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異世界クズ転生 〜原作のままに生きていく〜  作者: しゅー
間章 ページの隙間の暗躍と行動
76/125

古竜???の再生と本心

本名は明かされてないので???です。

まあ、アポカリプスでも良かったけど、このほうがかっこいいかなって。


 「………ぐう……」


 眩しい。


 此れ程までに眩しいと感じた事は無い。


 明る過ぎて、何も見えぬ。


 一体、何が我が視界を妨げているのか?


 それは、一体──────


 『いい加減起きてください竜様、そろそろ呼びかけ疲れましたー!』


 急に頭の中に、大音量で覚醒の呼び声が聞こえた。

 其の余りの五月蠅さに、我は己の瞼を微かに持ち上げる。


 するとその瞬間、目を焼く様な光が、我が瞳に突き刺さってきた。

 そしてそれと同時に、我は先ほどまでの眩しさの原因は太陽であったことを知る。


 ああ、思えば、日中に目を覚ましたのは……其れどころか、睡眠を取ったのは何時ぶりだろうか。必要の無い体故、今迄忘れていた。

 きっと、少なくとももう千年は取っていないだろう。


 己が生活に新たな気づきを(もたら)したその瞬間は、何万年と生き続ける我が生の中での、記憶の一(ページ)に綴じられた。

 今度からは、人の様に睡眠を取ってみるのも、偶には良いかも知れない。


 「おい、目ぇ開けたなら早く立てっての。いつまで寝てるつもりだ」


 我が感慨に耽っていると、隣から無粋にも情緒を解さぬ声が響いた。

 其の声により、是迄の我が想いは粉々に打ち砕かれる。


 我は其の事に対する多少の報復の意を込めて、重箱の隅を(つつ)くような指摘を浴びせる。


 「ふん、貴様に指示される筋合いは無い。貴様は我が僕であろう。それに、何だ其の言葉遣いは? 昔から思っていたが、自らの口を以て我と話す者は、無礼な口調でなければならぬ決まりでもあるのか?」


