小さな種の正体
「ミクモちゃーん」
ジャスミンさんが俺を見つけて声を掛けた。
どうやら戻りが遅いので、迎えに来たようだ。
「ここにいたのね。遅いからゴブリンに手足を引きちぎられてないかって心配したのよ」
「エグい心配しないで下さいよ。それよりこれって何ですかね?」
俺はさっき拾った小さな種をジャスミンさんに見せてみた。
「え!?これスキル種じゃない!どうしたの!?」
「ゴールドスライムって奴を倒したら、ドロップしたっぽいですね」
「良く倒せたわね!そのスライムは遭遇するのもごく稀なのよ。倒そうとしても凄い速度で逃げるし、攻撃しても全然通じないし、危険性はないけどS級モンスターに認定されてるのよ!」
「いや。わりと倒すの大変でしたよ」
(ついさっきまで息を切らしていたもん)
「いや…S級は、わりとってレベルじゃないわよ」
スキル置換でスライムの移動速度を遅くしたおかげで、なんとか逃げられずに倒せたのだが、ひとまず俺のスキルの言葉伏せておいた方が良いかもしれない。
「それにしてもスキルの種って良いものなんですか?」
「それオークションで売れば、相当高値がつくわよ。最低でも金貨千枚はするんじゃないかしら」
「金貨千枚?」
この世界の通貨は良く分からないが、かなり高値なのだろう。
俺はスキルの種を鑑定してみた。
□鑑定結果□
《スキルの種》
・飲むとランダムに固有スキルを獲得出来る
□□□□
「おぉ!凄い!スキルゲット!」
俺はスキルの種をそのまま口に放り込んだ。
「ちょっ!ミクモちゃん!下手したら劣化スキ---」
ゴクッ!
ジャスミンさんが何か言い切る前に、俺はスキルの種を飲んでしまった。
《固有スキルを覚醒しました》
転生の時に聞こえた女性の機械的な声が聞こえ、鑑定を使った時に現れる画面に似た、映像が目の前に現れた。
《スキル覚醒》
固有スキル[色黒]
・肌が黒くなる