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異世界クズ転生 〜原作のままに生きていく〜  作者: しゅー
第三章 それは、竜災に非ず
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王子様と商人


 丁寧に作られた美しい石の地面、澄み切った水の溜まる人工池、人の頭の見えない美しい空。

 

 その綺麗な景色を見て、やっとつけたのだという安堵感と、走り切ったことの達成感と、急に止まったことによる疲労感がぐちゃぐちゃに混ざり合い……俺のレインは、ぺたり、と、地面に座り込んでしまった。


 すると、バルとリジースはすぐに背中から離れると、俺たちの前へと回ってくる。

 そして、バルは酷く申し訳なさそうに俺たちの手を握った。


 「すまない、君たちには無理をさせた。僕は魔法がさほど得意ではないから、これがどれほど大変か、想像もつかなかったんだ……。まったく、おう────商人にあるまじき失態だよ」


 そういって、バルは、俺たちに頭を下げた。

 その顔は、本当に誠実な、こちらにまっすぐ謝罪をしていることがわかる顔だった。


 俺は、後ろであたふたしているリジースからは出来るだけ視線を切って、バルに微笑みかける。


 「ふふっ、謝ることなんてないよ。僕たちが勝手に引き受けたことだし、それに、すごく楽しかったからね!」


 「……っ! だけど、実際君たちは疲れているじゃないか」


 「はぁ、まだそんなこと言ってるの? それじゃ、魔法の練習に付き合ったってことにしておいてよ。僕たちもそう思うからさ」


 俺はそういうと、後ろで息を整えているレインにも「ねっ?」と同意を求めた。


 それに気がついたのか、レインは息を整えるのをやめこちらへと顔を向ける。

 それから、大きな笑顔を作って、言った。


 「すっごくつかれたけど、すっごくたのしかったよ! ありがとう!」


 その笑顔が、本当に、本当に綺麗で。きっと、聖女様が笑ったらこんな笑顔をしているんだろうな、と、そう思った。


 というのはゲーム中のモノローグの一節。

 いやー、画面越しでもよかったけど、この距離の同じ空間で見るとやっぱり違いますわ。もう魅力がビンビンきてる。顔面偏差値五千は下らないね。

 いやはや、こんなん見ちゃったら、惚れるなって方が無理だよね〜。


 目の前の、頬を赤く染め呆けているチョロ王子を()ながら、俺は彼に同情の拍手を送った。

 君の人生これからレイン一色になるけど、確率でBSS(僕が先に好きだった)ルート行きだけど、まあ悪気はないし惚れた弱みってことで勘弁してね!


 で、ここからは二人だけの世界でイベントは進むため、俺はこっそりとここからフェードアウト。

 そんで、さっきから面倒くさそうな顔をしてる癖に、一向にこの場を離れようとしないリジースへと話しかける。


 「ねぇ、グリード」


 「……なんだよ」


 うわっ、目つき悪っ!

 なんだこの目、モノト(暴言ヤンキー巫女)でももう少しまともな目してたぞ?


 なんだかんだ言って、こいつレインの笑顔見ても堕ちてないし、ルート通して金で動くし、やっぱり感情が死んでるのかねぇ。いや、本当は心優しいってのは知ってるんですけどね?


