美術家は絵を描きたい
僕にとっての芸術ってさ・・・僕が楽しむ為にある、、いわば自己中な作品なんだよ。だから。他人に評価をされても「そうなんだ」程度にしか思わない。凄いって言われても、ダサいって言われても、僕は僕が作りたい芸術があるんだから。
☆
それはとある美術館の事だ。僕の絵を展示してもらっているその美術館は、一般的に言えば結構有名な凄い絵画が置いてある場所なんだ。だから、僕としてはこんな所においてもらって嬉しいと言う気持ちがある。
ただまあ、僕の絵は結構賛否が分かれるからなんで置いてくれたのか分からないけど。
そう言う訳で僕も一般入場者として見て回る事にした。関係者だからチケットは貰っているのだ。
「・・・この人、、面白いな」
まず目についたのは、入口すぐ目の前にある抽象的な絵画だ。その絵画はどういう気持ちで作ったのか分からないけど・・ただ、今まで色々な美術品を見てきたこの目が「この作品は凄い」と言っている。
あれだ。芸術に触れることが無い人がモナリザを見ても何が凄いのか分からないのと同じだろう。ただ、僕色々な芸術に触れてきたから何となくではあるが凄いと分かる。・・・例えば、この作品は色の使い方が独特だ。
別に独特だからいいとは言わないが、この作品に至ってはその色の使い方で表現しているのだ。えっと?作品名は「悲しみの孤島」。・・・随分としゃれた名前じゃあないか。
この色で悲しみを表現したと言うのであれば随分と頭がやわらかい。悲しみを表現しやすい暗い色を使わずに、全て近い明るい色だ。それに、この作品の中には暗い表現が一つもない。・・・この人とは一回話をしてみたいな。
やっぱり芸術の表現ってある程度は枠が存在しちゃうんだよね。こんな風にすれば暗く感じるよとか、でもこの作品はその常識を壊しに来ようとしている。いい作品だ。
「よし、次に行くか」
まだ一作品目なのに随分と時間をかけてしまった。このペースだと全部回りきれるか分からないぞ。
そんな表面的な感情とともに移動時間を出来るだけ短くしながら回るのであった
するとそんな時。・・・入口の方から大きな音が聞こえたではないか。その音はまるで銃声のようで、過去に銃撃戦に巻き込まれた時を思い出す・・・あの時は黒人差別に関する乱闘で見ていた僕も割と危なかったんだよな。・・・不謹慎かもしれないけど、それで一作品作ったっけ。
まあ、今はそんな事を考えている場合ではない。本当に発砲音なのであればテロと言う事だ。たぶんこの美術館に押しかけてくるだろう。・・・ここは日本だぞ?なんで銃なんかを持っているんだ。
ただ・・・ここにいる人たちは何かの聞き間違えと思ったのかまだ静かに絵画を見ている。随分とのんきだな。そんなふうに思いながらも僕も見ているんだが。
だって、折角こんな格式が高い美術館に呼んで貰ったんだから全部見ておきたい。それに、ここにある作品は普通では見れないような作品が数多くある。値段で言えば1000万はくだらないようなそんな作品が陳列しているのだ。
何が起きても見切らない訳には行かないのだ。・・・その気持ちはここにいる人たちも同じなのか、それともさっき言った通り聞き間違いだと思っているのかまだここにいる。
「さて、次に・・」
「おらぁ!!!!しねぇ!!」
すると何と言う事だろうか、入口の方からまた銃声音が聞こえたではないか。今回はそれと一緒に乱暴な男の声も一緒だが。・・・本当にテロなのかよ。
僕はその事実に困惑をしながらも、安全だからと日本で解された意味はそこまで無かったんだなと主催者を恨む。・・・これなら僕の作品は提供しなければよかった。こんなテロリストに奪われるのは嫌だし。
そんな後悔をしながらも、何とか逃げようと出口に向かおうとする。
「おら!打て打て!」
ただ、その行動は遅かったらしい。
もう、テロリスト達は僕のところまでついたらしく、意気揚々と壊れた感性で銃を乱射する。その時放たれた銃弾は逃げるのが随一遅かった僕に着弾していく。
銃の扱いは素人っぽかったけど、ここに来るまで発砲しまくったせいかなれたのかな?ちゃんと盗品になるはずの芸術品には当たらないように打たれている。
・・・まあ、僕の作品に傷が付かないならいいかな。
そんな願望と共に、僕はそのテロに巻き込まれて死んでしまったのであった。最後は悲鳴と共に死んでゆく。
☆
「と、いう感じで死んでしまったのです。」
「ふむ・・少し現実味が無いな。」
僕はあの後ちゃんと死んだらしく、今は天界?と言う場所にいるらしい。何でも多大なる業績がある僕はどうなるかを決めるみたいなのだ。その相談でこの天界と言う場所にいるらしい。
「まあ、当たり前と言えば当たり前ですよ。人間がここに来ることが出来るのは死んだ後ですから。死んでしまったら人間界に干渉する事は出来ません。ですから、それはしょうがないんです」
「ふむ・・・すまないが鉛筆と紙は無いか?」
僕は何か思いつきよれをどうにか残そうと目の前にいる神様にお願いをした。
「鉛筆と紙ですか?いいですよ、それくらい。なんたって私は神様ですから!それくらいはお茶の子さいさいです。・・・ハイどうぞ。」
調子に乗っているのか分からないが目の前の神様は優しいみたいだ。そんな感想を抱きながらも、神様は手を前に出すとそこには鉛筆と紙が合った。数秒前には無かったはずなのに、その手にはちゃんと鉛筆と紙が握られている。
