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異世界クズ転生 〜原作のままに生きていく〜  作者: しゅー
第三章 それは、竜災に非ず
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お祭り的なフェスティバル


 王様と実行委員長が喋るだけのかったるい開催式典も終了し、そろそろ太陽も高く登り始めている。

 俺たちは、いくつかの主要な店を回り終え、ついに祭りのメインコンテンツ、出店通りへとやってきた。


 「わー! すごーい!!」


 レインが、その目を輝かせる。右を向いて左を向いて………そこらじゅうに所狭しと並ぶ出店へ、忙しそうに視線を動かしていた。

 そしてまた、かくいう俺も同じようにはしゃいでいる。お前は上京したての田舎者か、と言えるくらい挙動不審だ。


 子供っぽいと思うかもしれないが、仕方がないだろう。

 だって、そこらじゅうに、今まで見たこともないようなものから、ゲーム内にあった不思議アイテムがずらりと並んでいるのだ。

 それといったら、まったく少年心が刺激されることこの上ない! どうしてもいろいろなものに目移りしてしまうのだ。


 両親がそんな俺を見て温かい目をしているが、気にすることではない。

 前世で世間からの冷たい目に慣れている俺に、最早精神攻撃は通じないのだ!

 ……………いや、やっぱ少しキツイっす……。


 と、俺が若干の精神ダメージを負っている間も、祭りの騒ぎはその激しい勢いを保っていた。


 あちらから活発な男の客引きの声が聞こえたかと思えば、負けじとこちらからも荒々しい声が聞こえてくる。

 そして、店に来た客を逃すまいと必死に商品をアピールして、さらに値下げ交渉などを行うのだ。

 それでなんとか満足して帰ってもらったら、また新しい客を求めて叫び始める。


 まさしく商「戦」と呼ぶのに相応しい、店主たちの激しい攻防が繰り広げられているのだ。


 なお、両親はそんな雰囲気などどこ吹く風で、あくまでもマイペースに街を歩き、買い物をしていた。

 うーん、変な人たちだとは思うが、まあ浮世離れしてる人たちといえば、かなり浮世離れしてる人たちだからなぁ。


 「ねぇ、ねえ」

 俺がキョロキョロと目を回し歩いていると、急に、レインが俺の腕を引いてきた。

 見ると、レインはとても綺麗な目をした顔で、俺を見ていた。

 「わたし、あれほしい」


 「……え? えーっと、どれのこと?」


 「あの、キラキラしてる石がほしいの」


 そう言ってレインは、少し遠くの方を指差して、固まってしまった。


 ふーん、キラキラしてる石かぁ。

 てことは、ちょっと遠くて見にくいけど、レインが欲しいのはあの店のだな。えー、店名は……「御石屋」か。

 ふーん、誕生石だったり単純に綺麗な石もあるな。結構品揃えいい店じゃないか。

 お祭りでやる内容かどうかについては疑問に思うが、お土産に使えるから、まあいいだろう。


 それから、別に買ってもいいとは思うのだが、俺が即座に許可を出すのも変なので、まず一回とぼけてみる。


 「石が欲しいの? どうして?」


 とりあえず俺が男の子らしくそう返すと、レインは単純に「綺麗だから」と返してきた。

 もうオシャレでもしたくなったのかと思って、内心微妙に動揺していたから、まだまだ子供らしい答えが帰ってきて少しホッとした。


 「でも、僕に行っても買えないから、お父さんに聞いてみよっか」


 「うん、わかった」


 レインはそう言って頷くと、トテトテ、とした可愛いリズムで走り、ライアンの脚を掴む。

 ライアンが不思議そうに下を見下ろすと、レインはすぐに交渉に入った。


 「あれ、かってください!!」


 レインは目を輝かせ鼻息荒くそういうと、ビシッと先ほどの店の方を指差した。

 まあ、店が多すぎて、何を指したのかがいまいちわからなくなっているけど。


 急なことだったので、ライアンは驚いているようだったが、しばらくするとすぐに調子を戻した。

