ネギ背負ったホモ
馬車を遠目に観察すると杖をついた猫背の痩せた男が一人、その後ろには馬車の荷台に顔を突っ込んで背を向け、ごそごそと何かをしているゴツい男が一人いた。
猫背の男は俺たちに気付き、杖に突いてひょこひょこと足を引きずるように此方に向かって歩いてくる。
「こんにちは!見ての通り馬車が壊れてしまったので見てもらえませんか?」
「あらま、それは大変ね」
ジャスミンさんが猫背の男と話している間に、俺は杖をついた男を鑑定する。
□鑑定結果□
《バッジ・ビア》
スキル[暗器術・中]・暗器の扱いが上昇
固有スキル[軟体]・体が柔らかくなる
《冒険者ランクなし》
《犯罪歴あり・強盗殺人》
ちかんしますか?はい/いいえ
□□□□
「ジャスミンさん、この人は今の俺より黒いですね」
「ほら!やっぱりね。私の勘って良く当たるのよ」
ジャスミンさんは手の中にある小石を親指で弾いた。
鋭く放たれた小石は男の持つ杖に当たり、一部が割れると、中から鈍く光る細剣が見えた。
「お?仕込み杖ってやつか」
先程まで笑顔を見せていた猫背の男が、別人のような鋭い眼光で此方を睨む。
「…っち!気付いてやがったか!おい!ワグノワ!」
先程まで背を向けていたゴツい男が、荷台から剣を取り出し走ってきた。
「おいおい!ずいぶん簡単にバレてくれるじゃねーかバッジ!近づいてきたら後ろから殺ってやろうと思ってたのによ」
「うるせぇ!てめぇがゴツ過ぎるから怪しまれたんだろうよ!」
男たちが言い争っている隙に、ゴツい男にも鑑定を使う。
□鑑定結果□
《ワグノワ・ベルノフ》
スキル[格闘術・中]・体術の扱いが上昇
固有スキル[色男]・女性に魅了効果
《犯罪歴あり・強姦》
ちかんしますか?はい/いいえ
□□□□
「うわ。こっちも真っ黒ですよ」
「じゃあさっさと倒して村にいきましょう」
ジャスミンさんが背嚢から棒を取り出し、落ち着き払った声色で言った。