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異世界クズ転生 〜原作のままに生きていく〜  作者: しゅー
第三章 それは、竜災に非ず
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後もうちっとだけ続くんじゃ……

皆さん、竜って目的じゃなくて手段だって覚えてます??

あとひと伸び、あるらしいですよ。(泣)


 うん、夜風が気持ちいいな。


 そう思いながら、俺は空を跳んでいた。

 と言っても、そろそろ朝なので、夜の時ほど大胆にではなく、少し低空をゆっくりと、だが。

 まあそれでも十分夜明けには間に合うし、万事予定通りだ。


 それにしても、光の玉はやっぱすごかったなー。触った瞬間から一気に俺に力が注がれるのがわかったぜ。

 なんかテレビショッピングみたいになってるけど、実際本当にそう思ったんだから仕方がない。(※個人の感想です)


 まあ、これで格段に強くなるわけじゃないけど、戦闘の幅は広がるかな。単純に打てる魔法の数が増えるし。

 だとすると、攻撃魔法練習するのもいいなぁ、いや、強化魔法の練習が先か? でも、隠密系をそのまま強化した方がいいかなぁ。


 などと、俺がこれからのことを夢想しながら空をかけていると、ふと、視界の端を黒い影が走っていった気がした。

 俺はそれが気になって、その場でブレーキをかける。


 軽ーく『跳躍(ジャンプ)』をし続けることで、弱く跳ねる様になり、その結果ホバリングを可能としているのだ。


 それで下を見てみると、小さな黒装束が、サクリシアへと走っているのが見えた。

 どうやら、彼(仮定)くんは、それなりに足は速そうだ。まあ魔法は使っていないから、ある程度常識的な速度だが。


 ……あれって、もしかして、あいつらかな?


 その姿を見て、ふと俺は()()()()のことを思い出す。

 このゲームの実質的なラスボスであり、つまりは直接的な、この世界の悪事の黒幕である組織。


 確か名前は……宵闇の忠臣(ルミナ・アベルティー)、とかいったかな?


 初めて効いた時は、太陽王を名乗る王族に対しての叛逆を目的とする組織の名としては、随分とシャレが効いていると思ったものだ。


 そう、彼らの組織の目的は、王国への反乱。

 自分達の一族を虐げられたとかなんとかで、王国への反乱を謳っている。……まあ、その実態は黒い貴族どもの都合のいい道具なのだが。


 そんなわけで、いろいろ裏でやっている連中なのだが、グリムのしたことでこいつらが恩恵を授かることの、多いこと多いこと。

 もうグリムも狙っているのではないか、というくらい甘い汁を啜っているのだ。


 おそらく、グリムも最後の方は面白がって手伝っていたのだろうが、それのせいで、レインの学園生活は脅かされてしまう。全くいい迷惑である。


 で、なんでそんな奴らがここにいるのか、という話なのだが……俺が竜を倒したからだ。


 さっきからこいつは、どこか焦った様に街へと走っているが、それも当然のこと。

 今までずっと街を守っていた邪魔な竜が、一時的とはいえ急に眠ったのである。しかも、明日には大災害が来るのは確定的。


 もうそれは、混乱に乗じて動いてくださいと神に言われた様なものである。

 てな訳で、あいつはきっと上官に連絡を入れにいくのだろう。


 この分だと、到着は明日の朝ごろになりそうだが、きっと間に合う。

 そうなれば、宵闇の忠臣にとっての大きな好機となるだろう。


 まあ、精々頑張ってくれ〜。


 そんなふうに俺は応援しながら、魔法を再び使う。

 俺の体は再び空を跳ね、一気にそいつを追い越していった。


 ◇◇◇


 「ん、なんか騒いでるな」


 俺が街に到着して、さっさとホテルに戻ろうとした時、ちらと下を見ると、何やら大勢の大人が騒いでいるのが見えた。


 ……あ、DIMAの奴らだあれ。多分竜が急に眠ったんで、何が起こったのかと文献を一生懸命漁っているに違いない。

 あーあー、巫女がいれば一瞬なのに、家に帰すから連絡取れないで、災害に街を巻き込むんだぞー。


 全部自分のせい、ということは棚に上げて、俺はそいつらを非難していた。

 これが………マスゴミの気持ち……!! た、楽しい!


 と、冗談は置いてといて、実際巫女と連絡を取る、というのは彼らには無理だろう。

 そも権力争いに身をやつしておきながら無様に敗走して、しかも左遷までさせられる連中だ。でかいプライドに伴わない能力は、想像に難くない。

 きっとここでも、奴らは選択を誤る。いや、誤るからこそ、あの災害が起こるのだ。


 きっとなんとかなる、それよりも王族に媚を売るため、ここは問題ないように隠蔽しよう。

 とかなんとか考えているのだろう。お前らは○ビエトか。


 現実にもこういうことはあるけれども、生で見るとなんとも悲しい気持ちになるなぁ。


 あ、まず巫女は既にこの街にはいないかな。

 俺が戦闘を開始した時点で、もしかしたら街を出ているのかも。竜あたりが連絡入れてんだろ、多分。


 うーん、だとすると結構詰んでるなこの街。

 巫女もまさか俺が逆鱗を触るとは思ってないから、「眠ったらやばいよ!」なんて書き置きは残していくはずもない。

 そして雑な研究に巫女だよりの管理体制を敷いているやつらでは、この災害の予見もできるはずがない。


 うわぁ、街の人カワイソス。

 メンゴメンゴ、史実(ゲーム)だと被害は家屋倒壊だけだから許してねん。

 多分国あたりが弁償すんだろ。ここそれなりにホワイト国家だし。


 俺は適当に謝って自分を正当化してから、DIMAを去った。

 それから、ちゃっちゃとホテルに侵入した。

 え、どこからだって? もちろん窓からさ。うーん、この不審者。


 ま、俺も謝ってる場合じゃないんだよなぁ。

 俺は、心の中で一人ぼやく。


 そう、明日は、場合によっては竜戦よりも大変とも言える、攻略対象との邂逅が控えているのだ。

 とんでもないストレス。どうせなら竜倒しただけで終わってほしい。そっちのが綺麗な終わり方じゃん。


 だが、そんなわけにもいかないので、俺は仕方なく覚悟を決める。

 この、疾風怒濤の勢いは、まだ止むことはないらしい。俺は、それを乗り切らねばならないのだ、なんとしてでも!



 ………あーあ、目が覚めたら全部が終わってたりしないかなー……。


 俺は悲しげに空へと願うと、そのままベッドへと潜り込んだ。

⭐︎明日に向けて、英気を養う──────!!



というジャンプ風な終わりをやりたかった。

できないけど。

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