僕はその現象に驚きおもわず固まりながらも、渡されたその物を何とか受け取る。
「ありがとう。・・少し待っていてくれ。」
ただ、鉛筆を持ったことで気分を切り替えることが出来たのか、芸術家としても一面が出てきた。するとどうあるか。・・・目の前の紙の事しか考える事が出来なくなる。
僕はあふれ出てくるインスピレーションに身を任せながら、渡された紙にドンドン絵を書いてゆく。
「え!今書くんですか!私の話が終わってからにしてくださいよ!」
神様は何か言っていそうだが、その声は僕が集中していく度に聞こえなくなっていく。・・・やっぱり絵を書くのって楽しいよな。
☆
数時間後
僕は神様に出してもらった椅子に座りながら、神様に出してもらった質のいい道具を使って書いていた絵が今書き終わった。凄い集中していたからいつもよりも早く終わったな。
そんな感想がすっと出せるほど今の僕の頭の中はスッキリしている。さっきまではどういう風に書くかで頭の中がいっぱいだったから、それ以外の思考は出来なかった。まあ、出来たとしても書きたい事に影響したら嫌だから何も考えないんだけど。
「やっと終わりましたか!流石にユーチューブで時間を潰すのには飽きましたよ。」
すると待っていましたと言わんばかりに神様が何処からか出現した。先ほどまではここには僕しかいなかったのにだ。
・・・。
「すまないっが少し待っていてくれ。」
やっとかと安心した神様を横目に僕はまた鉛筆に手をかける。・・・・・・宗教には興味はないが、神が出てくる瞬間に何も思わない人は少ない。今の神さまの行動でインスピレーションが湧いてしまったのだ。
このインスピレーションを無駄にしたくはないと行動するのは芸術家としては正しい行為だ。そう自分の行為に正当性を付け加える事で罪悪感を一切出させないようにする。・・・人を無視するときに大事な方法だ。よく使っている。
僕は何か言いたそうにしている神様を無視して作業に取り掛かるのであった。
「ちょっと!ま・・って・・・て・・ぁ。」
もう何も聞こえなくなった。今は絵を書きたいのだ。
☆
数時間後
僕は神様に出してもらった高品質な絵具をふんだんに使った絵が完成した。いままでこんなイ大量に絵具を使ったのは初めてだったから思わず舞い上がってしまった。・・・お金が無い訳では無いけど、絵具って意外と高いから沢山使う事は少ないんだよな。
美術館に出すような作品だと使うけど・・・やっぱり高品質な絵具は使いづらいよね。特に赤とかは高いから赤を沢山使う絵を書く時は精神的な疲労がすさまじい。
そんなものを、いままで見たことが無いくらい高品質で大量にくれたわけだから舞い上がってしまうのも仕方がない。
「うん。良いな」
僕は目絵の前にある今書いた作品を自賛している。やはり自分の作品は自分の子供の様な感情で向き合ってしまう。
すると、何処からかピロンと音が聞こえてきた。
『複数の神が賛称しています』
突然出てきたその文字になんなのかと驚く。だが僕にはそれがなんなのかは分からないので、ただそこに書いてある事をそのまま受け取る事にした。
神様が見てくれているのか。・・・複数と書いてあるからさっきここにいた神様では無いんだろうけど。まあ、この絵を見て楽しんでくれたなら嬉しい物だ。・・・そうだ!僕が持っておくのも良いけど、この出来なら神様に渡すのも良いな。
・・そうしよう。
「んん。神様は僕の声は聞こえているかい?」
神様がどこに居るか分からないので、しょうがないが聞こえていると信じて虚空に声を出すことにした。この絵が見えているのであれば僕の声も聞こえるだろう。そう淡い気持ちを信じて。
『複数の神が反応しました。』
お!聞こえているんだ。よかったよかった。もし聞こえて居なかったらこの絵を渡せないところだったよ。
「もしよければだが、この絵が欲しい神様はいないかい?僕が持っていても埃の下敷きになってしまうからね。」
そう。僕は沢山の絵を描くから一枚一枚を綺麗に整頓する事が困難なのだ。結構前にいた弟子にはちゃんとかたずけろと何回も怒られたものだ。まあ、そのおかげで自分の絵の片づけ方が身に付いたのだが。
その片づけ方の中で、結構メジャーだったのが行使て誰かに渡す事なのだ。・・・結構いい値段で売れるから生活の足しにしていた。まあ、今は神様に渡すわけだからお金を取る気はないけど。
『複数の神様が反応しました』
・・・複数の神様に反応されたは良いけど、、、これだと誰に渡したらいいか分からないな。。。個人名とか出れば。それに、絵は今書いたのとさっき書いたので2枚しかないから公平に分けることは出来ないんだよね。
『売買の神様がオークションを提案しました』
『複数の神が賛同しました』
『売買の神様がイングリッシュ・オークションを開催しました。』
お?何か起きたぞ。・・・勝手に進んでいくから何も出来ないな。出来ればオークションをしていいか聞いてからやって欲しかったんだが。。まあ、元々お金を取る気は無かったけど、それでもお金をくれるならそっちの方が良いかな。
僕はそんな感想を抱きながらも、勝手に開催したとはいえ僕は何もしなくて良さそうだかららくでいいなと思っていた。
