First Big News!!!!
「へー、じゃあフラウちゃんも竜喜祭いたんだね」
「そ、ちょうど親の都合があってね。人生初の旅行としては大満足って感じ!」
「フラウちゃん、よかったねぇ」
「うん! でも、レインちゃんとグリム君は一しょだったんでしょ? だったら私もいっしょが良かったー。それだけが不満かな」
「あはは、確かにそうだったかもね、仕方ないけどさ」
俺、レイン、フラウという珍しい組み合わせで、今日の昼休みの会話は行われていた。
あの時一緒に遊びたい、などと話をしたからか、最近の俺たちの距離は急接近して、今ではフラウは完全に俺らの仲良しグループの一員となっている。今まであったような微妙な心の壁が取り払われ、口調もあの日の『素』に近いようなものだ。(個人的には、演技のマドンナ感がある方よりこっちの方が印象がいい)
ああ、或いは、ルーナと仲がいい、というのも効いたのかもしれない。
そして、教室で特にすることもない俺たちは、遊び関連ということで、最近の思い出について語り合っていた。
しかし、よく見てみるとうちのグループのリーダーがいない。
いったい彼はどこへ消えたのか、それは──────
「おいお前ら! いいこと考えたぞ!」
そう言ってユキは、廊下から勢いよく教室に飛び込んできた。
「「「……………………」」」
突然のことだったので、クラスの全員が絶句する。いったい急に何を言い出したんだこいつは、と言った顔で、クラスの人数分の顔がユキに向けられていた。
そのことに気付いたのか、ユキは照れたようにこほん、と咳払いをした。
「あー、いや、気にすんな、こっちの話だから」
ユキが訂正すると、クラスのみんなは「なんだよー」などと適当な反応をして、元の会話に戻っていく。
その様子を、ユキはどこか都合悪そうに眺めていた。
「………で、どうしたの? お手洗いから帰ってきて開口一番大絶叫なんて、君らしくな………いや、いつも以上に君らしいことして」
衆人環視の目から外れてホッと胸をなでおろしている様子のユキに対し俺は歩いて近寄ると、そう声をかけた。
まあ、普通に考えてあの言葉は俺たちに宛てたものとして取っていい筈だし、多分変なことはない筈だ。
実際それはあっていたようで、俺の声を聞くなりユキはふふん、とした顔になって、再び俺たちへ自分の考えの発表を始めた。
「いや、少しひらめいたことがあってな! ずーっと考えてたことが実現しそうで、まい上がっちゃったんだよ」
成長期途中のまだ細い体で目一杯に胸を張ると、ユキは今までにないほどにキラキラと輝いた笑顔を浮かべた。これほどまでこいつが舞い上がるとは、一体どうしたことだろうか。
俺が不思議に思っていると、隣から呆れた様な声が発せられる。フラウだ。
「まーたユキが変なこと言ってる……。大体こういう時って、いっつもロクでもない案が出てくるからなぁ」
フラウがやれやれ、と言った様子で肩をすくめる。
…………まあ、正直同意できてしまう。だが、流石にそれをはっきりいうほど残酷ではない俺は、肯定も否定もしない優しい笑顔を浮かべておく。
なおレインはそんなことは意に解さず、その名案とやらを心待ちにしていた。純粋すぎてお兄さん心配になっちゃうよ……。
「お前らな………まあ、いい。今回のやつはちゃんと考えたやつだからな。思いつきじゃない。だから、そんな失敗も起こらないぞ!」
それいつもは思いつきって認めた様なものだよ、という一言は、とりあえず心のうちに仕舞い込む。優しい。
そして、そのまま俺はユキの言葉を促す質問をする。
「それで、その案って何についてのことなの?」
「ああ、よくぞきいてくれた!!」
待ってましたと言わんばかりのテンションで、ユキは俺の方へとぐるりと回転した。