 しかし、巫女はそんな事は意にも解さない様子で、堂々と我に返答してきた。


 「主人の生活を守るのも僕の仕事だろ? それと口調は当たり前。通信が職務上のものだとしたら、会話は私的(プライベート)なものだから」


 「……おい、其れではまるで、我が敬うに足りぬ存在であるかの様に聞こえるが?」


 巫女の言葉を聞き、我が悍ましい声色で巫女に語りかける。

 だが、巫女は一向にして此方(こちら)を見ない。常に夕日の方を眺めている。


 「かのよう、じゃなくその通りだ。お前が敬われるわけねぇだろ。少なくとも、歴代巫女からはな」


 その言葉を聞いて、我は首を捻る。


 「ふむ? 何故だ、巫女よ。我は何故尊敬に値せぬのか」


 すると、巫女はそう言った我の顔を心底馬鹿にした様な顔で見た。

 其れから強く溜息を吐くと、(まなじり)を裂き此方へと叫ぶ。


 「そりゃ、好きな女の街にいつまでも居座り続けちまう様な奴、敬われるわけねーだろーが!! ふっつーにキモいわボケ竜!!!!」


 巫女にそう叫ばれてしまい、少しの間我はその目を見開かざるを得なかった。

 何故ならば、其の様な罵詈雑言を浴びせ掛けられたのは此の世に生を受けてから初めての事であったし、何より、その内容が全くの予想外であったからだ。


 だが、不思議な事である。

 斯様(かよう)な言葉を受けても怒りは湧いて来ず、それどころか胸より去来するのは、どこか(くすぐ)ったい様な得体の知れぬ感情であった。


 「………フ、フフフ、ハーッハッハッハ! 成る程、キモイか、我は変であるか! クク、これは愉快だ! ハハハハハ!」


 我は此の不明な感情に身を任せ、大声で笑った。此れも又、久しくする事の無かった純粋な笑いである。

 嗤った訳でも、嘲笑った訳でもない。何かが可笑しくて自然に笑みが溢れたのだ。


 「はあ、マジで、こいつ精神ガキだよなぁ………」


 隣で巫女が何やら沸々(ブツブツ)と言っていたが、我が耳の中には入って来なかった。


 一頻り我が笑い終わると、我は漸く己を冷たく見る其の瞳に気が付いた。

 流石の我も、何時迄もそうされては気分が悪い。ここは一つ訂正をせんとして其の口を開く。


 「なぁ、巫女よ。だが、彼奴の街に留まる事は、矢張り必要なのだ。何故ならば、其れこそが──────」


 「初代様(想い人)との約束、だろ?」


 何と、巫女はまるで反省の色無く我が言葉に自らの音を重ねてきた。

 更に、その言が真であるのだから、実に(たち)が悪い。


 「分かっているではないか。そう、故に我はこの街を離れる事などできん。契った事を反故にする様な無様な真似は、竜のする事では無いからな」


 しかし巫女は、その事情をとうの昔に知っていた様である。

 巫女は流し目で我を見、そして先ほどと全く変わらぬ声色で、

「愛が重すぎんだよ……」

 とだけ呟き、再び前を向いた。


 少しの間、沈黙の時が流れる。

 微かにだが、確実に沈んで行く夕陽を眺め(なが)ら、遠くから聞こえる獣どもの遠吠えに耳を傾ける。


 すると、斯様な景色を眺めれば(おのずか)ら心が休まりそうな物だが、面妖な事に、段々巫女の物言いに腹が立ってきた。

 そこで、我は少し、此奴(こやつ)に意趣返しをしてやる事に決める。


 「巫女よ、貴様我を変だ、と言ったがな、我から見ればお主も中々曲者よ。気付けば巫女の隣に汚れた子供(ガキ)が居た時は、流石の我も開いた口が塞がらなんだ」


 変人は貴様もだな、と付け加え、我は巫女を嘲笑する。

 すると巫女は流石に怒ったと見えて、不快そうに眉を顰めると、苛立ちをその表情に剥き出しにして食って掛かってきた。


 「うっせ、成り行きだよ成り行き。それに、ちゃんと有能だから変じゃねぇ」


 「ふむ? 人の間では一年かけて稽古を付けても『成り行き』で片付くのか。ハハハ、寿命は僅かの塵芥にも拘らず、随分と悠長であるなぁ?」


 「はっ! 有能なのを見抜いた私の慧眼による判断だよ。竜様には見抜けなんだか〜」


 「それならば我も其の気高さを惚れ込んでの契りよ。其れに免じ塵芥を助けんとする我が想い、矮小な人の子には理解できんか?」


 「おいおい、ならなんで何時迄もその玉から離れないんだ? あの日から今日まで、今の所ここを離れたことなどない様だがなぁ?」


 「ふん、自分の事を省みてから言うが良い。あの坊主が五の頃から一時たりとも目を離さず、寝食も共にしているとは、随分と過保護なことだ!」


 「あぁ!?」


 「ふん!」


 「「…………………」」


 巫女との間に火花が散るのが見える。

 互いに相手を見下した様な視線を送り合った。


 だが、其の雰囲気も次第に霧散して行き、そして同時に溜息をついた。


 「……護るモノがあるというのも、存外に大変であるなぁ、互いに」


 「ああ、そうだな………」


 そう言うと、我は背後の輝く玉を、そして巫女は向こうを歩き回って居る少年に、僅かに視線を()った。


 嗚呼矢張り、悔しくも我と巫女は同類の様である。

 只、己の愛するモノを護りたいだけの、それこそ我が蔑む様な、『愚かな人の子』と。


 ◇◇◇


 「はあ、とりあえず雑談はここまでだ。こっからは、サクッと巫女の仕事を終わらすぞ?」


 暫くの間日を眺めていた我に、突如として巫女は声を掛けてきた。

 口調は其の儘ではあるものの、其処からは先程までの巫山戯(ふざけ)た雰囲気は感じられない。