 「グリードはさ、どうしてまだここにいるの?」


 「は?」


 「だから、どうしてお家の人のところに戻らないのかなーって」


 あ、わかりやすく狼狽えた。目も泳いでるし。

 もう、そんなにわかりやすいと将来が不安になるよ。商人ってそれで務まるのかな。ゲームだとしっかりやってるみたいだったけど。


 「…………べつになんだっていいだろ」


 流石に自分でも狼狽えていることがわかるのか、リジースは俺から顔を背ける。

 そんなことをすれば、自分から隠し事があると言っているようなものなのに、それでもつい顔を隠してしまうのは人の性なのだろうか。


 「なんでも良くないよ。だって、あれほど怖がっていたのに安全になってもまだ帰らないなんて、変じゃないか」


 俺は、そんなリジースをさらに追い詰めるために、彼の矛盾点を上げていく。


 どうして彼はまだここにいるのか、どうして友達だというバルに話しかけないのか、どうして、どうして、どうして……。


 「ああもう!! うるっせぇんだよ!!!!」


 「うわっ」


 当然、そんなことを繰り返していると彼は怒る。

 そして、壊れた機械のように質問を繰り返す俺に対して、煩わしげに手を出した。


 俺はそれをサッと避けると、それに苛立ったように相手に声をかける。


 「やっぱり、何か隠してるんでしょ。わかるよ、だって君、嘘つくのが下手だもん」


 「なっ……!」


 「そんな驚かないでよ。多分、レインも気付いてる。気にならないから訊かないだけ。でも、僕は気になるから訊くよ? いくらでも訊く」


 リジースが怯えたように一歩下がる。

 だが、俺は決して彼を逃さない。彼を追い立てるように、俺は一歩前へ出た。


 「ねえ、グリードは何がしたいのかな。逃げてきたの? それとも僕たちを追ってたの? レインのことでもつけてた? それとも──────リクに、何かあるの?」


 「!!!!!」


 リジースは、それを聞くと一気に顔色を変える。

 それは一瞬だったけれど、それでも、そこに正解があることを如実に表していた。


 「あは、あたりかぁ」


 俺はあくまで子供らしく、嬉しそうに口角を上げると、さらに詳しいことを聞き出そうと、ついとリジースに歩み寄る。


 「ねぇ、リクって誰なの? 商人って言ったけど、どうせ嘘でしょ? 友達だっていうのも」


 「お、おまえには……かんけいないだろ……」


 「あるよ! だって、リクはもう、大切なお友達だもん……………ほら、教えて?」


 「う、ぐ…………………………」


 リジースは、それからすっと黙り込んでしまった。俺の雰囲気に気圧されたのか、都合が悪いから子供らしく黙ることにしたのかはわからない。

 ただわかるのは、もう彼は話し合いを拒否したということだけだった。


 そのことを察すると、俺は急激に態度を悪くする。

 冷酷に、相手を軽蔑するような、絶対零度の視線を送った。


 「へー……教えてくれないんだ、酷いね。そんなに隠し事が大切なんだ」


 その言葉にビクッとリジースは震えるが、しかし、再び口を開くことはしない。

 その態度に、俺はさらに目線を鋭いものにする。


 「もう、話してもくれないの? …………ほんと、酷いやつだね、君って」


 「……友達になれたと思ってたのに、そんなことをするなんて……君は、僕らのことを信用してくれないんだね」


 「…っ……」


 リジースがなんとか反論しようと口を開くが、しかし、そこに言葉は続かない。

 ……あと、もう少しだな。そんなふうに思って、俺は最後の一押しにかかる。


 「君は、本当は誰も信じてないんだ。ずーっと嘘ばっかりついて、何もかもをひた隠しにして、全てを怖がっている」


 「ち、ちが──────」


 「いいや、何も違わない。君は好きなのはお金だけ。君が信じるのはモノの価値だけ。だから、そんな君を誰も信じない、誰も好きにならない」


 「そ、んなこと……」


 「そんなことあるさ! 君、友達いるの? 大切な家族は? 好きな子いる? ………ほら、出てこない。誰にも愛されてないんだもの、当然だよね!」


 俺は、もはや茫然自失となったリジースに対して、最後の一撃を加える。

 悪辣に、愉しげに、その顔に笑みを浮かべながら。


 「誰も想わない、誰も想えない、誰にも想われない。そんな、グズで外道で自信過剰な、舞台の上の哀れな道化師(笑い者)、それこそが─────君のあるべき姿なんだよ」



 「………………………………………………」


 もう、リジースが反応を返すことはなかった。


もちろんこれは遊崎inグリムの考えではなく、ゲーム準拠の行動です。要は、リジースが抱える予定の闇を抱えさせるための準備段階。

ゲームでグリマニアがこれをした理由は、扱いに腹が立ったからです。(これに味を占めて、いろんな人たちに不幸をばら蒔きに行くという愉しみを覚える。最悪ですね!)


あと、リジースが隠したいことっていうのは、まあ普通に王子の存在。

ここで存在を隠し通せば、自分だけが恩を売ることができるみたいな考え。若いのにすごいねぇ。

こういう考えに育った理由は、手柄立てて家族に認めてほしいから、なんですが………まあグリムの説教ぶっ刺さってたよね! リジース=自己評価低いくせにそれを認めたがらないだるいやつ。

大切な人、どこ……? ここ………?


あと、本当はこの次の話と合わせて一話構成だったんですが、綺麗にここで切りたいがために無理に二話にしています。だから次話はすぐに読むのを推奨します。

多分話が引き伸ばされてる感とか、適当に作ってる感を覚えると思うけど、許してニャン♡

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