くっ、その純真な瞳に俺のメンタルが少し傷ついた。……だが問題はない、かすり傷だ。ここまで成長すれば、さすがの俺も慣れてくる。もはやレインでもなければ俺にダメージを与えることは不可能だ。
「ちょっと前にさ、皆んなで遊ぼうっていってたの、覚えてるか?」
ユキがそう聞いてきて、その時の光景が脳裏によぎる。
うむ、確かに覚えている。というかさっきも回想やったぞこれ。アレは俺もフラウも結構乗り気だった気だったな。珍しくいい案だ、とかなんとか。
「それでさ、あの日からおれ、ずっと考えてたんだよ。なんかできることないかなって」
え、なんか健気。俺とか完全に記憶の片隅に追いやってたのに。思い出になればいいなーくらいにしか思ってなかったわ。
そう思って隣を見ると、どこか気まずそうな顔のフラウと目があった。
フラウ、お前もか。
そんな俺たちの戸惑いも知らず、ユキはワクワクした顔で話を続ける。
「そして今日、おれひらめいたんだよ!! いい遊び場があるじゃんって!」
ユキのキラキラした目が俺たちへと迫る。ぐい、と差し出されたそれに俺たちが全員一歩下がると、またユキが一歩近づいてきた。
ユキさん、ちょっと近いっす。ほら、フラウとか照れちゃってるから……思春期でしょ、君、も少し遠慮して……。
「で、そ、それってなに? いい遊び場って……思いつかないけど」
照れ隠しなのか、フラウがその口を開きユキの興奮した言葉を遮った。
すると、ユキはキョトンとした顔をしてから、再び表情を戻す。
「ああ、いってなかったよな。ふふ、それはな———教会だよ!!」
大きなユキの声が教室に響きわたる。(さっきのことに懲りてないのか、こいつ)
ただ、幸い教室も騒がしく、その声は喧騒の中に吸い込まれていった。
流石に大声を出しすぎたと反省したのか、少し声のトーンを落としてユキは話し続ける。
「いいか、この前教会に行った時、エ……エレボスさん? が言ってただろ、そろそろ教会が一般公開されるって。それ、なんかいいと思わないか? この時期だけの特別感もあるし!」
ユキのその提案に、俺たちは少し考え込む。
教会、教会かぁ……あんまり楽しいってイメージないけど、別にそこだけで遊ぶわけでもない。
それに確かにあんまり行ったこともないし、ちょっと特別感もある。豪華なのに飽きたら、少し離れの方の質素な所で遊べばいい……
うーん、まあ特に嫌なところはないかな。しかも王都のだから結構由緒ある観光スポットらしいし。
おけ、俺は賛成かなー。
「うん、いいんじゃないかな。教会で遊ぶのは面白そう」
「うん、いいと思う。教会って、ワクワクするよね!」
「いい、と思うかな。わたし、あそこのふん囲気が好きだから」
俺、フラウ、レインの三人の声が被る。しかも全員賛成だ。
ユキはその言葉を耳にして、より一層その目を輝かせた。
きっと、本当に楽しみにしていたのだろう。記念に皆んなで遊ぶ、と言う行為にあまり意味を見出さなさそうなやつだと思っていたが、案外そう言うのが好きなやつだったんだなぁ。
「よし! それじゃ決定だな! 具体的な遊びの内容はまた今度考えるとして……とりあえず、今度教会であそぼーぜ!」
ユキの声が高い。本当に興奮していることがわかる。ここまで喜ばれると、一緒に遊べる俺たちもとても楽しいだろう。
俺も、今からその日が楽しみである。
そうして話が一段落した後、教室にチャイムが鳴ったのを皮切りに、その日の俺たちは解散となった。
なんか今日で七ヶ月も連載してるらしいです。
もうすぐ一年とか……馬鹿かな? 一年かかないつもりだったけど、なんかかかりそうやなぁ。
更新は遅くなるし、話もどうなるかわからないこの物語。これからも、なんとなくでいいので追い続けていただけると幸いです。
それでは、また次回お会いいたしましょう。
高評価とブックマークも、よろしくお願いいたします……。




