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異世界クズ転生 〜原作のままに生きていく〜  作者: しゅー
四章 聖域で嗤う(予定外)
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Second big news………


 今日の学校が終わり、俺は漸く家へと帰り着いた。


「ただいまー」


「あ、おかえりー」


 俺はいつものように軽く声かけをして、家へと上がる。

 すると、これまたいつものように奥から母親の声が聞こえてきた。


 父も母も、最近は俺も大きくなってきて、昔のようなスキンシップは減ってきている。それなりに俺の成長が早いのも相まって、二人とも俺の子供扱いはやめたらしい。


 例えば父は魔法の練習がどんどん厳しいものになってきているし、ダメ出しも具体的なアドバイスが増えた。また母はよく家事をやらせてくるようになったし、ちょっとした家庭の愚痴も俺にこぼすようになった。


 だがもちろん、だからといって二人の愛情が減っているわけではなく、今も甘い時は甘いし、口調は変わってはいるけど、今もそこに込められた思いは変わらない。

 多分、二人もまだ扱いを変える過渡期にあるのだと思う。


 俺としては、中身が大人なので別にどんな扱い方をされても良いと思う反面、昔のように遊べないことに一抹の寂しさを覚えてもいる。

 あれは、俺にとっての本当に懐かしい『家族』という暮らしの形態だったから。

 もう少しだけ、誰かに甘えられるという体験に身を委ねていたかった。大人ではなく子供として、存在していたかった。


 ま、でもいつまでもそんなことは言ってられない。そんなものはただの逃げで、本来あるはずのない奇跡だ。

 俺もいつかは歳をとり独り立ちをせねばならないし、そもそも俺がいく予定の学園は全寮制だ。即ち、二人との別れも近いのである。

 俺が俺の目標に生きるためには、この変化にも慣れなくてはいけない。


 ……だが、とりあえず今は、この幸せな関係を保っていこう、と、そう思うのである。


 そう思いながら、俺は洗面所へと向かった。

 今日もまた、いつもの日常を続けるために。


 ◇◇◇


 俺が手を間終わってリビングへと出てくると、そこには数枚のクッキーが出されていた。

 そして、そこから母がクッキーを取ってはポリポリと口の中に入れている。


「……母さん、どうしたの、これ?」


「んー、手慰み?」


「それにしては随分凝りすぎじゃ……」


「たとえ暇つぶしでも、できるなら凝りたくなっちゃうっていうのが人の性だよ!」


「いや、凝り性なだけだと思うよ」


 てへっ、と笑う母は、幾つになっても少女然としてかわいらしい。これで三十路とかマ? まあ、だからと言って、相手は母親なのでそういう感情は抱けないが。一応性の目覚め(精通)はしたんだがな。