『正義の神様が100Aで入札』
『楽観の神様が200Aで入札』
『鉱石の神様が1Bで入札』
おお?!始まったみたいだ。・・・なんかすごい勢いで文字が流れていく。こんな光景を見るのは初めてだから思わず感動している。
なんか楽しいと言うか。そもそも文字が空中に浮いていること自体面白いのに。・・・なんかまた書きたくなってきたな。
いや、こんな光景を見ていると神様って意外と人間と遜色なさそうと言うか、それでインスピレーションが湧いてくる。
「えっと・・・オークションはやっていていいので、終わったら教えてください。」
オークションは売買の神様が管理してくれているみたいなので全部任せてしまって、僕は今書きたい絵を書くことにした。・・・インスピレーションが湧きすぎて脳みそが痛い。今までにないくらい脳みそが動いている感じがする。
☆
またもや数時間後
多大なる集中力を消費して書き出されたその作品は今までに書いたことが無いジャンルであったが、そのおかげと言うべきか他にも要因はあったと思うが満足いく絵になった。
今では鉛筆を持ちすぎて手が痛くなっている。ここまで連続して持つことは無かったからどこか達成感で溢れていて気持ちがいい。今は甘いものを沢山食べたい気分だ。
「あ~疲れた。」
僕は達成感から思わず声が漏れてしまった。だけど、その声が絵に向けていた集中を雲散してくれる。切り替えは大事だからね。
『複数の神が賛称しています』
お!やっぱり神様から褒められるのは嬉しいね。褒められているのはなれているが、神様と言う高位な存在から祝われるのは初めてなので感情を隠しきれない。
「そう言えばオークションはどうなった?もう数時間たっているし終わったのかな?」
僕がそう言うと、目の前に文字が書かれて行った。
『現在の最も高い価格を提示は【芸術の神の10Fと色覚上昇】です。』
うっとおしかったので先ほどまで消してもらっていたから状況が分からなかったけど・・・結構いい方なのかな?でも、その・・・
「その色覚上昇って何?」
僕はそこに書いてある文字が気になった。このオークションってお金だけではないのかな?
『入札に伴う説明 種族としての能力が上がります』
ふむ。つまり、この状態で落札されると僕に見える色が増えるって言う事なのかな?確かに人間が認識出来る光は光の三原色と言われる「赤」「緑」「青」と言われている。だが、人間以外の動物にはそれ以上の光を認識出来る生物がいると言われている。
例えばだがモンシロチョウは4色型と言われており、3色型の人間よりも見れる色が多いのだとか。そのおかげで、私たちは分からないような雄と雌の違いがすぐにわかるんだとか。
つまり、色覚が上昇すると言う事は私が今まで見たことが無いような世界を見ることが出来ると言いう事。・・・なんか面白そうだな。
もしかしたら、僕と神様の間でも認識出来る色の違いがあるのかも知れない。今僕が見ているこの絵は私から見た物と、神様が見た絵では違うのかも知れないのか。
『英雄の神様が1Gと【能力 存在価値】で入札』
・・・?また分からない単語が出てきたぞ。
『能力の説明 その能力を持っていることで様々な現象を起こします。』
『【能力 存在価値】の説明 その人物起こした偉業に比例して、偉業に類似する新たな能力が与えられる。』
なんか良く分からないけど良さそうだな。結構前に知り合いの子供が呼んでいた漫画で出てきていた異能とかそう言う物と似ている。・・・もう大人だけどこういう人間が持っていない能力が与えられるのはどこか心が揺さぶられる。
若い時を思い出す感じだ。・・・10代の時は何か意味深な絵を書いたものだ。やばい、また書きたくなってくる。だけど、そろそろ書く気力が無くなってきたんだよな。精神的に疲れたと言うか、少し休んでからじゃないと書けない。
『一定時間入札がされませんでした。英雄の神の1Gと【能力 存在価値】で落札されます。』
あ、終わったんだ。オークションに関しては全部やってもらっていたからシステムとかは分からないけど、なんか良さそうな感じになったみたい。結構大変だったんじゃないかな?なんか値段は結構大きな感じになったみたいだし。
僕はやっと終わったことに安堵していたその時。
「やっほ~。」
そこに居たのは僕が知らない神様であった。・・・もしかして さっき落札してくれた、英雄の神様なのかな?何も言われていないけど、お金とか能力を渡すために来たのだろうか。その辺のシステムは分からないけど。
「こんにちは僕は神崎と言います。英雄の神様ですか?」
「そうだよ~。僕は全ての英雄を司っている神様だよ!」
へ~。・・・良く分かんないや。
僕は突然目の前に現れた、少年の様な見た目の神様に対してそこまで興味が無いからか絵を手に取りながら話していた。・・・落札してくれたのは嬉しいけどね。
「それでは・・・これがオークションに出した絵画です。もう渇いていると思いますが、あまり触らないようにして下さい。」
「ほうほうほう!やっぱり良いね。買ってよかったよ。」
英雄の神様はその絵を見ると賞賛してくれた。目の前で喜んでくれるのはいいな。そんな感想を抱きながら、まだ見ていたそうな神様を横目に時間がかかりそうだなと考え、鉛筆を削る事にした。
