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異世界クズ転生 〜原作のままに生きていく〜  作者: しゅー
第三章 それは、竜災に非ず
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怪盗グリム、見参!


 最近────結構長く続いているので正しくないかも────は、何故か俺によくないことばかりが連続している気がする。

 レインのこともそうだが、一昨日なんかは、ユキとフラウの喧嘩に巻き込まれて俺まで先生に謝ることになった。

 先生も、どうせいつものことなんだからほっとけば良いのに。


 さて、そんな風なこの頃ですが、では本日はと言いますと。


 「コラー!! 止まりなさーい!! 逮捕するぞー!!」


 警察に追われています。

 うーん、実に元気で、頼もしい警察官ですね。まあこの世界も警察っていうのかは知らないんですけど。まあ仮称ってことでいっか。

 こんな夜遅くでもしっかり犯人見つけて、優秀なやつだ。

 まったく、平時なら褒め称えてやるというのに!

 

 あたりを見渡せば、そこは全く見覚えのない家が立ち並んでいる。どうやら、見知らぬ通りまで逃げてきてしまったらしい。

 逆に言えば、あいつもそれだけ俺を追いかけているということだ。


 これ、どうやって帰ろうかな、などど俺が考えていると、その後ろからまた警官の怒号が飛んで来る。

 それが煩わしくて、俺は振り返り、言った。


 『おい、夜間に近所迷惑とか考えないのか! もう少し黙ってろ!』


 しかし、幾ら罵声を浴びせても、彼は全く動じる様子はない。


 困った。若干真面目に相手するのに疲れてきている。

 でも、流石に戦闘とかするとどうしても目立つよなぁ。


 俺は憂鬱な気分になり、はぁとため息をついた。

 後悔の色が顔に滲んで来るが、もはや事後。止められん。


 いやぁ、どうしてこうなってしまったのでしょうか……。


 ◇

 

 それは、時を遡ること数時間前のこと。


 「さーてと、金がないな」


 家の棚を漁るのをやめて、俺は結論を出す。

 どうやら家財でバレずに売れそうなものはひとつもないようだ。


 よく考えれば、うちの家族な基本的にミニマリストくさいというか、どっちかというと物欲がない方である。

 家もこんな(普通の一軒家)で家具もあまりない……というか子供のために色々買い与えているだけで、実際彼ら自身の為の家具は殆どない。精々あっても共用のものだ。


 まあ、実際の所彼らはミニマリストというか、本当に物欲がないんだろう。別に物を買いたくないとかそういうことはないし、誕プレも毎年しっかりある。

 まあ、日々の贅沢と言えば美味しそうな食材を見つけて買うことか、俺が欲しいと言ったものを少し買う、くらいなのだが。

 言うなれば、俺たちは似而非(エンジョイ勢)ミニマリストなのだと思う。


 そんなわけで、この家を探して出てくるものは、どれもこれも大切そうというか、捨てるのが憚られるというか、そんなものばかりなのである。

 唯一要らなそう、と思った物は、残念ながら父の仕事道具だった。

 これでは、急に家から消えたらすぐにばれるだろう。


 「うーん、これ、支払えないなぁ」


 そんなわけで、驚くべき事実がここに誕生してしまう。


 そう、あの何でも屋の報酬がないのである!


 今まで、まあ金とかどっかから軽く見繕えんだろなどと思っていたが、しかし実際この家にはそんな物は影も形もなかった。

 取らぬ狸の皮算用とはまさにこのこと。あるはずもない金を当てにしていた俺は、見事にどん詰まったわけである。


 「えー………どーすっかなー」


 頭をかきながら、必死にこれからのことを考える。


 金を作るにはどうすれば良い?


 働くか。

 いや、流石にこの体じゃ無理がある。変化の魔法もできなくはないが、そもそも給料で足りるのかという疑問が残る。


 借りるか。

 いや、何処から借りるんだよ。アテもなければ知り合いもいない、いたとしても子供が借りられる金額は限度がある。


 払うの辞めるか。

 いや、流石に後が怖い。流石に「はいそうですか」とはならないだろうし、大体今後一切使えなくなったら痛すぎる。



 さまざまな考えが湧いては消えて、湧いては消えてを繰り返す。

 そして、さまざまな方法を考えて、俺が出した結論は──────



 「よし、金持ちから盗もう」

 だった。


 


 いや、もちろん犯罪なのはわかってるし、よくないことなのもわかってはいる。

 しかし、冷静になって考えると、別にこれで良い気がしてくるんだ。


 その理由としては、やはり『グリマニア』の存在がある。


 ぶっちゃけ、グリマニアは結構ゴリゴリの犯罪者だ。

 普通に物は盗むし、人は傷つけるし、保護条約だって知らん顔(全スルー)する。

 なんなら今回の目標の竜騒動も、普通に国家転覆罪に問えるレベルだろう。


 つまり、金がないなら盗めば良いか、は結構妥当な考えなのだ。


 それに、グリマニアは一応殺人をすることは稀だから、ライナスを消す択は無い。というか記述がないだけで、あいつCGでチラッと登場してたりする。

 そして、何よりグリマニアがせっせこ働く姿が想像できない。


 そんなわけで、この行動にもある程度の妥当性が生まれるのだ。


 ………良い子のみんなは真似しないでね!


 こうして金策の方法を考えた俺は、早速準備に取り掛かるのだった。


 ◇◇◇


 ──────で、その結果がこれです。


 いやー、帰りのうちに金持ちの屋敷に適当なあたりをつけて、適当に忍び込んで適当に宝石盗んで帰るまではよかったんだけど、そこで見つかっちゃって。

 幸い魔法で撹乱してるから姿は見られてないし、声は大人のものに変えてるから、子供だってこともバレてない。多分。


 なのでここで巻いたら、あとはどうとでもなるはずなんだが。


 「ぜんっぜんまけねぇ。なんだこいつ」


 まあ、警官くんがずっとついてくるわけだ。


 いや、原因はわかっている。それは、スピードだ。

 この体は魔法で強化しているとは言え圧倒的に遅い。一応もっと早くすることもできるが、この街中でそれは危険だ。事故りかねん。


 そんなわけで、俺とあいつは一向に距離が縮まらない安全運転で追いかけっこしてるのである。

 そりゃ巻けませんわ、と。


 だが、それもここまで。

 ちょっと逃げすぎて何処だかわからなくなったので、流石にこれ以上はまずいと判断しました。


 『おいおいもうこんな時間かよ。流石におさらばさせてもらうぜ、警官くん(ポリスマン)!」


 「逃がすわけないだろ! いいから止まれーー!!!!!」


  姿は靄で隠れているから見えるわけはないが、気分的に俺はパチっと彼にウィンクをした。

 そして、一瞬立ち止まる。


 その一瞬で俺は深く集中した。


 魔力を感じ取り、操り、足元へ──────


 『アデュー、面白かったよ』


 跳躍。



 最大まで足元に溜めた魔力が推進力へと変わり、俺を遥か空まで押し上げる。


 飛ぶ時、すごく悔しそうな景観が見れたので、まあ満足としようか。


 「ふぅ、これなら家への帰り方もわかるな」


 空中で街の作りを確認すると、俺は再び彼方へと空中で(・・・)跳躍した。

 もう、警官が追ってくることはなかった。





空はお前のもの……。


まあ浮遊の魔法があるんで、こんな力技で跳ぶ必要はないんですけどね。

一応個性としてひとつだけのメリットはあるけど。

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