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異世界クズ転生 〜原作のままに生きていく〜  作者: しゅー
第二章 よく言えば日常回、悪く言えば前座
23/125

魔法使いになろう その2

前回の続き


 見えないし、触れない。なのに、あるとわかる。


 その感覚はなんと言うか、少なくとも日本語では表すことができない感覚だ。

 しかし、心地の良いものではないのは確かである。

 簡単に言うなら、新しい感覚、読んで字の如く第六感だろうか。


 正直言って、知らないで済んだなら知りたくなかった。

 今までも風車などで魔力の存在を感じてはいたが、道具の補助がない魔力がこれほど気持ちの悪いものだとは考えても見なかった。

 こんな物を感じても平然としているなんて、この世界の人間は強いなと思う。

 それともこれは、長い間五感のみで生活していた俺だけの感想なのだろうか?


 ……いずれにせよ、俺はこれに慣れていかなきゃいけないんだ。とにかく練習あるのみだな。


 そう考えると、俺は集中をやめて目を開く。

 すると、俺の意識が徐々に現実へと戻ってきた。

 魔力を感じるときは何か、不思議な波(まりょく)に包まれるような感覚なので、じっとしていても何も感じないことに少し安心する。

 まるで海から上がった時のようだ。


 開けた目がようやく光に慣れてくると、他にも何人かの子供達が戻ってきているのが見えた。

 しかし、大半の子供はまだ唸ってばかりで、魔力を感じられていないらしい。


 唸っている奴らの中に、フラウの姿が見える。

 初日、俺が話しかけたメンツの中で、唯一うなっている奴だ。

 まあ、どう見ても運動とか苦手そうなので仕方ないのかもしれない。


 それに対して、ルーナやレインはさすがというか、一瞬で魔力を感じられていたように思える。

 俺はグリム(天才)だから当然として、彼女らはすごい。勿論ユキもだ。


 などと考えていると、また新しく何人かの子供が現実へと帰ってきた。

 彼らの顔は皆一様に感心しているような感じだ。自分たちが今まで感じたことのない新感覚に驚いているのだろう。

 一発成功組では俺が最後に戻ってきたから、その顔を拝むのは初めてだ。レインもこんな顔をしていたのだろうか。

 ……みたk ゲフンゲフン。


 さて、その一方で、何人かの子供はいまだに成功していないようだ。必死になって力んでいるのだが、全く感じ取れていない。

 どうやらフラウもまだダメらしい。その顔には焦りの色が浮かんでいる。

 キャアキャア周りで騒いでいる中必死に努力している姿は色々クる(蘇る)のだが、

しかしどうしようもないのも事実。頑張って欲しい。


 と言うことで、俺はさっきから魔力すごいと話しかけてくるレインを相手して暫しの間時間を潰すことになったのだった。

 んー、目を輝かせるレインもステキ!


 ◇◇◇


 はい、そんなこんなで十分が経過しました。

 現在、未成功者は三名です。


 先生が必死にやり方を教えているが、まあこればっかりは完全に感覚なので、

本人がなんとかしないとどうしようもない。

 例えるなら、水の浮き方みたいなものだ。俺たち(できる奴)では当たり前すぎて説明して

やれない。


 兎に角、そんなこんなで現在、進行が明らかにグダっていた。

 既にこの「魔法の時間」の内の三分の一が経過してしまっている。間違いなく導入部分であろうここに使うには、少し長すぎるのではないだろうか。


 中には魔力感知を何度か繰り返し練習する子もいて、かく言う俺もその一人だ。

 他の子供達も、こんな長い時間をおとなしくすると言うのはやはり焦ったいようで、殆どはまるで自由時間かのように振る舞っている。


 しかし、一番焦ったい思いをしているのはあの三人(できない側)だ。

 周りの足を引っ張っていると言う自覚をあの子たちができるのか、と言うのはわからないが、まあ俺だったら普通にキツい。罪悪感で死にそうになる。

 フラウちゃんに至ってはガン泣きしてしまっている。


 本当にかわいそうだ。気持ちは凄くわかるぞぉ……!(経験者)


 しかし、俺は助けない。保母さんが必死に教えてくれているし、そこまで彼女が焦っている様子もないのできっとなんとかする手段があるのだろう。多分。


 なので、俺はレインと遊んで待つことにする。

 と言うかそろそろレインが怒りそうなのでこれ以上は待てない。

 すまないみんな。俺もう行くわ。


 そうして俺はレインと一緒に遊具の方へと向かった。

 まあ精々頑張って欲しい。俺は遠くから高みの見物と洒落込ませてもらおう。




 その後何分経っても、結局彼らは魔力を感じ取ることはできなかった。

 それで最後、時間ギリギリになって先生が何かを持ってきて、それを背中に当てると魔力が感知できたとかいう謎の術を使って解決していた。


 あくまで補助なので、自分でできるようになるためにはあまり使いたくないと言っていたが、そうは言ってもできないのだから仕方ない。

 一応子供たちはみんな思わぬ自由時間ができたと喜んでいたので、あの三人が恨まれることがないのがせめてもの幸いだろう。



 因みに、俺はその間レインと魔法を使えないか遊んでいた。


 魔力が感じられるなら魔法も使えるだろうと思ったのだ。

 そこで、ちょっと前に風車を使った感覚を思い出しながらやってみた。しかし、これが全く使えない。俺はほとほと困り果ててしまった。

 レインの方も同じなようで、俺たちは二人して首を捻り続けていた。


 どうやったら魔法が発動できるのか、正直皆目検討もつかない。

 魔道具の感覚の通りにやってもできないと言うことは、恐らく何かとても大事な工程を魔道具が肩代わりしていると言うことだ。そうすることで、誰でも簡単に魔法が使えるようになっているのだろう。


 悔しいが、まだ俺たちでは魔法を使うには早いらしい。

 だが、それにしても、だ。


 「魔道具って本当にすごい発明なんだなぁ……」


 「……? そうだね?」


 可愛い。一瞬眉を顰めたのにすぐに思考を放棄する所が子供っぽくていい。

 きっと、魔道具とはなんなのかがわからなかったのだろう。

 ……魔法玩具という言葉を知っているのにどうしてわからないのか、という質問はそのまま胸の中にしまっておくことにした。レインは馬鹿じゃない。イイネ?


 結局、この日の俺たちは魔法が難しいということを知っただけだった。


 そうして、俺たちの最初の魔法体験の時間は幕を下ろしたのである。

できないで取り残される経験、あなたにはありますか?

私はあります。泣きました。



そういえば、気付かぬうちにこの物語も一ヶ月続いてます。

随分とダラダラ話作ってんなと思うと同時に、そんな作品に付き合ってくださっている読者の皆様に最大限の感謝を贈らせていただきます。

これからも、是非グリムたちをよろしくお願いいたします。

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