書いている途中も削って掃いたけど、それでももう3枚も書いたからか芯の消費が激しい。そろそろ新しい鉛筆が欲しいなと思っているところだが、この場所で書く事は無いだろうから、別にいいやと思っている。
だけど、僕の感性が鉛筆を削っとけと言っているので、使った事に感謝して鉛筆を削っていた。
「・・・・じゃあ、持ち帰らせてもらうよ。。。そうだ、ちょっとこっちに来てよ。」
「え?はい。」
見終わったみたいなのでまだかと待っていると、近づけと言われた。何をされるか分からないけど、まあ別に警戒する事でもないだろう。
なので、普通に英雄の神様の前にたつと僕の額に手を置くように腕を伸ばしてきた。なんなのかと思ったが、その神様からは謎の威圧感が発せられており動いてはいけないと思ったのでジッとしておく。
そこで動いたら何が起きるか分からないと、僕の危険察知能力が警告を鳴らしているようであった。
「ちょっと待ってね・・・はい出来た!」
英雄の神様は何か満足したようで額から手をどけると絵を持ってどこかに行ってしまった。・・・額に手を置いたのはなんだったんだろう。
そんな感想が出てくるが、それは直ぐに解決した。
『英雄の神様から1Gと【能力 存在価値】が支払われました。』
その文字が目の前に浮かんだことで、あの額に手を置く動作は料金を支払うための行動だったんだと納得した。普通に手渡しではないのは分からないが、能力に関しては手渡しは出来ないんだろう。
・・・あれ?そう言えばお金の方はどこにあるんだろう。多分『1G』と言う奴がお金だと思っていたんだけど。。。。まあ、いっか。別に困る事でもないし。それに使う場所は知らないしね。
合ったとしても宝の持ち腐れになってしまう。
もともとが無料で渡す予定だったからお金の事はそこまで重視していなかった。そのおかげで今は割と気楽だ。
『英雄の神様から追録があります』
『絵画ありがとね。料金とはべつでお礼として僕の加護を上げるよ!』
『英雄の神様から【加護 英雄の神様】が与えられました』
僕は今目の前で起こったことを理解するのに数秒かけてしまった。いや、今まで料金とは別でお礼とぢて何か貰う事はあったけど・・・多分加護って凄い物なんでしょ?そんなものを貰ったのは割と驚いていた。
「届いているか分かりませんが・・・ありがとうございます。」
僕はお礼を言うことにした。単純に感謝しているからである。・・・そうだ、忘れそうになっていたが、まだ絵はあるんだった。
ぼくは椅子の方を見ると、そこには2枚の絵画が置いてあった。そのどちらともが僕の人生での代表作と言えるほどの出来であり、そうそう捨てる事が出来る様なものではなかった。
・・・この絵もオークションしてもらおうかな。
「まだ売買の神様はいらっしゃいますか?この絵もオークションにかけて欲しいんですが。」
出来ればの話なので、オークションが出来なくてもいいか無いと思っているが・・・。
『売買の神様が承諾しました。』
『これよりイングリッシュ・オークションを開催します。』
その文字が出てきたところを見るとオークションをやってくれたことが分かった。なので後は任せてしまおうと思い、文字は一旦消してもらう。さっきの様にやってくれるなら僕が見ていなくてもいいだろう。
オークションが終わるまで少し休もうと椅子に座るとなぜか型が重くなった。
・・・そう言えば、集中しすぎたからか少し眠いな。
そう。僕はここに来てからずっと絵を書いていた。絵を描くのは意外と腰や肩に悪くてよく壊してしまう事もあった。だけど、ここに来た時は結構調子がよくてノリノリで書いていたが・・・流石にこんな長い時間描いているとつらくなってきた。
オークションを開催してくれているので椅子に座って待っていようと思ったが、少しつらいので横になって休憩を取ろう。
僕はお願いした側なので、だらしない態度を取るのはやめた方が良いと思ったが、体力の限界だ。ゆっくりと床に寝そべりぼーっとしていると、眠気が襲ってくる。
僕はその眠気に逆らう事無く、寝てしまう事にした。起きたころにはオークションは終わっているだろうと思いながら。
☆
『英雄の神様に『画名 悲しみの涙』を渡した事により【能力 存在価値】の効果が発動。【能力 悲しみの涙】を生成し与えられます。・・・完了しました。』
『英雄の神様から【加護 英雄の神様】が与えられたことにより【能力 存在価値】の効果が発動。【能力 加護強化(英雄の神様)】を与えられます。』
『複数の神様を虜にした事により【能力 存在価値】の効果が発動。【能力 注目】を与えられます。』
僕は起きたら目の前にその文字が、なんでも【能力 存在価値】が発動したみたいだ。確かに、神様と交流する事は偉業だもんな。発動してもおかしい所はない。
それにしても・・・【能力 悲しみの涙】ってなんだ?確かに英雄の神様に渡した絵画はあの美術館で殺されたことを題材として書いたが・・・まあ確かにあの絵には『悲しみの涙』と命名はしていたが。
・・・能力の内容が分からないんだよな。
それに、他にも【能力 加護強化】と【能力 注目】が与えられたけど、、、何も分からない。【能力 加護強化】は加護を強化しているんだな・・・と言う事は分かるけど他は全く分からない。
・・・どうすればいいんだ?