 (れっき)とした、竜の巫女としての姿である。


 「む、試練の処理か。立ち会うことができなかったというのに、何かすることがあるのか?」


 我は純粋な疑問を巫女へと投げかける。

 だが巫女は其れには舌打ちで応じた。実に無礼である。


 「居なかったからこそやることがあんだよ、馬鹿か」


 ほんの僅かの間隙に、その本性を覗かせる口調がまろび出るが、巫女はそれを直ぐに仕舞う。

 再びあの退屈な声色で、我へと問いを放って来た。


 「んー、聞くべきことは幾らでも有るんだが……まあそういうのは帰って室長のオッサンと要相談するからな。取り敢えず、相手の特徴をわかる限り教えろ」


 本当に仕事をする気があるのか、疑いたくなる程に粗雑な質問である。


 分かる限り、とは云うものの、実際あの靄について判る物など何一つない。

 全身に黒を纏い、声にすら霞が掛かり、魔力の流れも巧く消してあった。だと云うのに、果たして我に何が判るのだろうか。


 だが、訊かれた以上わからぬとは言えん。

 其れは竜としての職務放棄であり、何より塵芥への敗北宣言だ。既に逆鱗の件で一敗して居ると云うのに、これ以上の失態は己のプライドが赦さない。

 己の記憶と知能を総動員し、一つ一つ仮説を建てては検証を進めて行く。


 そして、纏まった事実を我は一挙に解放した。


 「先ず、奴は中々に竜についての造詣が深い様であった。我が生態、性格を知っていた。恐らく参考は文献だな、試練については何も知らぬ様であった故」

 「其れから、種族は人間で、人格はいかにも傲慢と言った様な者だ。此れは会話より聞いたこと故、虚言の可能性もあるが、嘘を言って居る様ではなかった」


 「ああ、其れは私も思った。ただ、人格の所は微妙だな。いかんせん会話が少ない。馬鹿にされたんでキレただけの可能性もある」


 巫女が適当に相槌を打つ。

 どうやら巫女も同様に思っていたらしい。


 再び我はその口を開く。


 「次に、魔法に造詣が深い。あの魔法の練りの速さ、構築イメージの正確さは、何度も反復せねば身に付かぬし、謎の新技術も使って来ていた。……ああ、そう言えば、神術はそこまでのようだな。これは虚偽かもしれんが」

 「神術式魔力固定変換な。専門技術で、一般人は使えないよ。時々DIMAのお偉いさんが使ってるくらいしか、私も見たことない」


 矢張りあの技術は並の物では無かった様である。

 凡夫では使えぬとは、道理で我が知らぬ訳だ。


 「………うーん、これくらいか? 他は視界だけを読み取る限りもう無さげだな」


 巫女は、もう打ち止め、と言った様子で天を仰いだ。

 何かを絞り出そうとして居るが、何も出てこない。


 流石の我も、最早話すことが尽きたかの様に思われた、その時であった。


 「…………………いや、ある。一つ、確証がないが」


 巫女は、其の瞬間、再びその瞳を此方に向ける。


 「………とりま、言ってみろ」


 巫女に話を促され、我はその口を僅かに開いた。

 情けないが、多少自信がない為に、どうしても小声にならざるを得なかった。


 「恐らくだが………………奴は、体が小さい」


 巫女は、その言葉を怪訝な様子で聞いていた。


 「あー、つまり………女っつーことか?」


 巫女が、其の小さな頭で捻り出した結論を述べる。

 だが、我は其の答えを切り伏せた。


 「いや、そうでは無い。より小さいのだ。……其れこそ、幼児といっても通じる程に」


 口に出してみると、すぐに其の様な気がして来た。

 えてして人は自分の意見に無根拠に信頼を寄せるものであるが、愚かしくも、我もまた其の例からは逃れられんらしい。


 嗚呼、思い出されるのはあの時の光景。

 最後の最後、我が人生で数度目の不覚を奴に捧げた其の瞬間。


 「そう、我は……我が息吹(ブレス)は、確かに彼奴の首元を貫いていた。微かに視界の端に見えた、朧げな記憶ではあるが、あの時我は、勝ちを確信していたのだ」


 そう、我が不覚を取ったのは、奴の計略に依るものだけでなく、その油断が有ったからでもある。

 勝ちを確信した故の、一瞬の弛緩。決して逃れられぬ、その間隙を、奴は刺して来た。


 当時は其の事を単なる己の勘違いとして片付けていたが、しかし今は、思い出してみると其の方が状況に即している様に思う。


 「まさか……犯人が子供? あの実力に、あの思考力で、か? まさか、そんな筈は……」


 あまりの信じ難い事実に、巫女は其の爪を噛み、集中して考えている。

 無理も無い。我ですら其の答えをいまだに受け止め切れておらぬのだ。


 「これは不確証な事ゆえに、公へと提出する必要は無い。只、相手は見えた通りとは限らない、と云う選択肢として残しておいたほうが良かろう」


 それから我と巫女は、其の脳に少しずつ首を(もた)げ始めたその考えに、何時迄も頭を悩ませていた。


 もう、日は地平線の彼方へと、とうに沈んでしまっていた。


 ◇◇◇


 「モノト様〜!!! 協力者の魔力っぽいの、見つけましたよ〜!!」


 押し黙ったままの我らに、子供の高い声が響いた。

 そして、其れによって巫女は一瞬で雰囲気を元に戻すと、我の方へと其の顔を向けた。


 「……取り敢えず、私はもう行く。調査はまだ続くだろうから、もう少し協力してくれ。それから、事後対応だが……まあ、民間には原因不明の災害って発表すると思う。竜には恨まれ役を買ってもらう事になるな……」


