「じゃあ、話を続けるぞ」


そう言って、机の上に置いていた紙の一枚を手に取って見せてくる。


「まず、お前たちがいる中堅がC。そして一つ上がB。こいつらは、ギルドの中でもそこそこに強い。もしくは、評判がいい」

「評判?」

「あぁ、依頼を完璧にこなしてくれるとか、そういう事だ」

「なるほど!」

「次に行くぞ。A。ギルドの中でもベテランがこの中に入っている。お前が目指しているのはここだったよな」

「はい!」


私は力強く返事をする。


「いい返事だ。Aになるには、Aランクのモンスターの討伐を数回こなすことか、未踏破のダンジョンの管理人の撃破、または未踏破のフロアの地図の提供で昇格できる」

「?Bランクじゃなくてもですか?」

「当然だ。強いことを証明できる奴はさっさと上がった方がいい。そしたら、俺たちも戦力が把握できて大助かりなんだからな」

「そして、次。Sランク。これは、先ほどと似ているが、Sランクモンスターの複数回討伐、他には未踏破のダンジョンの管理人の撃破を3回行う、未踏破のフロアの地図の三階層分提出で上がるな」

「はい」

「こいつらは、ベテラン中のベテランだ。とりあえず、会ったら話を聞くことだ。いい話が聞ける」

「え、Aランクの上があるんですか?」


ムーファが恐る恐る質問してきた。


「あぁ、そうだ。なんせギルドができてからの歴史も長い。古いパーティはそれぐらいこなしている所も多いんだ」


そして、サイゼンさんは、紙の一番上を指す。


「そして、ここにSS、SSSランクが存在している。だがな。俺も含めあいつらは、一つ次元の外にいると思え。能力を自分の物にして最大限生かしているような奴らだ。だいたいSS一人で国家を一つ相手どれるな。まぁ、引退した俺にはちょっと無理な気がするが」

「サイゼンさんってSSランクなんですか?」

「まぁ、そうだ」


SSランクの男には到底見えない。どこにでもいそうな強面のおじさんだ。


「まぁいい。ランクについては、以上だ。SSや、SSSランクについては、これといった基準はない。ただ、一線を画すものだけがたどり着く場所だ。よくわからない二つ名と一緒に授与される」

「はい!」

「なんだ?」

「サイゼンさんの二つ名は何ですか?」

「……聞くな、二度と思い出したくもない……」


サイゼンさんは額を抑えている。そんなに嫌な名前だったのだろうか。


「じゃあ、まぁ、いいです。ダンジョンの事について教えてください」


私がそう言うと、「あぁ、そうだな」と言って、紙の束を私に渡してきた。


「ほら、踏破済みの61~93層までの地図だ。魔法でしまっとけ」


?魔法でしまう?


「何のことですか?」


私がそう聞くと、サイゼンさんはハッとして私たちに聞く。


「あー、そうだった。お前たちの中で、魔法が使える奴は?」

「えーと、二人とも、使えますが……」

「おっ、そりゃいいな。すまん、ついつい同僚とのやり取りみたいに使える前提で話しちまうんだよ」

そういって、二枚の紙を私たちに渡す。


「そこに書いてあるのは、物を収納できる魔法の使い方だ」

「えっ!?」

「ほんとにですか!?」

「なぜわざわざ嘘をつく必要がある」


そりゃあ、そんな便利な魔法があるなんて思わなかったからである。


「なんで、こんな魔法を?」

「Cランクになって色々と説明している奴には配布しているぞ。だけど、まぁ、なるべく広めないようにお願いはしているがな」

「どうしてですか?」

「そりゃあ、この魔法目的でギルドに入られても迷惑だからだよ」

「へぇ……」

「そんなやつ、この魔法を手に入れた途端にギルドやめる奴ばっかだからな。だから、使うときは、知ってるやつの間だけか、何かしらバックとかカバンに手を突っ込んで使うように指導している。お前らも守れよ」

「はい!」

「わかりました!」


魔法は非常に簡単なもので、あっという間に覚えることができた。


「凄く簡単ですね、この魔法」


そう言うと、頭をかくサイゼンさん。


「まぁ、それ、俺が開発した魔法だしな」

「えっ」

「嘘」

「本当だ。これでも俺は元魔法使いなんだぜ」


絶対前線で斧持って戦っているようにしか見えない。


「だから、言わばこれは、後輩へのエールだな。『頑張れよ』っていう」

「はぁ」


なんとも気の抜けた返事をするムーファ。そんなに違和感があるの?


「それじゃ、今度はダンジョンだな。こっちは早く済みそうだ。

さっき渡した地図の通り、93層までが完全に踏破されている。が、1から60層まで簡単に通行ができる原因となっているショートカットはまだ完成していない。


そのためにお前たちは、最前線までは、ふつうに踏破していく必要がある。

さっきの収納の魔法でも時間は止められないからな。せいぜい最前線で食料が持つのが最速攻略してだいたい一日が限界だな。それが今探索が困難になっている原因でもあるのだが」


「最前線で食料は確保できないのですか?」

「あいにくだが、61層以降、古い神殿のようなダンジョンになっちまって出てくる敵が岩や鋼鉄の敵ばっかなんだ。地味にいやらしいダンジョンだよ。まぁ、そろそろショートカットか、食べられるモンスターが出てくる階層が出てくる気はしてるんだがな」


「で、最深部は何層なんですか?」

「最深部は、およそ157層とされている。これは、大昔に書かれた書物からの情報で、割と信憑性がある。お前たちは、そんなダンジョンを攻略していくんだ。まぁ、頑張りな」


そういって、サイゼンさんは最後に紙を一枚渡してくれた。


「これが、さっきのやつにも渡した通行証だ。門番に渡せば、61層の入り口を説明してくれる」


私がその紙を受け取ると、サイゼンさんは「頑張っていってこい」と手をひらひら振っていた。


私と、ムーファは、向かい合ってうなづく。


「よし、じゃあ、頑張ろうか!」

「うん!」


ここまで読んでくださり、ありがとうございます!

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