『一定時間入札がされませんでしたので、娯楽の神様が2Gと【能力 鑑定】で落札されます。』
すると目の前にオークションが終わった知らせが届いた。その金額はさっきよりも高く2倍もしている。更にそれに加えて、【能力 鑑定】がある。
・・・たぶんオークションが白熱したんだろう。さっきのオークションと比べて明らかに高いけど、ここまで行くとは思わなかった。
それで、このオークションにかけられた絵はどっちだ?今手元には2作品あるからどちらのことかわからない。
「こんにちは!」
すると、英雄の神様と同様にどこからか出てきた。たぶんこの神様が娯楽の神様なんだろう。
その神様はひと目で娯楽の神様何だなとわかる感じの見た目で、サイコロとかの様々なものが装飾として飾ってある。
見ていて楽しそうな神様だ。
「こんにちは。僕は神埼と申します」
「僕は娯楽の神様だよ!よろしくね。」
すると、僕に近づいてきた手を握ってきた。・・・思わず固まってしまったが、挨拶で手を握るのはよくある行為だと思い出し、僕も握り返した。
だけど、急に握られたものだから驚いてしまう。
「よろしくお願いします。・・それで、落札された作品はどちらなんでしょう?」
僕は落札された作品がわからないので、正直に聞くことにした。別に誰に聞いても変わらないだろう。
「【首切りの救済】っていうのを落札したよ!」
首切りの救済。その作品もまた美術館の事でインスピレーションが湧いた作品なのだが。。。あの場では複数の人が死んでいた、、だけど僕は神様に救われたのかよくわからないけどここにいる。そんな状態を表すというか、まあ作品の説明で言うと・・・肉体から思考を離すことで救済される。そんな作品。
上には首を持っている神様がいて下に首がない人がいる。頭を思考する場所と考えて書いたそんな絵だ。まあ、もっと詳しく説明しようとすると結構時間がかかってしまうから言わないのだが。
その首切りの救済は二枚目に書いた作品だ。
「これですね。まだインクが乾いていないかもしれないので気をつけて持っていってください。」
「はーい!ありがとね。・・・そうだ僕も渡しておこ!」
元気よく返事をしてくれた娯楽の神様はその絵を持って出ていこうとしたところ、少し止まって僕の方をみた。・・・なにか企んでいるようだが、嫌な予感はしないので素直に受け入れる。もしかしたら、英雄の神様みたいに加護をくれるのかもしれないからね。
そうお持っていると、英雄の神様とは違い僕の手に手を合わせた娯楽の神様は数秒触ったあと離してくれた。
「うん。できた!僕の加護をあげたからこれからもよろしくね。よければ供物とかもちょうだいね。」
そう言うと、僕の返事を待たずに出ていってしまった。・・・勝手にやって勝手に出ていってしまったけど、どんなことであれ加護を与えてくれるのは嬉しい。
神様が守ってくれていると考えると心強く感じる。
すると待っていましたと言わんばかりに、文字が書かれていった。
『娯楽の神様から【加護 娯楽の神様】が与えられました。』
『娯楽の神様から加護を与えられた事により【能力 存在価値】が発動します。【能力 加護強化(娯楽の神様)】が与えられます。』
『娯楽の神様から2Gと【能力 鑑定】が支払われます。』
それは娯楽の神様からの加護と、オークションの分のお金だ。待っていましたとは言わないけど、なぜか毎回この文字が出るのが遅いから気になってしまう。
でも・・・今回のオークションで与えられた【能力 鑑定】は少し気になっている。鑑定とは「専門的な知識を持つ者(専門家)が、科学的、統計学的、感覚的な分析に基づいて行う、評価・判断」なので、もしかしたらさっきから渡されている、【能力】について分かる事があるかも知れない。
・・・で、どういう風に使えばいいのだろうか。僕は【能力 鑑定】を使おうとウキウキしていたが使う方法が分からないでいた。【能力 存在価値】に関しては勝手に発動してくれているから、使い方とか無いのだが鑑定に関してはどうすれば良いか分からない。
もしかしたら、【能力 鑑定】も勝手に発動するような物なのではないのか?と考えてしまう。
だが、その予想とは裏腹に目の前には文字が書かれていった。
『【能力 鑑定】の発動意思を確認。発動します。鑑定対象を指定してください。』
それは【能力 鑑定】に関する文字であり発動する事が出来たのであった。どんな風に発動するかドキドキしていたが、そこまで派手な演出がある訳ではないみたい。
僕はその指示にしたがって鑑定したい物を選択するのであった。だけど、最初に何を鑑定すればいいか分からない。けれど選択しなければ変わる事は無さそうなので、【能力 鑑定】の選択には【能力 鑑定】を選択する事にした。
鑑定を使うにしても能力の詳細は分からないのでまずは知りたかったと言う事でやってみたのだが・・・意外と行けてしまった。その証拠に、目の前にはでかでかと
『 鑑定の対象に【能力 鑑定】が選択されました。分析を行うため30分ほどお待ちください』
とかかれている。鑑定と言うほどだから分析するとは思っていたが、30分かかるみたいなので待たなければ行けないだろう。出来れば【能力 悲しみの涙】も鑑定をしてみたかったが、時間がかかりそうなので待っておこう。
☆
30分後
『【能力 鑑定】の分析結果が出ました。』
『名称 鑑定
分類 能力
詳細 指定した鑑定対象を科学的・統計学的・感覚的な観点から分析し様々な資料を扱う事でその鑑定対象を明確にする。またその動作は自動で行われる。
鑑定する対象の希少さに比例して鑑定する時間は長くなる。鑑定できる対象は一度に一つまで。』
『以上の結果が出ました。これにて鑑定を終了します。』
