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異世界クズ転生 〜原作のままに生きていく〜  作者: しゅー
第三章 それは、竜災に非ず
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舐め切ったチャレンジャー

今回から開戦の流れだったけど、なんかもっといい感じの導入考えちゃったんで、あれはただのイベント再現ってことにしてこっちを本当の開戦にしました。



 「……ほう、今のを避けるか、不遜な挑戦者よ」


 黒い煙の上がる着弾地点、その隣。そこには、先程まで確かに死ぬ運命であったはずの俺がいた。

 あの光線を間一髪で避けたのである。軽くやってはいるが、結構大変なので褒めて欲しい。


 ……まあ、そんな心境はおくびにもださないが。というか出せないが。


 『ふん、お前がその行動をすることは()()()()()からな。分かっていればこの程度のことに対処するのは難しくない』


 俺は少し呆れるような仕草をすると、今度は十分に警戒をしながら龍へと話しかけた。

 先程までのように次の行動がわからない以上、もう勝手な隙は晒せないからだ。

 あ、知ってる理由はもちろんゲームだ。初撃は必ずこの高速光線(レーザー)らしい。


 『実際のところ、その球から力を授かった人間は多いんだろう? それほどの力を秘めたものなのだ、いないという方がおかしい。それに、今の「挑戦者」という言葉も証拠だな。違うか?』


 竜はその言葉を聞くと、うっすらと頷き、そして立ち上がった。

 今まで座っていた分少し縮んでいた背が、その本来の大きさを取り戻す。


 …………うーん、伝承よりか少し小さいかな? まあ思ったより倒せそう感はあるな。


 「その通りだ、挑戦者。過去数千年の間、ここを訪れたものは多い。皆一様に力を求めていた。──────理由はさまざまであったがな。それで、いつも追い払っていたら、気づけば『試練』などと呼ばれて……まあ我も興がのり、番人として遊んでやっているというわけだ」

 『ふん、何とも俗っぽいやつだな。………それとも、これも竜喜祭が近いからか?』


 そう質問されると、竜はふと首を傾げた。


 「いや、我は竜喜祭が近いと気分が良くなるというわけではないのだが? まったく、その迷信にも困ったものだ。我は初めからこうだというのに」


 『……え、そうなの? イメージ合わないなぁ』


 結構本気で意外だったので、普通にびっくりした。

 へー、コイツこっちが本性なのか。やっぱりこいつマスコットなのでは……?


 「信仰対象としての竜として振る舞ってる時と違うのは当然だろう。我をなんだと思っているのだ。偶像らしくいるのも大変なのだぞ」


 うわぁ、竜って偶像(アイドル)業だったんだ……なんか知りたくなかったかも。

 じゃあ竜喜祭に明るくなるのは、単純に個人的(プライベート)なあれなのかぁ。


 …………ちょっと素を見せてしまった気がするが、これは仕方ないだろう。それに竜もちょっと演技が解けてるからお互い様!

 よ、よし! こっからはちゃんとRP(ロールプレイ)やるぞー。


 『……クックック、面白いやつだな、お前。案外人間臭いやつじゃないか』


 「む? それは心外だな。我は超越者にして──────」


 『ああ、いい、いい、分かっているさ。人間など足元にも及ばないすごい種族なのは知ってる』


 子供の威張りに適当に返したような返事に腹を立てたのか、竜は地団駄を踏んで(といってもその振動は子供の比ではないが)抗議の意を示した。


 「まったく、ここまで我に恐れも敬意もない挑戦者は初めてであるぞ。球を自分のものにする、などという巫山戯たことも抜かしおったのもな。塵なら塵らしく、縮こまっておけば良いものを」


 その口調はだいぶ呆れ気味だ。それに、若干の怒りも感じる。

 まあ、普通ここまでくるのは相当な準備や覚悟がいるし、竜は魔力になれた人間でなければその存在感(魔素の圧)で狂ってしまう。ここまで舐め切ったやつを見たことがないのは当たり前だ。


