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異世界クズ転生 〜原作のままに生きていく〜  作者: しゅー
第一章 生きる世界、変わりました
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あゝ素晴らしき誕生日

正直いつまで前座やってんのって感じです。

設定が次から次へと湧いてきて、設定を出す章である一がどんどん長く。

そろそろ物語を書きながら考えるフェーズに移行したいと思います……。



 その後、数十分待つと俺の名前が呼ばれた。

 俺たちは指示通りにカウンターへ行くと、そこにはあの医者が座っていた。

 そこでそのまま医者から軽く結果を報告される。


「特に異常は見られませんでした。ほとんどの数値は平均から外れていませんし、魔力内包障害や魔漏症も見られません。しいてあげるとすれば、技巧性がほんの少し高いくらいでしょう」


 それから医者は優しい声で、一つ一つの数値を指差し丁寧に解説してくれた。

 まあ要約すると、「俺に異常は見られない」だ。


 どうやら俺の人格のことはバレなかったようだ。体の動きのスムーズさは誤魔化せなかったものの、誤差だと思ってくれたらしい。

 まあ、IQテストがなかったのが救いだったな。


 俺が安心していることなど彼等は知る由もなく、医者はそのまま俺たちに帰るように言った。


 高級病院に未練はありそうだったが、両親は俺を連れて帰路へと着く。

 その顔は俺に負けず劣らず安心した顔をしていて、改めて、彼等が「いい親」であることを認識したのだった。


 ◇


 次の日。俺はベッドで目が覚めた。


 元の世界では布団派だったからまだ慣れないな。


 そんなふうに思いながら、俺は自分の目を擦る。

 そのまま自分の体を起き上がらせると、寝ぼけた頭であたりを見渡す。


 窓から朝日が差し込み、俺の足元を照らし出している。

 その光景を見て、俺は昨日の夜のことを思い出した。


 ああ、昨日は健康祝いで誕生日用の買い物に行ったんだっけ。

 それで寝る時間が少し遅れて、部屋をあまり片付けずに眠ったんだ。


 まあつまり、俺の寝顔は外から丸見えだったわけである。

 誰かが見るとは思えなかったが、何となく恥ずかしくなりカーテンを閉める。


 そして少しずつ頭が冴えてきた俺は、ベッドを降りようとして———


「ハッピーバースデー! グリム〜〜〜!!!」


 なんとも騒がしい母の祝福を聞くことになった。

 ……びっくりしすぎてベッドから転落しかけたぞ。


 少し恨みのこもった目線を向けるが、どうやら母は興奮しすぎているようで、俺の視線に気がつくことはない。


 母は鼻歌まじりに俺を抱えると、そのまま回転しながら食卓へと向かった。


 くるん、くるんと、まるでバレエダンサーのように華麗なステップを踏みながら、母が廊下を歩く。

 いつぞやの押し入れを通り過ぎ、目的地の扉を母は開け放った。


 そこにあったのは……大量の皿! 皿!! 皿!!!

 昨日買った食材や俺の好物が小皿全てに盛り付けられている。

 料理たちの放つ香りが何とも美味しそうだ。


 なんと豪華な、と俺は驚いた。

 やはりこれは、子供の誕生日ならではのサービスなのだろう。


「ふふ、これは前座。一日の始まり! まだまだサプライズはあるんだから、さっさと食べちゃいなさーい!」


 母は俺に好きなものを好きなだけ食べてよし、と告げると、次の準備のために押し入れの方に走って行った。

 なんとも忙しいことだが、それだけ準備してくれているということだろう。

 そう思って期待して待つことにした。


 台所(キッチン)に幾つかか酒瓶とつまみ皿が見えるのは、まあ言わないのが良いだろうと判断し、俺は朝ご飯の消費に取り掛かる。


 結構一人暮らしが長かったから、俺にはこういう経験がとても懐かしかった。

 な、ないてねぇし。グスッ。


 ◇


 お腹いっぱいになるまでご飯を食べると、ピッタリ同じタイミングで母が部屋に戻ってきた。


「あ、グリム食べ終わった? じゃあライアン、次の部屋ね!」


 母は宜しく、とウィンクをするとまたドタドタと音を立てて走り去る。

 父は指示通り俺を抱っこして「次の部屋」へと向かった。


 「次の部屋」がどこかわからないが、どんなサプライズが待っているのやら、とワクワクして待っていると、父は両親の寝室の前で止まった。


 「ほーら、ここにも楽しいのがいっぱいあるからなー」


 父はそう言って俺の背中をポンポン叩くと、その扉をゆっくりと開けた。

 部屋の空気や匂いがふっと俺を包み込んでくる。

 しかしそれは決して不快感を伴うものではなかった。


 二人の部屋に入るのは初めてなので、若干身構えてしまったが、なんともない、普通の寝室だった。

 シングルベッドが二つ、大きめの棚が一つ、そして椅子と机が一セット。

 特に変なところはない、普通の……いや訂正。なにあれ。


 そこにあったのは、布がかぶさった何か、だった。

 大きさは大人の腰くらいの謎の四角(キューブ)が、棚の隣に置かれている。

 その雰囲気は明らかに異質なもので、この部屋の家具として完全に浮いている。


 俺の目がそれに釘付けなのに母は気付いたようで、少し喜ぶような反応を見せると、その布に手をかけた。


「さあ、刮目して〜〜〜見よ!!!」


 おおきく溜めて、一気に布を引っ張り上げる!

 そして、その下から姿を表したのは……本棚だった。

 もちろん本もある。(当然幼児用だ)


 俺は、こいつに乗り移ってからずっと本を読みたいと思ってきた。

 絵本だろうが、学術書だろうが、本を読めばだいたい世界のことを理解できる。なぜなら、本とは情報媒体であり、その世界の何かしらを伝えるためにできているからだ。


 その中でも、絵本や幼児向けの本というのは最も適切な例と言えるだろう。

 子供に何かを読ませる、ということは、子供に何かを伝えたい、ということであり、そこにはその社会の方針がハッキリと出る。

 戦時中には桃太郎は米軍と戦ったし、例のネズミ社の映画は日本兵やドイツを描いたものも多かった。そして、現在でも何か教訓が得られる物語がほとんどだ。


 それが正しい、正しくない以前に、幼児用の本はその社会を移す鏡なのである。


 と、ここまで長々と語ったが、要は本を通してこの世界について知りたかったのだ。

 勿論、元の世界の中世ではまだ本は高い。しかし、この世界では魔法により幾つかの技術はとても進んでいるようだった。

 俺は、その技術の中に、「製本」もあると予想し、かねてより両親に本をねだり続けていたのだ。


 最近ははぐらかされ続けもうダメかと諦めかけていたいたのだが。

 今、ここに、確かにある。しかも大量に!


 ざっと数えただけでも三十はあるだろう。


 まったく、今日は最高の日だ。

 この喜びを伝えるべく、俺は二人に抱きついたのだった。




いやぁ、良いですよねこういうの。心が温まって。


実際本はあんまり高くない模様。

ただし、進んでいるのは製本というより印刷技術。

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