時間通り30っ分たった頃に出てきたその文字は、ちゃんと【能力 鑑定】を分析できていた。その結果は僕の予想よりも要約して教えてくれたおかげで分かりやすかった。想像では、大量の資料を見せられるのかも知れないと思ってた節もあるから、想像以上であった。
僕はその結果かに満足しながらその文字を読むと、鑑定を使う事で害は無さそうなので他の能力にも使えそうだ。
『【能力 鑑定】の発動意思を確認。発動します。鑑定対象を指定してください。』
あ。僕が鑑定したいと思ったから出て来てくれた。じゃあ、さっきから良く分かっていなかった、【能力 悲しみの涙】を鑑定してみよう。・・・えっと、さっきと同じように選択したら。。。出来た。
『鑑定の対象に【能力 悲しみの涙】が選択されました。分析を行うため1時間ほどお待ちください。』
よし、できたみたいだね。待ち時間は1時間で鑑定の時より長いけど気長にまとう。・・・そう言えば、英雄の神様に『画名 悲しみの涙』を渡したときは【能力 悲しみの涙】を貰ったけど、娯楽の神に『画名 首切りの救済』を渡しても何も貰っていないな。・・・もしかして、そこまで偉業じゃなかったのかな?
僕は『画名 悲しみの涙』と同等に力を入れて作った『画名 首切りの救済』は偉業にならなかったことに少し残念がっていた。だって、僕からしたらどちらとも良い作品なのに、片方は偉業ではないと言われるのは寂しい物だからだ。
だが、その心の声が聞こえたのか丁度いい時に文字が書かれてきた。・・・まだ一時間はたってないのでなんでかかれたのかと思ったらそれは【能力 存在価値】の文であった。
『娯楽の神様に『画名 首切りの救済』を渡したことにより【能力 存在価値】が発動。【能力 首切りの救済】を生成し与えます・・・・完了しました。』
それは【能力 悲しみの涙】を与えられた時と同じ文章であった。この作品も偉業とされたことに興奮していた。やはりどの様な事であれ、以上と認められるのは嬉しい。それが神に渡したからだとしてもだ。
・・・いや、神様が受け取る程良い作品という捉え方も出来るからそっちの考え方も出来るのか。
「・・・ん~。」
なんかさっき寝たけどまだ眠気が止まらないな。まあ、単純に疲れているからだと思うけど・・・もう一回寝ようかな。
僕はやることが無いのでまた寝ようかなと思ったそのとき、神様がここに入ってきた。
「いや~少し買い物に行ってきちゃいました・・・よ。。。。」
そこに居たのは僕をここに連れてきたであろう、最初に出会った神様であった。英雄の神様や娯楽の神様とは違い、一目見てどんな神様かある程度分かるような派手さが無く、実に質素な様子である。
そんな神様はウキウキとここに入ってきたが、僕の顔を見るとなぜか驚いていた。なぜ驚いているか分からないが特に変なところは無いと思っている。鉛筆の芯の色がついてしまっているくらいはあるかも知れないが合ったとしても、神様の様に驚く事は無いだろう。
それならなぜこんなに驚いているのか?
「あ、貴方・・・もしかして英雄の神と娯楽の神に合いました?」
「え?ハイ合いましたよ。」
なぜその神と合っていることが分かったのか分からないが、合っていることは事実なので返事はしておく。別にやましい事ではないだろうしね。
僕はそう思って返事をしたがなぜか目の前の神様は起こっているようであった。
「あいつら・・。後でぶっ殺してやる。」
おお。物騒だな。その行動は別に大丈夫だと思っていたが神様的にはダメだったらしい。それじゃあ、もしかしてオークションとかもダメだったのかな?
『一定時間入札がありませんでしたので、芸術の神様の5Gで落札されました。』
すると、目の前にはオークションが終わったとの文字が出てきた。その文字は神様にも見えているようで、目を思いっきり開いていた。その様子は獲物を見つけた虎のようでその神様の手が届く範囲には入りたくない。
僕は寝ていた体を起こして神様の近くにある絵画を放そうと運ぼうとしていた。
だが、その努力は無駄だったのかも知れない。怒っている神様をあざ笑うかのようにして、目の前から芸術の神様が意気揚々と入ってきた。ちょうど、神様と芸術の神様で挟むように。
そんな怒っていた最中に、さらに怒る対象が増えた神様の威圧感は心臓が弱い人ならとっくに死んでいる様なくらいである。そんな威圧を真っ向から食らっている僕は思わず気絶してしまいそうになるが、どうにか動く足を使って避難する事には成功した。
「はぁ。この私を怒らせるとは身の程知らずが。」
「え・・え・?ちょ、ちょっと儂は絵を貰いに来ただけなんだが・・。」
「ふふふ・・この度において言い訳ですか。身の程が知れてますよ?この私の名前を知らないとは言いませんよね?」
すると神様から赤いオーラの様なものが放出してくる。そのオーラは僕は何も知らないが関わってはいけないと言う事だけは脳みそが叫んでいた。そして今すぐ遠くに離れろとも。
何がなんだか分からないけど、本能に逆らわないで出来るだけ遠くに逃げようと走り出すことにした。だが、さっきまで数十時間座っていたおかげか一歩足をだした瞬間に腰を痛めてしまった。
歩けなくなってしまったのだ。そのおかげで目の前の荒事を間近で見る事となってしまう。
「今は創造神見習いとしていい子ちゃんぶってきましたが・・・流石にこれは私の堪忍袋の緒が切れましたよ。この名前を使うのは数千年ぶりですが大丈夫です。痛みなく消滅させてあげます。もちろん今回の事に加担したゴミたちも一緒に。」
「ちょちょちょ!流石にそれは危なくは無いかね。・・・あ、ダメだ。」
・・・芸術の神は早々に諦めてしまった。だがそれもしょうがないと言うくらい怒っていることが分かる。それにしても・・・もしかして僕も一緒に消滅される?
