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異世界クズ転生 〜原作のままに生きていく〜  作者: しゅー
間章 ページの隙間の暗躍と行動
77/125

秘密多き少年バルの初恋と決意

ちょい短め


 今日は一日とても楽しかった。

 いや、正しく言えばここ最近ずっと忙しくて日記書けなかった分も合わせてるから、「一日」は変なんだけど、全部含めて一日って事にする。

 どうせ僕しか見ないので、べつにいいと思う。


 僕がリジースに正体を秘密にする代わりにっていう約束で街を回っているときに、ちょうど竜災が来た。


 最初は大きな地震があって、すごくびっくりした。建物の倒れる音は聞こえてくるし、民は混乱して押し合いになるしで、ひどい状態だった。

 だけど幸い、リジースも僕も怪我はなかったし、混乱する民衆に踏みつけにされる事もなかった。

 あと、リジースを王子として守ったのは、自分で言うのもなんだけどよくできたと思う。(民衆を守るのは王族の務めだ)


 でもそれからは、てんでだめだった。リジースが一気にパニックになってしまって、なんとか宥めようとしたけど、全然おちついてくれなかった。

 本当は、王子としてカリスマを発揮してあげるべき場面なのかもしれないけど、恥ずかしいことに、それは僕にはまだできない。父上のようになるには、まだまだ経験が必要だ。

 いくら頭がよくったって、相手を安心させてあげられる王様じゃないと、意味がないと思った。僕は自分のことを買い被り過ぎていたんだ。もっとがんばらなくちゃ。


 でも今から思うと、あんまり大きな声では言えないけど(多分リジースは怒るだろうから)、あれはある意味幸運だったのかもしれない。

 だって、グライ君とレイン君に会えたから。


 あの二人はすごい。魔法も使えるし、すごく僕のことをわかっていた。

 グライ君は、まるで僕のことを元から知ってるみたいに僕を見てくるし、僕と同じくらいしっかりした子だった。多分同い年。あんな子は見たことがない。

 どこか自分を持ち上げているみたいになっちゃうけど、きっと彼も僕と同じ様な人種だと思う。寂しがり屋というか、ちょっと人と違うところがある。


 でも、彼と僕とでは全然違う。その理由は、レイン君だ。


 レイン君は、本当にすごい。

 多分年はグライ君と変わらないし、成長も年相応だと思う。話し方もそんな感じだった。でも、僕らの会話にもしっかりついて来たし、魔法の腕は僕以上だ。それに、子供なりにちゃんと僕のことを見てくれた。王宮のどこを見てもあんな子はいないし、皆んな僕の顔色を窺ってばかり。それに比べたらあの子は雲泥の差だ。ちゃんと僕を見て話してくれているんだってわかる。僕が身分を隠しているのも、あるかもしれないけど。

 それになにより、賢そうだ。僕やグライ君の様な、成長が速いだけじゃない、本物の賢さがある。まるで、母上の様な。(でも、少し違うかもしれない)

 グライ君が羨ましい。あの子とずっといられるなんて。きっと、レイン君となら、無駄な寂しさも、孤独も、感じることは無くなると思う。毎日、一緒に入れれば楽しいと思う。


 でも悲しいことに、彼女はあまりこちらに興味がない様に見えた。そこが魅力でもあるってさっき書いたけど、やっぱり寂しい。せっかく出会えた素晴らしい人間に、ぜんぜん相手にされないのは、ちょっとショックだ。僕に魅力が足りないのかな?

