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異世界クズ転生 〜原作のままに生きていく〜  作者: しゅー
間章 彼らにだって日常はある
36/125

慌ただしい一日を過ごして

時系列で言うと、二章終了後です。つまり若干未来に入ってます。三章の序盤くらいですね。

……ま、要するに伏線です。

 (幼児語は〜以下略)


 「うふふ、楽しかったぁ」


 ある日の昼下がり。

 学園の都合で午前中に帰ることとなった私は、今日の記憶を噛み締めながら帰っていた。


 「グリムくんとの魔法遊びも、ルーナちゃんとの本読みも、すごく素敵だった」


 今日あった色々なことを思い出すと、つい口からふふって笑い声が漏れる。

 今日はいつもより少ない時間だったはずなのに、随分とたくさんのことがあった。


 グリムくんが自分の魔法の練習に付き合ってくれたり、ルーナちゃんが自分のおすすめの本を教えてくれたりして、本当に楽しかったのだ。


 魔法練習では、私はあんまり魔法をすぐに使えなかったけど、グリムくんが教えてくれたらすぐにできる様になった。

 でも、それをグリムくんに言ったら、すぐにレインちゃんの方が上手くなるって返されちゃった。


 遊びでよく魔法を使ってる分自分が有利なだけだっていつも言ってるけど、私は別にそれに限らず魔法が上手いんだと思う。構築も早いし、なんか丁寧なんだ、グリムくんの魔法って。雰囲気が大人っぽい感じだからかなぁ?

 勿論、だからって私がグリムくんに勝てないっていうわけじゃないけどさ。

 それから、魔法を教えてもらう代わりに今度お裁縫を教える様にお願いされた。

 だけど、私は人に教えるのが好きだから別に何も嫌じゃない。むしろ、グリムくんと一緒にお裁縫できるなんてすごく楽しみなくらい。


 あと、ルーナちゃんが教えてくれた『聖女様と天使の弓』、あれも面白かった。

 文字が多くて少し難しかったけど、明日学校に行ったら絶対続きを読もうって思うくらい面白かった。

 特に聖女様って言うのがすごく格好良くて、まさに私の理想の人だった。今からでも、結末がすごく楽しみだな。


 そう言えば、あんなに難しい本をルーナちゃんは幼学園の頃から愛読しているらしい。

 それって、とてもすごいことなんだと思う。だからもっと胸を張って言ってもいいのに、ルーナちゃんはそういうことをしない、謙虚な人なんだ。


 本当に、素敵な人たち。私の大切な友人。

 私も、二人からそう思われていたら嬉しいな。


 ◇◇◇


 と、そんなこんなしている間に、家に着いてしまった。

 私のおうち、『服飾雑貨』だ。名前の通り服屋さんで、お母さんとお父さん二人で、服を直してあげたり作ってあげたりしている、小さなお店。

 でも、小さいけれど、私はこの家が大好きだった。まあ、自分の家が嫌いな人はいないと思うけど。


 そして、私がこの家が好きなもう一つの理由は、その『香り』にある。

 正面のドア、つまり店側の扉、を開けて家に入ると、ふわっと布の優しい香りがするんだ。だから、私はいつも家族用の裏口じゃなくて正面から家に入っている。

 本当はお客さんがいるかもしれないからよくないって言われてるけど、この感覚を味わいたくて、ついついこっちから入ってしまうんだ。


 それじゃあ早速、お邪魔します。


 ………………………。


 うん、今日もいい匂い。やっぱり安心する。

 ………よし、もういいや。そろそろ中に入ろっと。


 といっても、もちろんそのまま歩くと怒られてしまうから、家に入るのにはちょっとした()()がいる。


 服で視線を切って、バレない様に店の壁をつたってから家へとつながるドアをちょっと開けて、入ったらすぐにドアを閉める。


 今までバレたことのない完璧な方法。これで、私が怒られることはない。


 よし、それじゃあ早くお部屋に─────


 「キャー!!」

 バタバタバタ、ドン!


