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異世界クズ転生 〜原作のままに生きていく〜  作者: しゅー
四章 聖域で嗤う(予定外)
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ゲート・ガーディアンズ その3


 先ほどまでの派手な打ち合いが嘘の様に一方的な魔術行使が続く。エレオスとパトレアはこの大量の魔法への対処を一つ一つ入念に行なっているので、あまり大きな神術が飛んで来なくなったのが主な原因だ。


 しかし、だからと言ってそれが俺の有利を表すわけではない。


 『無窮の願い』は一回ポッキリの使い捨て魔法だ。一度発動して仕舞えば次はなく、故に魔法は減りこそすれ、増えることなどあり得ない。だから、状況の打開ができていない現状は俺にとって不利なのである。

 見ろ、何百と飛び交っていた大量の攻撃魔法達が、今やすっかり数を減らしてしまっている。相手の対処が的確に進んでしまっている証拠だ。このままではいつか俺の方が追い詰められる。ここでなにか追加で攻撃を仕掛けなければ、勝敗は決したも同然となるのだ。


 と、ここで視界の端でわちゃわちゃしていたパトレアが叫んだ。


「エレオスさん、ぼちぼち魔法も減ってきたんで自分は援護に回ります、残り任せました!」


「ああ、手伝いご苦労。後は俺がやろう!」


 おーおー、敵軍二人が随分と不穏な会話をしていらっしゃる。

 こんなに追い詰められるとは、正直思ってもなかったぜぇ……


 だが! ここで終わらないからこその俺! ここまでお前らを観察し続けて、お前らの癖はわかってきた! すまんがまだまだ俺のターンだぜ!


 そして、俺はそそくさと戦線を離脱しようとしているパトレアに狙いを定めて、一つの魔法を放った。


『逃げんなよ─────厄招き(バットマーク)



 ──────ピッ……



 呪文を唱え終わると同時、俺の指先から一筋の糸が発射された。

 音も無く放たれたそれは高速で直進し続け、俺の指が刺していたその先……つまりパトレアに命中して消えた。

 すると、パトレアの体に小さな赤い紋様が浮かび上がる。

 その形は何の変哲もない、太陽の様な赤丸だ。一見すると、シールか何かかの様にも見えてしまうほどに無個性な模様。


 だが、その模様を視認したパトレアの表情は、その模様とは真逆に青く染まっていた。


「げっ、これって──────」


 と、あまりの驚きにパトレアが声を漏らしたその瞬間。そこらじゅうに漂っていた全ての魔法が停止したかと思うと、突然その全てがパトレアへ向けて移動し始めたのだ。


「うわー! やっぱりぃぃぃ!!!!!!!」


 目尻に涙を滲ませながら、パトレアは叫ぶ。


「こ、こっち来ないでくださいぃ〜!」


 情けなく叫びながら逃げ惑うパトレア。その哀れな姿は、一瞬彼がとても優秀な潜入捜査官だと言うことすらも忘れさせる。

 あと、エレオスの「えぇ……」みたいな顔が凄く居た堪れなさそう。


 そして、俺はと言うと、その様子を観察してめちゃくちゃ大爆笑していた。


『ダーッハッハッハ!! ほーら逃げろ逃げろ、まだまだ魔法は増えてくぞぉ! それ、聖核の簒奪(トランシーレ)ェ!!』


 俺が詠唱を終えると、無造作に打ち出されされた弾はしかし、全てパトレアの方へと向かっていく。

 それを見て顔をさらに青くしたパトレアは、自らに補助魔法をかけてさらに逃げる速度を上げる。


 しかし広いとはいえ室内の神殿。どんどん追い詰められるパトレア。


「はぁっ、はぁっ、少しは遠慮してください、私の性能はサポート特化なんですよ!」


『バーカ、だから狙ってんだよ!!』


「………何やってんだあいつら」


 なんか向こうのほうで呆れてるエレオスが見えたけど無視無視!! 追いかけっこが俺の作戦なんだよー!!


 ちなみに、さっき俺が使った魔法『厄招き』はヘイト管理の魔法だ。

 要は、タンクが自分にヘイトを向けたりする魔法な訳なんだが────なんと、この世界では自分以外にも使えるらしいことがこの前分かったのだ。ゲームだとタンク専用だから試したこともなかった……偶然通りかかってくれたカラスくんに感謝ですね。


 いやー、この世界を現実として認識してたつもりだけど、まだまだ事前情報に囚われてました。精進精進。


 と、話がそれた。

 まあつまり、今はパトレアにヘイトが向いている状態で、だから魔法たちに集まられてるんですね。かわいそうに。


『あ、因みに赤丸(それ)一定時間しないと絶対に取れないから』


「ぬわ〜!!!!!!!!!!」


 うるせっ


 と、俺はいつまでもぼーっとしているエレオスの方へと向き直ると、彼に声をかけた。


『おい、助けに行ってやれよ隊長さん。相方さん困ってるぜ』


 そう言うと、露骨に顔を顰めながらエレオスは応えた。


「………わかってる。というか、随分と余裕だな。魔法を全てあいつに向けたらお前は格好の獲物だぞ」


 そう言って彼は指をポキポキと鳴らす。

 鋭い眼光が俺を射抜き、俺は体を震わせた。


 が、俺は怯まない。何故なら──────


『ふん、一対一(タイマン)ならお前には負けないからな。なんなら攻撃してくれ、各個撃破が今の狙いだ』


「………言ってくれる。先程まで一方的にやられていただけのくせにな」


『ああ、()()()()()りの(・・)お前にな』


 俺がそう挑発した瞬間、エレオスは光の槍を飛ばしてくる。


『へっ、怒んなよ』


「死ね────」


 さあ、真剣勝負の始まりだ。ゲーマーの意地見せてやんよ。

 


 

実力的にはグリムが上、経験的にはエレオスが上。

制限時間はパトレアが戦線に復帰するまで────では、ファイッ!

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