 なんとかして振り返らせたかったけど、殆どグライ君の方を見てて、僕がアピールする隙がなかった。もうちょっとこっちを気にしてくれてもいいのに。グライ君ばかりずるい。


 でも、僕はやっぱり大したことのないやつだ。そんなふうに無視されても、仕方ないのかもしれない。だって、結局僕が何か役に立つことなんて、何もなかった。寧ろ、足を引っ張っていた。

 僕は王子で、民を守る力を持って然るべきなのに、魔法もろくに使えないせいでレイン君に無理をさせてしまった。王子どころか、紳士として失格だ。いや、それどころか、民を自分のためだけに馬車の様に使うなんて、そもそも人間失格だ。

 レイン君のあの辛そうな表情を思い出すと、僕の心は萎んでしまう。最初、何も考えず楽しんでいた自分の愚かさが嫌になる。あんなこと、すぐに考え当たれた筈なのに、舞い上がって考慮することができなかった。ひどい。無駄に心が育つのが速いのだから、せめてそういうところでくらい、役に立たなくちゃいけないのに。


 僕も走ると言った時、足を引っ張るからとグライ君に言われた。

 反論ができなかった。何も間違っていなかった。

 僕は、自分の感情のために、冷静さまで失っていた。


 くやしい。なんとかして、僕も彼らの役に立ちたい。


 そうだ、僕は、レイン君に軽く命まで救われていた。

 広場で彼女と話していた時、急に上から花壇が降ってきた。その時も、僕は気づけなかった。普段ならわかったかもしれないけど、その時は、なぜかダメだった。

 いや、言い訳はだめだ。結局、肝心要の時に気付けないんじゃ意味がない。

 でも、レイン君は気づいた。上から落ちてくるものが危ないものだっていう事も。

 すぐに彼女は僕を引っ張って、落下地点から遠ざけてくれた。そう、彼女は、自分のことだけじゃなく、目の前のよく知りもしない僕を助けてすらくれたんだ。


 僕にはできないことだ。二つの意味で。

 僕は、国民を守る事も、そして自分の命を守る事もできなかった。全部民におんぶで抱っこ、温室育ちのあまちゃんだ。


 だから、今日、警備団長に叱られたのも、仕方がない事だ。

 僕は、きっと大丈夫だろうとたかを括っていたんだ。少し、驕っていたと言っていいのかもしれない。自分は優秀だから、今まで大丈夫だったから、今日も大丈夫って。でも、そんな事なかった。世界は思ったより難しくて、僕の想像を超えていて、そして何より危なかった。僕は、そんなこと知らなかった。

 世界は広い、という言葉があるのは知ってたけど、今日はそれを二度実感することになった。

 一度目は、二人の子供と会った時。

 二度目は、彼女に命を助けられた時。


 まだまだ、僕にはすべきことがたくさんあるみたいだ。多分、難しい貴族たち相手を相手すること以外にも、たくさん。

 だから、今日、この瞬間から、僕は強くなる。心も、体もだ。


 この日記は、僕なりの決意表明にする。明日から、このページを見返して、その決意を高めよう。

 僕は、もっともっとすごくならなくちゃいけないんだ。


 多分だけど、あの二人とはまた会うことになると思う。

 そしたらその時は、成長した僕の姿を見てもらおう。

 きっとそうすれば、レイン君だってグライ君だって、僕のことを褒めてくれる筈だ!


なお、入学初日話しかけに行ったら完全に忘れられていた模様。レインちゃんエェ……(グリマニアは気づかないふり)

まあ、髪色とか性格とか体格とか名前とかが全然別物だしね。レインは完璧超人ではないのです。(でも話を聞いたらすぐ思い出す)


そんなわけで、バルテクス=オート=レクスピリア、略してバルの回でした。

バル、いい子ですねぇ。しっかりと気に病むところは気に病んで、でも引き摺るのではなく次につなげる気力があります。どこぞのリジースとは大違い。

でも、この時の思いを引きずってるし、やっぱりどっちもどっちか?


あ、勿論ですが、嫌にバルがポンコツ化していたのはレインに見惚れてたからです。もうあらゆる注意力がそっちに行っていてまともに思考できてません。日記にも、節々で想いが溢れてます。レインに振り向いてもらいたい……とか、もう恋してる人間の思考なんだよなぁ……。


いつぞやグリマニアが、こいつはバッドエンドの方がむずい、と言った理由がこれです。

もう好感度カンストなのに、こっからどうやって下げるんですか?

(答え:めっちゃ無視を繰り返すか、全く接点を持たないか、罪を犯す、のどれか)

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