 わ! なんの音!? 何かが倒れたみたいな……。なんだろう?

 えーっと、音がした方向は………お母さんの部屋だ。

 いつもこんな時間に部屋なんて行かないのに、一体何があったんだろう。


 いや、それ以前にお母さんは大丈夫かな? 一応確認しなくちゃ。


 「おかーさーん! 大丈夫ー!?」


 うぅ、こんなに大きな声だしたことないから喉が痛くなっちゃった。

 でも、聞こえなかったら大変だし、仕方ないか。


 「あ、レインー? ごめーん、今ちょっと大変なことになってて、そっちに行けないのー! ちょっと手伝って欲しいからこっち来てー!」


 あ、どうやらお母さんは無事みたい。よかったぁ。

 だけど、『大変なこと』ってなんだろう? 手伝って欲しいって言ってたけど、私にできるのかなぁ?

 まあとりあえず、お母さんのところに行ってあげよう!


 ◇◇◇


 「いや、ごめんねレイン。さっそくだけど『()()』、どかしてくれない?」


 ………なに? これ。


 「え? それは勿論押入れの荷物だけど」


 いや、そうじゃなくて、なんでお母さん下敷きになってるの?


 「いやー、探し物してたらつい。バランス崩しちゃったみたいでね」


 お父さんからよくそう言う不注意なところ直しなって言われてるよね?

 普段からそんなだから、お母さんお店に立たせられなくて、お父さんがずっと店番してるんだよ。


 「あはは〜、レインは普段おっとりなのにこう言う時は核心ついてくるなぁ〜、さすがは私たちの娘!」


 むー、茶化さないで。怒ってるんだよ?

 せっかくの綺麗な白髪が台無しになっちゃってるし。


 「………ごめんなさい」


 それじゃあ、今度からは気をつけてね?


 「は〜い」


 なら、片付けてあげる。




 (数十分後)


 「あー、助かったぁ〜! ありがとレイン〜、この恩は忘れないよ〜」


 大袈裟だなぁ。ただ片付けただけだもん、普通だよ。


 それにしても、なんで急に部屋の押し入れに入ったりしたの? 夏服を出したかったとか?


 「いや、まだ季節は春でしょレイン。それはもう少し先。今回はちょっとものを無くしちゃってさ。どこにあるのかわかんなくて家中のもの引っ張り出してたのよ」


 無くし物? それは確かに大変だね。何を無くしたの?


 「魔糸(まし)よ。魔法を織り込むために使うやつ。わかる?」


 ……魔糸が無くなった?

 たしかに、それは押し入れにあってもおかしくない。でも、無いなんてことあるのかな。だって、毎日の様に使うし、お母さんもお父さんも作業場から道具は持ち出さない。

 

 「それって、切れたからゴミになっちゃったんじゃなくて?」


 「ううん、無いの。確かに昨日はあったんだけど………それで、昨日は縫った後に押し入れを開けたことを思い出してさ、もしかしたら紛れたんじゃ無いかって思ったのよ」


 でも、なかったんだ。


 「そーなの。それでどーしよっかな〜、今んとこ依頼も来てないし、買うのは週末かなぁ」


 一応、私も探してみるね。力になれるか、わかんないけど…………。


 「あ、ありがと〜。まあ全部片付けたのに押し入れにはなかったから、今度は別の部屋探すわ。レインは自分の部屋を探してちょうだい」


 うん。わかった。



 お母さんにも頼まれちゃったし、早く部屋に戻ろう。

 ……あ、そう言えば、まだ帰ったばかりで服も学校から帰ったままだ。探し物は先に明日の準備とかを済ませてからにしよう。


 魔糸、見つかるといいんだけど、でもきっと見つからないんだろうなって感じてしまうのは、なんでなんだろう?


