読?後感
またキモい回が来ました。
書いてて楽しいんで私は好きなんですけど、読者の皆さんはどうなんですかね。
「おやすみなさい」
「うん、おやすみぃ……」
ドアはゆっくりと閉められ、そして完全に外界から隔絶される。
そのせいで一切の光が部屋から消え去り、インクをひっくり返したような暗闇がすっぽりと部屋を飲み込んだ。
俺はその暗闇から逃げるように布団を被り…………
超悶絶した。
「ほべっ、あかーーきクククコオぉぉぉぉーーーー!!!!」
声にならない叫びが俺の喉から放たれる。
いやキモっ、文字にするとこんなのになんの?
はい賢者タイム。
いやあ、やばかったね。まさか今日とは思わなかったよね。
そのせいで気づくのに時間かかっちゃった。ファン失格やな。
ちょい反省…………はい復帰。
俺は今日見たあの光景に再び想いを馳せる。
レインが木から落下して、ルーナが下敷きになるかと思われたがそれを防ぐ。
レインは謎の力に驚くが、彼女らは早退となってしまうのだった……。
うん、今でも完璧に思い出せる。目に焼き付いて離れない。
あ、ルーナを守ったのはもちろん「魔法」だ。
ルーナが身の危険を感じ、無意識に発動させた、という設定だったはず。
……なぜ知ってるのかって?
そりゃあそうでしょ。何せあれは─────
「イベント」なのだから。
そう、あれはイベント………ああいや厳密にいえば少し違うか。
あれは、回想シーンのうちの一つだ。
ルーナと親睦を深めていくとコレクション的なので二人の過去が観れるのだが、今回のはそこのうちの一つめの記憶。
ルーナとレインが出会うきっかけになる事件。そして、ルーナが魔法の道に進むきっかけとなる事件。
それこそが、このイベントだ。
まさに、運命を決定する大切なイベントなのである。
そう!!!!!
つまり!!!!!!
超⭐︎最⭐︎高!!!!!!!
あまりの尊さにこっちのお目々はドライアイになっちまったZE⭐︎
ちょっとガン見しすぎたけど、まあ目が潰れるくらい大したことじゃないよネ!
いやあ、あーいうのを見ると、俺がこの世界に来たってことが実感できるなぁ。
生で見るとやっぱ違うわぁ〜。まずグラフィックがいいし。(当たり前)
しかもよりいいのがゲームだと
「そのあとコッテリ叱られましたとさ」
の一文で済まされたところも完全アニメーション(?)で見られることだよ!
ああもう、レインがしょんぼりしてるところも最高でした! ごっつぁんです!
代わりに俺は保母からも親からもひどく叱られたけど、まあ代償としては釣り合ってるよね。寧ろ安すぎるくらいっす。
あー、いいもの見ちゃったなぁ。
それに、明日も楽しみだぁ。
明日はこのイベントの次の日。
それはつまり、これの続きの部分が見られるということだ。
あ、なんでそんなに連続してイベントが起きるんだって顔してるね。(幻覚)
ふっ、それはこのイベントの「見方」が原因さ。
どういうことかというと、ルーナとレインの出会いイベントはコレクションで見るという仕様の関係で、一つのイベントが細かく分けられたものをそれぞれ見ていく、という方式になっている。
逆にいえば、ここから数個のイベントは連続しているのだ……!
ああ、もう考えただけでニヤニヤが止まりませんなぁ。
あー、早く明日にならないかな、るんるん ^ ω ^
…………いや、目が冴えて眠れないわ。
まあ無理もないかもなぁ。単純に興奮がまだ冷めやらない。
この状態で眠れるやつは瞑想の達人か病人だけだ。
うーん、まあそれじゃあ今日も考察とかしてみちゃうか。
まず衝撃の事実として、あのイベント現場に俺がいたということだ。
といっても、この場合の俺は俺でなく「俺」の方だが。
俺の記憶によると、ゲーム内にそんな描写は一切なかった。
全クリ前にポチった設定資料集でもそんな記述を見た覚えはない。
ただ、ゲームには誰かと一緒にいたということは書かれていたので、まあ隠し設定というやつなのだろう。
子供とはいえ、レインはうっかり木から落ちるほど馬鹿ではない。
天然だけど。
まあ、それはいい。また一つ賢くなってしまった、で済む。
しかし、ここで一つ考えるべきことがでてきてしまう。
それは「このイベントのグリムは無関係なのか?」だ。
おれは今回の件がイベントだと気づかなかった。
だからこそ俺は特に何もせずに自由に過ごしていたのである。
つまり、このイベントが起きたのは全くの偶然だ。
しかし、ここで一つ問題が生じる。
俺が「本物」だったらどうしただろうか、と。
今回、グリムは本当に何もしなかったのだろうか。
もしかすると、レインが落ちることも計算していたのではないだろうか。
このイベントは、もしや必然だったのではなかろうか。
グリムが裏で動き始めた時期は具体的に明らかにはされていない。
それに、いつからグリムがレインで遊び始めたのかも。
設定資料集にも、そこまでのことは書いていなかった。
まあ、後者は大体の予想はつくのだが、前者はマジでわからない。
いくらナチュラルボーンクズとはいえ、まさか三歳で既にそんな昏い悦びを味わっているなんて、そんなことがあるだろうか。
別に関係なくないか、と思うかもしれない。
いや、実際考えすぎなのかもしれない。
当然だが、グリムの悪事ではないから書かれていないという可能性もある。
しかしそれでも、俺がグリムとして生きると決めた以上、やるからには完璧にやらなければならない。
もしこの仮説が本当だった場合、「役割演技:グリム」の難易度は、俺の想像以上に高いことになる。
そうなれば、俺はこんなに悠長に遊んでなどいられない。
別にイベントを見るだけなら、どうせ全部は無理なのだし多少見逃してもいい。
だが、中途半端にやってバッドエンドになられると、俺自身の、いや、この国中の人の生活への弊害が出てしまう。
いくら俺が自分本位のやつとはいえ、この生き方を選んだ建前にその項目は含まれているのだから、それは避けなければならない。
案外、俺は厳しい道を選んでしまったのだろうか……?
顕在化した大きな疑問は、俺の心の中に少しずつ影を落としていく。
「チッ、感動が薄れっちまったな」
顔を顰め愚痴をこぼすと、俺は今度こそ眠りについたのだった。
落差がひどい。
話を作るのが下手なんです。すみません。




