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異世界クズ転生 〜原作のままに生きていく〜  作者: しゅー
第二章 よく言えば日常回、悪く言えば前座
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なんかお前ら……違くね?


 新年の気分もすっかり抜けまして、ついにこの時がやってまいりました。


 小学園とは、すなわち学びの場。

 幼学園も肩書では同施設だが、あそこは殆ど子供を慣らすための場所。勉強をすることなど皆無と言ってもいい。


 そんな訳で、今年から俺たちは『勉強』をしなければならないのだが……


 「まぁあるよな、体力テスト」


 そう、勿論その教科の中には体育もある訳で。

 それはつまり、この国が子供の身体能力の大切さを理解していることを指し示している。

 そんな国が、体力テストを実施していないわけがないのであった。ちくせう。


 「お、グリムー、やっほ!」


 バッと隣から急にユキが現れた。

 基本的に自由奔放である彼は、幼学園での予想通りクラスの中心人物になっている。もはやクラス全員がこいつと友人と言って差し支えないだろう。

 そして、俺が最初に少し話したのが功を奏したのか、こいつは俺に特別に構ってきて、結構仲良くやっている。


 まあ、折角なのでこいつをバディにしようかな────── 

 と、思った瞬間には俺はこいつのパートナーということになっていた。

 俺が口を開いた時、こいつはもう先生に報告をしていたのである。


 うーん、陽キャは会話が早いな。


 この世界の体育着である軽く、地味な見た目をした布の服を完全に着こなしているユキを見て、俺はそう思った。

 いや、本当にこの顔に似合っている。まさにスポーツ少年と言っていいだろう。

 服のカラーリングが茶色でなければなおぽかったのだが。


 やっぱり、この絶妙にダサい服は何とかならないかなぁ……


 どうしても、現代人としてはそう思ってしまう。

 しかし、ないものを強請っても仕方がない。細やかな我儘を心の中にそっとしまうと、俺はユキの方へと歩いて行った。


 ◇◇◇


 一日をかけて漸くテストが終わり、それぞれが点数をつけてもらって自分の席に帰っていく。

 ユキは記録を貰うととても喜んでいたので良い記録だったのだろう。

 まぁユキならどんな結果でも喜びそうだけど。


 ……フラウが結果をさりげなく机にしまったのは見逃してやろう。

 でも隠す必要ないと思うぞ。みんな運動音痴なこと気づいてるし。


 さて、それでやはり大事なのは俺の結果だが。

 …………はい、俺が運動できないと思ってたやつ(読者)、挙手しろ。


 ゲーマーで、しかもこっちでも魔法ばかりしてるから俺が運動音痴だと思った?

 フッ、浅はかな奴だ。そんなわけないだろう。


 この俺の記録は……当然、『C』だ!

 あ、一応言っておくが体力テストの基準は現代と同じだからな。


 C、すなわち平均より少し上くらい、だ。……うーん、完璧。

 本当はもう少し上だがこれ以上は流石にキャラを逸脱しているのでここら辺に調整した。


 おいおい、ずいぶん驚いた顔をしているじゃないか。(幻覚)

 魔法は一応カテゴリでは体育だし、大体グリマニア自体魔法「も」できる天才キャラなんだ、こうなるのは当然だろ?


 なお、正直にいうと父との特訓の成果と肉体そのものの才能です。

 決して俺が運動好きな訳ではありません。何なら嫌いです。



 ……まあ、何れにせよ前世含め自己ベストなのは間違い無いな!


 などと心の中で勝ち誇っていると、後ろから声がした。

 振り向くと、ユキが俺の方に結果を報告しにきている。


 何というか、こいつと比べると折角の自信が損なわれそうだな……。

 と、思いはするものの、ここで見せないのも変なので、しっかり笑顔で対応することにした。


 「あ、どうだった? 僕はこんな感じ」


 顔に笑顔(営業スマイル)を貼り付け、俺がユキの前に結果の紙を広げてやる。

 それに反応して、ユキもこっちの前に紙を見せようとしてきた。


 「あ、おれも見せるー! ほらこれー!」


 そして、そこには俺の思った通りの結果が記されて────







 ………なんか……あれ? 思ったより思ったよりじゃね?


 ユキの総合評価の欄に記された文字は、『D』だった。

 しかも、惜しくも、という感じでもない。中間程度だ。


 いや、別にそれが低いとかそういう訳ではない。無いんだが……こいつの性格を考えると、少々拍子抜けである。

 運動得意そうな顔してる割に、そこまでだったんだなぁと驚いてしまった。



 「あー、おれの負けかぁ! くやしぃ〜〜」


 そう言うと、ユキはその感情を体で表現するかのように地団駄を踏む。

 なんとも可愛らしい負け惜しみだと、少しほっこりした。



 さて、まあ一通りほっこりしたところで、だ。

 勝者が敗者にすること、それは勿論────!!