 ◇◇◇


 結局、その日の夜まで探しても、魔糸は見つかることはなく、お父さんに聞いても、昨日は使っていないと答えるばかり。

 その後も家族総出で探したはずなのに、魔糸は影も形もなかった。


 お母さんとお父さんは、泥棒が入ったんじゃ無いかって言ってる。

 お母さんによれば、昨日は特に魔糸を片付けずに置いておいたから、実際に泥棒が来たら必ず盗まれたはずだ、だって。

 それはそれでどうなのかとも思うけど、もし本当に泥棒が入っていたら大変だ。

 もしかしたら他の何かも盗まれているのかも、と思ったが、特に無くなったものはない。まあ、魔糸だけでも貧乏な人にとっては結構高く売れるらしいから、それで十分だと思ったのかもしれない。

 それにしても、生活に困った人はここら辺にはあんまりたまらないと聞いていたから、余計に今回の驚きが大きい。


 お父さんは、お巡りさんに言うかどうかは、まだ初回だし自分たちの危機意識が薄かったせいもあるから保留にする、と言っていた。

 お母さんは反対したけど、私はなんとなくそのほうがいいと思ったから、お父さんに味方した。


 ───なんでそう思ったんだろう? 盗みは悪いことのはずなのに。

 ………ああ、きっとあの本の所為だ。『聖女様と天使の弓』。

 あの本では、聖女様はよく貧しい人たちにお金や、ものや、力を与えてあげていた。きっと私は、そんな彼女に憧れているのだろう。


 でも、だからといって悪いことを許すのはいいことなのかな。少し考えてみるけど、やっぱり私にはわからない。わからないけど────少なくとも私は、今回の件は別にいいと思っていた。


 まあとりあえず、難しいことは二人に任せて、私はそろそろ眠ることにする。

 明日も私には学校があるし、お父さんに早く寝なさいっていわれたから。


 それにしても、今日は本当に、いろいろ濃い日だったな。

 いいことばかりじゃないけど、たまにはこう言う騒がしい日もいいのかも。

 そんなことを思いながら、私はベッドの中で眠りについた。

 


 というわけで、主人公レイン視点でした。

 いやー、前回口調がはっきりしないといったので、一話書けば安定するだろと思って書いてみたら、死ぬほど大変でしたよーハハハ。もうキャラブレブレでした。完全一人称で書いたのが初めてっていうのもありますけどね。

 まあ今後のレインとのズレは幼児語翻訳挟まったからだと思ってください。



 少しだけレインというキャラに踏み込んだ話になっちゃうんですが、彼女は良くも悪くも主人公っぽくないんですよね。だからあのゲームはコアな人向け(ちょっと有名止まり)なんですけど。

 キャラ紹介を見ればわかるんですけど、彼女結構天然入ってると言うか、のほほんとした子なんです。それこそ子供の様な。

 勿論コレは子供ならみんなそうなんですが、レインは「大人になっても」このままなんですね。

 その最大の理由として、この勘の良さが挙げられます。

 レインは勘がいいというか、PC(プレイヤーキャラ)だから以前に、設定として鋭い観察眼を無意識で持ってるんですね。子供ながらに親の言っていることがわかっていたり、一度も親に見つからず家に入ったりしているのがその証拠です。

 それは、勿論いいことなんですけど、そのせいでレインは少し考え方や行動が他と違うところがあるんです。天然、浮世離れしてると思われるのもこの所為ですね。勿論魔法などの才能の所為でもありますが。

 それから、彼女が儚いのは天性の雰囲気であり、別に「危険を知らない故」とか「いろいろ知りすぎたから」とかじゃないです。というか、レイン本人の闇はそんなにないです。主人公なんで。(まあ根本的な異常が一つだけありますけど。実はこの回にもその片鱗があります。どーこだ?)

 あと、実は天職は探偵だったりします。まあ原作の彼女には一生関わりのなかった仕事ですが。

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