 巫女は、僅かに申し訳なさを感じる程度のぶっきらぼうな謝罪を述べた。


 「ふん、其の様な事、今更よ。今回は我が不覚を取った故、非難されても文句は言えまい」


 そんな巫女に、我も又僅かに相手をフォローする程度の言葉を賜う。


 其れに巫女は軽いため息を吐くと、軽く社交辞令を述べて、其の召使いの方へと振り返った。

 社交辞令は要らぬ様にも思うが、心を切り替える為の儀礼の様なものとして、重要なのだそうだ。


 其の巫女の背中を少しの間見つめて、そして我が又眠りにつこうとした、其の時。


 「ああ、一つ、言い忘れてたことがあったわ」


 巫女が突然、此方へと振り向いた。

 其の顔は、先程までとはまるで違う、本当に弛緩した様に為っていた。


 「私が護りたいものだけどさ…………そりゃ一番はスカロウだけど、一応、この街も入ってんだぞ? 『竜の街』サクリシア、其れを守る為には、手段を問わないくらいには、さ」


 だから、竜の事も、ご近所さんくらいには思ってるんだよ──────


 そう言い終わると、巫女は自分で言っておいて照れ臭くなったのか、其の顔を少し朱色に染め、急いで少年の元へと駆けて行った。

 実に、慌ただしい奴である。


 「サクリシアを、ではなく、『竜の街を』護りたい、とはな……」


 嗚呼、例え其の訳が、先代達から継いだ想い故に、という陳腐な物であっても、矢張り嬉しいものは嬉しい。

 改めて、奴は竜の巫女であるのだな、と自覚する。


 「おーい、スカローウ。見つけた魔力はどんな感じだ〜?」


 「偽装も雑ですし、ほとんど()()()()()よ! これなら解析もいけそうです!」


 遠くから、あの二人の声が聞こえてくる。

 『彼奴』が護った、大切なモノ、其の末裔。


 (ならば、我が守らぬ道理が、あるはずもなかろう……)


 そう思いながら、微睡む意識に身を任せ、我は己の瞼を閉じる。


 取り敢えず、先ず今日は、睡眠というものを味わうとしようか。


 遥か高き、竜の棲む山。

 その空には、今も美しき星々が、まるで光の球の如く輝いている。

 何千、何万の、この集落に息づく命の様に。


はい、無駄に長い三部作、やっと終わりました。

今回は語彙力皆無の作者が一生懸命漢字を使いました。褒めて。


という事で、竜の本心についてのお話でした。


そう、竜君は初代ちゃんに惚れてたんですねぇ。

まあ恋愛的(生殖的)な意味ではなく、家族や仲間として愛していたってほうが正しいですが。

グリムとの問答でその動機に怒ったのは、演技半分本心半分、ってとこですかね。ちょい演技多めかな。

あ、モノトに対しては特にそういう思いはありません。昔のやつと約束したから、その時の(よしみ)でってのはマジの本心です。

モノトのことを意地でも巫女、と言い続けるのがその証拠。あくまでも彼女は自分が見込んだ人間に過ぎないのです。

だって、竜にとって名で呼ぶ様な人間は『彼女』だけですから。

名は失伝(竜が独占してる)

尚、この事実は全巫女が察してます。腐っても乙女ですから。


あと、微妙にグリムの正体が割れた回でもありました。

少なくとも体格についてはバレましたね。やっべえ。

ただ、彼ら程度の能力では真相には程遠いかなと思います。結局子供と結論づけられてないし。


それから微妙にスカロウとモノトの出会いも出ましたね。

まあ、あんまり深い設定は考えてないですけど、時期は大体前回の竜喜祭直前です。

一体どこで拾って来たのやら(すっとぼけ)、あとDIMAは発足後です。


あ、次回は多分王子回になりますし、間章はラストです。

まあ登場人物紹介が待ってるんですけどね!

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