 「うふふー、すごいでしょ? まあユキくんも頑張ってよね」ウィンク キラッ


 そう、イキリである!!!


 「う。ち、ちょーしのんなよ! まだつぎもあっかんな!」

 「ふふーん、でも今回は僕の勝ちだもん」


 そしてここで渾身のドヤ顔(子供仕様)!


 ドヤァァァァン!!!


 「〜〜〜〜〜! 負けないよ!!!」


 はいはい負け犬の遠吠えですね〜。あー心地いい。


 おいおいユキの野郎、今にも駆け出しそうな闘志に溢れた目をしてやがる。

 フッ、コイツァ化けるぜ、俺が保証する。


 ……と、まあ茶番はこのくらいにして、だ。


 ん? いやもちろん茶番ですよ。

 まさか子供時代のトラウマ(点数低すぎて赤っ恥)をここでやり返そうなんてそんなちっちゃいことしませんて。

 

 「まあ、来年も一緒に頑張ろうね!」


 そう言って俺はユキに手を差し出す。

 当然、仲直りの握手のためだ。謝罪はちゃんとする。それが俺の流儀だ。


 ユキはそれを見ると、とても勇ましい顔で俺の方に向き直り、そしてがっちりと手を握ってきた。

 当然、俺も握り返す。


 そこには、男と男の友情があった。


 ◇◇◇


 「あ、グリムくん、どうだったぁ?」


 ユキと別れ、一人でクラスの椅子に座っていると、ふと隣から声がした。

 声の方を向くと、そこにはこれまた可憐な少女が一人立っている。


 俺は彼女が話しかけてきた理由を察すると、()()を提示する。


 「はい、これが僕の結果だよ、レインちゃん」


 そう言って俺が彼女に紙を差し出すと、レインは「交換だ」と言って自分の紙を俺にも渡してきた。

 特に興味もなかったので、その行動に少し困ってしまう。


 大体、ここには身長とか体重とかそう言うプライベートな情報も載っているんだけど、レインはいいのかなぁ……。

 少し迷ったので、とりあえずそれとなく返却を申し出る。

 

 「でも、男の子と女の子だと、比べてもあんまり意味がないと思うよ? いいの?」

 「うん、いいの」


 即答だった。


 まあ、本人がいいなら仕方ないだろう。

 別に俺は6歳児に興奮するほど変態ではない。倫理的にも多分大丈夫だ。


 一応適当に自分の心を納得させる。

 これからこう言う(幼児愛者が好きそうな)こと増えるだろうし、この程度で動揺もしてられないのだ。



 それから少しの間ぼーっとしていると、ふと、レインがこちらに視線を向けていることに気づく。


 「えと……何?」


 俺が問うと、レインはまたしても即答する。


 「見ないのかなって」


 あー、成る程? 交換してるんだから見ろよと。

 いやぁ、こっちもせめて大人としてそれだけはダメだと守ってたんですけど………え? いいから早く見ろ?

 チッ、仕方ねぇなぁ。


 そんなわけで俺は渋々その中身を見ることにした。

 隣からとてつもない圧力の視線が飛んできているので、誤魔化すこともできそうにない。


 仕方ない、一瞬見て満足してもらうか……そう思って俺は紙に手を掛けて───



 ああ、そういえばレインってルートによって性格(ステータス)変わるけど、実際今回はどうなんだろう?


 ページを開く直前、そんなことが頭をよぎった。

 別にゲームスタート時点ではステータス差はないのでぶっちゃけここで判断はできないんだが、まあふと思ったってだけである。


 そんなことを思ってしまったので、実際、レインってどれくらいの身体能力なんだろうなぁ。と考えるのは必然だった。

 そう、俺は一緒に遊んだことはあるが、レインが全力で運動しているところは見たことがない。

 ゲーム内でもそういうのを見せてくれるイベントはなかったし、レインの運動能力は結構ヴェールに包まれているのだ。


 まあ、主人公だし全ルートで攻略対象と一緒に魔物討伐とか当たり前にしてるし、低くはないんだろうなぁ。


 そんなふうに軽く考えながら、俺はその手を動かす。

 そして、レインの結果を目の当たりにするのだ………。














 

 

 

 

 



 そこには燦然と輝く『A』の字があった。


 あの、ヒロインって何なんですかね……?


実際冷静に考えてみればわかるけど、毎日毎日レベリングとか言って魔物を倒すような奴が並大抵のステータスなわけないのです。レインもその例に漏れないだけ。つまりつおい。

てかそんくらいできないと一般入試で本来貴族用の魔法学園には入学できない。(彗星がハードル爆上げしたせい)


設定的に言えばレインはグリマニアの次に天才なので、これくらいは普通。というかグリマニアも余裕でできる。多分一ヶ月かからない。

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