いや、今回の事には僕も加担しただろうから・・・それに勝手に行動したのも僕だし。・・え?死にたくないんだけど。
「元憤怒の神の名において権限を発動する。・・てめぇら全員死んどけ『ラグナロク』」
それは憤怒の神以外使う事さえできない最上級の世界終末論。その攻撃は神を殺すためだけにつくられた最終攻撃。指定した全ての神を殺すまで終わらない呪いだ。
つまりはその攻撃『ラグナロク』を発動した瞬間対象の神は死ぬことが決定しているのだ。・・・だがそんな中でも足掻くのは生物としての本能だろう。
「やっべぇ!芸術の神の名において権限を発動する!『塗りつぶし』」
「ああ゛?何防いでいやがる!お前らゴミ神どどもがいつもやっていることのやり返し何だからすなおに受けとけ!」
芸術の神は何とか逃げようと試みているが何ともできて居なさそうだ。今にも死にそうな顔をしてその攻撃に耐えている。・・・ならそんな場所の近くに居る僕は何をしているのか?
それは、
「ほれほれ。そんなに怒んなさんな。」
その元憤怒の神様の隣にはいつの間にかお爺さんが杖を持って立っていた。だが、憤怒の神様はそのことに気付くことなくまだ、攻撃を続けている。なぜ、真横にいるのに気づいていないのかわからないけどそれだけ集中しているのだろう。
「いつもいつもそうだ!創造神見習いになったことでマトモに仕返しも出来ないようになってから何回も何回もちょっかいをだしてきたよな!」
だが、声をかけても止まる気配がないので、お爺さんは杖を持ち上げ憤怒の神様に振り下げた。
その様子に思わずゴンッと音が聞こえそうであったが、そんな音は一切なくただ、コツンと優しく杖を頭においていた。
「そろそろ落ち着きなさい。」
すると、どうなっただろうが。憤怒の神様が発動していた攻撃はパタンと消え去り何もなかったかのような静けさがきた。
だが、その中でも異質なのは一切動かない憤怒の神様だ。
さっきおじいさんにコツンと頭を叩かれてから微動だにしていなく、その様子は異常としか言い表せない。だが、何が起きているのか分かっているのか芸術の神様はやっと終わったと言いたげに休んでいる。
それにお爺さんも疲れたのか床に座っていただが、その静けさはすぐに終わった。
「・・あれ?、、創造神様?!?!」
その憤怒の神様は僕と初めてあったときと同じような感じである。ただ雰囲気が戻っただけで、何が起きているかわからず戸惑っているようであった。
だが、そのお爺さんを見たときすぐに反応していた。
「ふぉふぉふぉ大丈夫かい?」
「え、ぁ。はい。大丈夫です。」
「そうかい。ここら辺で大きな力が渦巻いていたから何が起きたかびっくりしたさ。」
「申し訳ございません。」
その様子は偉い人に謝っているようであった。だが、その謝っている相手であるお爺さんは優しく穏やかであった。
こんな人が居るんだなと心が穏やかになってくる。
「いいよ。何でそんなことをしたんだい?」
「多数の神が私が担当する人間な干渉してきたので、思わず怒ってしまい。」
「ほうほう。・・・それはあっているかい?そこの芸術。」
・・・あー。たしかに元憤怒の神様からすれば目を離していた間にちょっかいを出された感じに思ったんだろう。たしかに僕からお願いしたことではあるけど、干渉してはいけないという規則があったなら駄目だったのだろう。
僕にも悪いところはあると認識した。
お爺さんが情報をもらうために指名した芸術とは、先程まで憤怒の神様の攻撃を頑張って防いでいた芸術の神様のことだ。
その神様は会話に関わりたくなかったのか、苦いかをしていた。
「粗方合っております。」
「違っているところは?」
「・・・ありません。」
それは違うと嘘を言えないのか誤魔化すことは出来ていなかった。だが、言ってしまったと後悔しているような様子である。
「その行動によってその人間に悪い事はなかったかい?」
「儂からみて、悪いことは起きていません。」
「何を言っているんですか?加護を与えたことで紋章が入ってしまっているではないですか。」
それは当たり前のように言った。僕は覚えがなく、その紋章とやらも分からない。だが、加護はもらっているので知りたい。
その紋章とやらはどれなのかと思い体を見てみると・・・手の甲に彩られているマークが書いてあった。ご丁寧に娯楽の神の加護であると分かるくらい玩具がマークの中に書かれている。
・・・こういうことか。全く気づかなかった。だけど、この程度なら気にしないけどな。
僕はそう思っているが、憤怒の神様は深刻そうにしていた。
「まだ、手に入れるのはわかります。手袋でもしたら分かりませんし。ですけど・・・英雄の神よ。なぜ、額に入れているのですか?」
え?