 だが、俺はここまで魔法であっさりとたどり着いてしまっている。それに、都合の良いことにこの体は特殊すぎて、魔素の圧を全く感じない。

 まあ、威圧感がない存在を畏怖しろというのがどだい無理な話なのだ。


 そして、今言われたことに、俺は多少の怒りと、何よりある義務感を覚えていた。

 そして、覚えたのなら言わなければならないだろう。言うべきことを、しっかりと。


 『……ふん、自分が敬われる側だとすっかり驕っているようだな。超越者などと名乗って。どうだ、神様ごっこは楽しいか?』


 「……ほう?」


 竜がピクリと体を震わせる。

 ちょっと怖いが、それでもグリマニアとして、これだけはいっておかねばならない。だから、その恐怖心を押し込めて、俺は話を続けた。


 『生まれ持った力しか持てぬ、未来なき魔素の塊が、よくもまあそこまで偉ぶれるものだ。神に敗れおめおめと逃げ帰り、自らの弱さを知らぬわけではないだろうに。まったく驚嘆に値するよ。いくら俺でも、そこまでのことは考えつかないな』


 「……黙れ」


 竜の口が一文字に結ばれるのが見える。

 それと同時に、周囲の小石が微かに振動を始めた。魔力の波が、物質に干渉をするほどに膨れ上がっているのだ。

 しかしそれでも、俺はやめない。そんなことは意に返さない。何故なら、グリマニアならやめないから。きっと続けるだろうことを知っているから。


 『それに、超越者などといっておきながらやることは人間の前で偉ぶるだけか。力を使うでもなく、遊ぶでもなく、統治すらしない。全くもって美しくない。無様ですらある。その程度で超越者などとは笑わせるな。お前は一体神の何を見ていたのだ?』


 「……これが最後だ。黙れ、地を這う塵よ」


 『黙らないさ、空飛ぶトカゲ。……一つ、これから教えてやろう。真の超越者とは、絶対にして頂点にして全てを見透す、世界の陰、神にすら届く絶対者のことを指す。──────そして、それは俺のことだ。どうやら自分は見下されないとたかを括っているようだが……どちらが真の強者か、教えてやろうではないか』


 言い終わった瞬間、竜は大きく地面を踏みしめた。

 ドン! と大きな音とともに、衝撃が体を突き抜けていく。

 どうやら、もうお話は終わりらしい。


 「人の分際で、よくぞ─────よくぞそこまで言ったものだ! ならばよかろう、我も貴様に教えてやる! 貴様が思うより、超人の壁は高く険しいと言うことを!」


 魔力が、いや、それを形作る魔素全てが俺の体へと吹き付ける。

 竜は一歩も動いてすらいないのに、そのせいで風が巻き起こっているかのように錯覚してしまうほどに。


 「貴様の勝利条件は簡単だ。我が守備を通り抜け、先にあの球に触れられれば勝ち。ああ、安心しろ、これは試練だ、手加減はしてやる」


 自らの怒りをそのまま力に変えて、今にも襲いかかってきそうな形相である。

 だが、それでも自分のプライドがそれを許さない。だからこそ、やつは手加減をせざるを得ないのだ。

 そしてだからこそ、あいつは俺に負ける。


 まったく、馬鹿なやつだ。我を失った状態なら、あの作戦(・・・・)も簡単に効くだろう。正直言って、まだ俺には全力の竜に勝てるほどの実力はないから、助かった。


 『たかだか御山の大将一人、この俺の敵ではない。貴様が散々見下した人間に、完膚なきまでに叩きのめされるがいい!』


 竜の試練が、今始まる──────!

Shall we dance? ─────Of course.




実際何がグリムの癪に触ったのかと言うと、竜が結構人間臭かったこと。グリムは他人に馬鹿にされたくらいで怒らない。

超越者などと名乗っていてさぞすごいやつなのだろうと思ったが、自分の価値観とあまりにずれていたのが気に入らなかった。あとは本文で述べているとおりの理由。

真の超越者は、世界を弄ぶようなやつじゃなきゃあね!

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