 すると、レインの言いたいことをなんとなく理解したのだろう。ライアンは屈んで彼女に目線を合わせる。どうやら彼女の話をちゃんと聞いてあげることにしたようだ。


 レインが一通り自分の言いたいことを話し終えるまで、ライアンはしばらく黙ったままだった。

 石が、とかお金が、とかレインがつっかえつっかえで話しているのを、一生懸命解釈して、話を遮ることなく聞き切った。

 レインは話し上手ではないので結構冗長的だったが、そこを優しく待ってあげられる辺り、やはり彼は親に向いているのだろう。


 「よし、わかった。あの石が欲しいなら、俺はぜんぜんお金は出す」


 話を聞き終えたライアンがそういうと、みるみるうちにレインの顔に喜びの色が広がっていく。


 うーん、かわいい。相変わらずずっと笑っていて欲しい顔してるわー。

 特にあの瞳がいいよね、キラッキラの純真お目目がいい感じ。さすが乙女ゲー。


 「だが、一つだけ条件がある。それがダメなら、石はダメだ」


 そう言うとライアンは、人差し指を立ててその顔の前に突き出した。

 レインは不思議そうに首を傾げたが、しかし石は欲しいので、深く考えず頷いた。……そう言う後先考えない行動、嫌いじゃないけど気をつけてね。


 「もう二人とも六歳、なんなら七歳にもなろうってわけだし、丁度いい。お金は渡すから、()()()()()、買い物をしてみろ」


 ………あ。


 「うん、できるよ、それくらい。グリムくんもいるし。そうだよね?」


 あ、ふーん。そういやもうお昼っすねぇ……。

 あー、あー、ちょいと魔法の練習とかしとくかぁ?


 「……おーい、グリムくん、どうかしたの? なにかあった?」


 ……はっ! ちょっと衝撃で意識が持ってかれていた!


 えー、話は確か、初めてのお使いか?

 よし、なるべくなんでもない風に装って……


 「ご、ごめん。なんでもないよ。もちろん、一緒に頑張ればお使いくらい余裕だよね」


 俺はなんとか誤魔化そうとしてニコッと笑顔を浮かべた。

 が、もう誤魔化し方がひどい。よく漫画とかで、こう言うあからさまな誤魔化しをなんでやるのか、不思議に思っていたけど、土壇場になるとやっぱみんなこうなるんだなぁ。


 「……? ふーん」


 うわぁ、レインにちょっと印象付けちゃったなぁ。

 まあ、どうせここはヒントイベントなんだから、ちょっとくらいはいいんだけどさ。


 「よし、偉いな二人とも! それじゃあ、二人にはこれをあげよう」


 そう言うと、ライアンはゴソゴソと腰の鞄を漁り始めた。

 そして、朝かなんかの袋を取り出すと、それを俺の手に持たせる。


 「グリム、お前は男だからこれを預ける。ここにはお金が入ってるし、使い方も自分で決めていい。くれぐれも盗まれるなよ。俺はお前を信じて渡してるんだからな!」


 どうやら、これが軍資金のようだ。

 重さはそこそこ。と言ってもほとんどが小銭なので、まあ多過ぎない額しか入っていないだろう。


 だが、店の石を買うだけなら、十分である。

 父親が信じてくれているのだ、大切に管理して、買い物に行こう。


 「それじゃあ、大人はこの通りの先の広場で待ってるから。買い物が終わったら、そこにくればいい。わかったな?」


 レインがしっかりと頷いたのを確認してから、おれも首肯する。


 なんか、結構離れた位置で待つんだなぁ、などと考えたが、通りにいても通行の邪魔になるので仕方がないのかもしれない。

 心配とかにはならないのかなぁ。こんなに人がたくさんいる中に幼子二人放り出すなんて。


 まあ、今一瞬の間にめっちゃ俺らに防護魔法を付与してきたから、一応安全は確保しているようだ。

 これが破られるようなことはほとんどないだろうし、それもあって、ライアンはこんなことをやることができるのだ。


 あ、あと今の魔法さばきは普通に凄かったので、後で盗もう(パクろう)と思う。実父の技だし、別にいいよね!


 そんなわけで、俺とレインは、石へと向かってスタスタと歩いて行った。

子供二人の初めてのお使い(片方精神年齢20超え)

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