その憤怒の神の言葉は想定外であった。だが、娯楽の神以外にも英雄の神にもかごをもらっているのだから、紋章はあるだろう。
それに、英雄の神は加護を与えるとき僕の額に手を置いた。まあ、つまり実際に紋章があるのだろう。
僕はその事実に驚きながら、どうしようか考えていた。だって額になにか入っている人は・・・まあ、居たには居たけどそれでも少数だ。
だから、どうにか隠したいと思っていた。それがたとえ加護だとしてもだ。
「それに関しては儂は知らん。英雄の神に聞いてくれ。」
何で顔に入れたかは芸術の神にはわからないようで質問を拒否した。
「だが、何となくは分かる。顔ってのは常に見せる部分だ。目で見たり、耳で聞いたり、何かを食べたり、匂いを感じ取ったり。5感のうちの5つ全てが集まっている部分。更に額ということは体のすべての器官を動かす脳の骨一枚だ。
そこに紋章を入れるということは・・・「僕のもの」っつうことだろう。」
すると、その言葉を聞いた憤怒の神様はまたもや赤いオーラを出し始めた。もしまたさっきのような『ラグナロク』を発動したらと思うと腰が引けてくる。だが、それに臆さないで芸術の神様が再度口を開く。
さっきの言葉に付け加えるように。
「間違えるんじゃないぞ。これは儂が額に紋章を入れたとしたらの考えだ。決して英雄の神の言葉ではない。再度言うこれは儂の言葉だ、認識を捻じ曲げるんじゃないぞ。」
それは僕も大切にしている考え方だ。何か絵を描くときどんな風に書くか毎回考えるのだが、その時様々な考え方と出会う。
ただ、その考え方に影響されたからと、その考え方を描いてもそれは僕の作品ではない。だがら、どんな考え方でも分けて考えなければいけないのだ。
たとえ影響されたとしてもだ。
そして、その言葉に影響されたのか憤怒の神様は赤いオーラを消した。
「・・・まあ、いいでしょう。」
たが、その感情は消化しきれないのかどこか外方を向いてしまった。拗ねているのだろうか。
「ふぉふぉふぉ。独占欲が強いことは良いことなんだけどのう。今回は手を出した相手が悪かった。」
「それに、英雄の神様のやつそいつによほど惚れたのか【能力 存在価値】なんて言うものを与えていきやがったぞ。」
僕はなんてことないことだと思っていたが、その言葉を聞いたお爺さんは何故か怒っていた。なぜ怒っているのか分からない。他にも【鑑定】などをもらっているからそのくらいは大丈夫と思っていたけど。
「あやつ。前の神話級の付与から200年も経っていないぞ。最低5000年は間隔を開けろと言ったばかりであろう。」
「でしょう!さすがの儂でも2000年はあけ・・・あ、やべ。」
やばい。この人たちの時間間隔について行けないんだが。何で千年単位で物事を判断しているだろう。それなら僕一人の人間なんて気にしなければ勝手に死んでいるだろうに。
「ほう?お主も同罪のようだな。今回のことは謹慎程度で許してやろうと思っていたが。」
「ちよ、儂はそんなに悪いことはしておりませんって。ここに来たのも其奴から絵をもらうためでしたのに。」
あ、流石に焦っている。口を滑らせた程度とはいえその出してしまった事が重大だったんだろう。僕にはわからないけど。
でも、僕からしたら芸術の神様は何も悪いことはしていないんだよな。ただ、僕がお願いしたオークションに参加して商品を落札しただけだし。
「・・・お主のことはまた後で調べよう。それで、他にやんちゃした奴はいないかね?」
「ほ、他は・・・特にいないと……あっオークションを開催した売買の神が。」
「オークション?なんだそれは。」
あ、今のところ言わなかったから話さないで隠蔽しようとしているのかと思っていたけど、しっかり話したね。
自分の罪を下げるために言わなくていい情報まで喋っちゃうなんて。誰も言わないなら僕も言わないきでいたのに。・・・まあでも、憤怒の神様には空中に浮かぶ文字で落札とか見えていたから言わなかったらそれはそれで罪になるのかもしれない。
「・・・まあいい。オークションのことについては後で聞こう。人間に干渉しているとはいえオークションは対等な取引の範囲内だ。もんだいにするほどのことでもない。」
許してくれた。まあ、オークションに関しては僕の同意がないと出来ないだろうか、オークションで罰を与えると僕にも罰を与えなければいけないから、個人的にはすごく嬉しい。
「それじゃあ解決したからここら辺で帰らせて頂きましょうかね。」
お爺さんはそう言って帰ってしまった。すると、芸術の神様も続いて帰ろうとしているので止めた。
まだ、絵を渡していなかったからだ。せっかくオークションで落札できたのに現物が手に入らないのは駄目だろう。僕がお願いしたオークションなのに。
「芸術の神様!まだ絵を受け取っていないですよ!」
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