 あ、確かに同級生をそういう目で見られるようになったが、俺は少女趣味ではないので見ません。俺は紳士だ、うら若き少女に手を出すなど言語道断である。

 …………………そ、そのはずだ。最近女性の好みが肉体のものに寄ってきてる気がするのはなんもかんも全て気のせいなんだ。


 うん、まだ大丈夫、流石に義務教育修了前には手を出しません。

 だから、とりあえず忘れよ、この思考は。うん。


 頭の中の考えを打ち払い、そのことをごまかすかのように俺は母に話しかけた。


「そのクッキーってなんのクッキーなの?」


「普通に生地焼いたやつに砂糖かけただけ。模様は全部焼き方で作るやつだから」


「へー、料理って奥が深いんだね」


 俺は他愛もないやり取りを繰り広げながら、そのまま椅子に着く。

 そして早速一枚取って自分の口へと放り込んだ。


 ………うわ、俺好みだなぁ。


 その味付けに、俺は微かな感動を覚える。


 クッキーの生地がそのまま味となることはないが、だからといって生地が死ぬほどの砂糖はかかっていない。どちらの味も等しく生かされ、活かされた、とても良いクッキーだ。

 焼き加減もちょうど良く、サクサクとした噛みごたえもいい。手慰みというにしては、実に上出来なおやつだ。


 ただ一枚食べただけなのに、俺はもうこのクッキーが好きになってしまった。


「……うん、おいしいね」


 俺は素直に感想を述べる。

 すると、母はその言葉を聞いて嬉しそうに微笑んだ。


「あ、よかった。そういってもらえるなら作った甲斐があるよ」


 その笑顔を見て、俺はつい釣られて微笑んでしまう。

 母の瞼の奥で歪んだ蒼色の瞳が、窓からの陽光を反射して輝いている。それが美しくて、俺はじっとその目を見つめてしまった。


「あれ? どうしたの? 何かついてる?」


「あ、いや、なんでもないよ。料理上手だなって思っただけ」


「そ」


 俺たちはしばらくそうして、温かな光指すテーブルを囲んで、今日一日のことについて語り合った。

 その時間は、終わりを意識する俺にとって、とても大切な時間となったのだった。


 ◇◇◇
















 なんてさ、こうした幸せな一幕で終わってくれればよかったんだけど。

 ていうか、完全にその流れだったはずなんだけれど。


 うーん


 ぬーん


 ふーん?


 なんすか、これ?

 なんでこの幸せの絶頂に、運命はいつも試練を叩きつけてくるの?


 そうして俺が見つめるのは、今日の号外記事。


 昔に比べだいぶ発展してきた印刷技術によって、いまや王都には新聞社が存在する。

 週に一回程度、高額でニュース(検閲済み)を富裕層の皆様へお届けしているのだが、これはその手のものではない。


 これは、号外記事。大事件が起きた時に、すぐさま『町中』に『無料』で通知される緊急新聞。


 その特徴は、国による監査が入る前にばら撒かれるということ。

 即ち、国の監査などにかけてる場合ではないほどの事件が起きたということを町中に知らせるものなのだ。


 これはあまり褒められたことではないが、しかし新聞社も反省する気がないし、今の所害になるようなことはしていないしで、あんまりお咎めはないらしい。

 ま、まだ始まったばかりで社説もなければ事実捏造も少ない、というのが原因だと思うが。


 で、だ。

 今、俺はその号外記事を読んでいるわけである。


 その内容が、これだ。


『題名:反社会組織宵闇の忠臣(ルミナ・アベルティー)幹部、確保!

 つい先ほど王都の教会を守護する神護会が、教会に忍び込んだ不届きものを捉えたと発表した。

 その名は通称パット、国家転覆を図る組織、宵闇の忠臣において幹部を務め上げる男である。

 教会曰く、彼らは本日の夕刻ごろに王都協会へと忍び込み、そこに封印されている大悪魔『アンリヨール』の復活を目論んだとのことだ。

 その目的は全く不明であるが、しかし宵闇の忠臣の目的は国家転覆であるとされており、現在は悪魔の力を借りることによって勢力の拡大を目論んだのではないかとされる。

 また、神護会は今回の件について、「ここに忍び込んだ者は四人組だった。相手のミスによって一人捉えることができたが、即日全員の確保ができなかったことは完全に我々の落ち度である。必ず全員捉えてみせる」と、彼らの撃滅に前向きな姿勢を見せた。』


 いやー、これ……どゆこと?????

 だって、アンリヨールって──────ラスボスなんだけど?


 そう、この物語表のラスボスの一人にして、これから起こっていく悲劇の糸引き役、それこそが、大悪魔アンリヨール。

 そして、彼こそは……今日、宵闇の忠臣によって復活するはずだった者である。


良い雰囲気で終わると思った? 残念! 問題発生でした〜。

細かい説明は次回です、お楽しみに!


(あと主人公の好みが変わってるのはマジ。完全に肉体に引っ張られて同年代が好み(子供好き)になってる)

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