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かくれんぼ イタズラと現実の間

作者: つみき

宜しくお願いします。

「そうだ。かくれんぼしよう」


 それは唐突にクラスのマドンナの口から発せられた。


 放課後の学校。仲良い男女4人が教室でじゃれつく。皆彼女の意見に同意しかくれんぼを行った。鬼は言い出しっぺのマドンナ。


 その放課後から彼女は忽然と姿を消した。


「それからだ。仲良い男女3人があそこの教室でじゃれつくともう一人現れて『かくれんぼしよう』って誘ってくるらしい」


「かくれんぼしよう」


「キャァァあ――――――――――」


「天音うるさい」


「だって勇也の怪談怖いんだもん」


「天音騒ぎ過ぎ。全然怖くないから」


 夏休みに入り僕らは暇を持て余していた。そこに幼馴染みに誘われ夜の学校で怪談を行っていた。教室へは侵入出来ず外の校庭で花火をしながらだ。


 僕の名前は新倉勇也。この学校に通う高校2年生。今話した怪談は我が校で本当に起こった事件を脚色した物だ。失踪した女子生徒は未だに見つかっていない。校舎の壁に埋められたともっぱらの噂だ。


 僕の怪談話を異常に怖がっていたのは竜崎天音。その天音に冷めた発言をしていたのは、社みこと。同い年の女の子二人だ。


 僕としては家で引きこもりゲームをしたかったのだが、みことに拉致され強制的に花火と怪談に参加させられていた。『3pよ3p。喜べ』とはみことの発言だ。幼馴染みなんかに何を期待するのやら。


「さっきの怪談。私も聞いたことあるけど、確か残りの三人も非業な死を迎えていないっけ?」


「さあ?聞いたこたない」


「二人とも、もうヤメテ。おトイレ行きたいのに行けないよー」


「学校開いてないからトイレ使えないぞ」


「野ション?一人だと怖いでしょ?私がついて行く?それとも勇也?」


「勇也なんか来たら殺す」


「つうか、校庭でするのか?」


「家に帰るー」


「もつ?」


「もたなーい」


「じゃあ、公園のトイレね」


 僕らの花火&肝だめしは天音の小用のためお開きになる。公園のトイレに移動となった。


「ここ怖いんだよね。みーちゃんついて来て」


「はいはい」


 天音とみことは女子トイレへと消えて行った。仕方なく公園のブランコに腰を下ろし二人を待つことにした。

 日中の炎天下とは違い夜の公園には街灯の明かりしかなく暗い。どんよりした風が流れ多少涼しい?ぐらいだ。


「かくれんぼしよう」


 え?空耳が聞こえる。誰もいないはずなのに『かくれんぼしよう』と聞こえた。もう一度聞こえるかと耳をすます。ただの風の音と虫の音だけが聞こえる。さっきの怪談のせいか風の音や虫の音を人の声と勘違いしたようだ。


「かくれんぼしよう」


 勘違いと決めつけたら再度『かくれんぼしよう』が聞こえて来た。鳥肌が立つ。冷静になれ冷静に。周囲を見回しても人の影もない。いるのは僕と天音とみことぐらい。ん?天音とみこと。僕はピシャリとオデコを張る。ヤられた。アイツらにイタズラを仕掛けられるとは『目には目を。イタズラにはイタズラを』そう思い彼女達いるトイレへ向かった。


「おい。天音。みこと」


 返事はなかった。女子トイレの中に入ることが出来ずただ立ち尽くす。待てども待てども二人がトイレから出てくる機会がなかった。スマホの着信履歴を見ても二人から連絡が入った様子はない。こちらから二人にLINEを流して見る。


『中にいるよ入っておいで』と天音より返信があった。


 女子トイレだよな?入っていいのか?悩む所だか、許可を得たので入ることにする。トイレに入るとひんやりした空気が流れる。トイレの中に入るとそこには誰もいなかった。


「かくれんぼしよう」


「その手には引っ掛からねえよ。主犯はみことだろ」


 僕はトイレの入り口に振り向く。そこにもみことも天音の姿はなかった。代わり『バタン』とトイレのドアが閉まる。ドアが開くかどうか確認するとドアは開かなかった。カギがあるタイプではないので恐らくは外から何かで抑えて開けれなくしているようだ。


「こら!みこと。変なイタズラすんじゃねえ。開けろよ」


 大声で文句を言ってドアを叩くもトイレのドアが開くことはなかった。仕方なく別の脱出方法を考えながら周囲を見渡す。トイレの突き当たりに光取り用の窓が見えた。ここが開けば脱出は出来そうだ。


 窓の方向に進む。ふっとトイレの個室が気になる。個室は4つあり隠れて待ち伏せするには最適のように思えた。手前から一つ一つ開けて行くことにする。カギが掛かっていればそこにどちらかいるだろう。


 手前一つ目を開ける。簡単に開いた。誰もいない。次の個室へ向かう。ここも簡単に開いた。当然誰もいない。変化はないが落書きが見えた。赤文字で『げ』と書かれていた。その文字が気になりもう一度一つ目の個室へ戻る。同じような落書きがあり『に』と書いてあった。『げに?』『にげ?』何のことだかわからない。

 もうひとつの個室も開く。当たり前のように誰もいない。赤文字は書いてあった。『て』て?『にげて』順番に並べると『逃げて』だ。何から逃げる?


 最後の個室を開く。


「うぁ!」


 思わず声をあげのけ反る。そこには誰もいなかったかデカデカと赤字で『かくれんぼうしよう』と書かれてあった。ここまでイタズラされると怖さより怒りが満ち溢れて来る。


「こら!みこと!うぁ!」


 振り向き個室を出るとそこに一昔前の我が校の制服を着た生気のない女子生徒が立っていた。驚き叫び声をあげる。誰だ?みことでも天音でもない。


「かくれんぼしよう」


 女子生徒から話かけられる。すーっと聞こえていた『かくれんぼしよう』はどうやらこの子から発せられたものだったようだ。


ヤバい。ヤバい。ヤバい。絶対に人じゃない。


 美少女に見えるが全身から水が滴り落ちる。まるで三途の川を渡って来たようだ。彼女の行動に付き合うとあの世へ連れていかれそうだ。


「かくれんぼ」


「ピンコン」


 ぼくが『かくれんぼはしない』と答えようとした時、スマホが鳴った。この着信音はLINEだ。こんな時にと思ったがメッセージを確認してみる。みことからだった。


『かくれんぼして。絶対に断わらないで。私を信じて』


 そんな事出来るか。目の前の奴は絶対に地縛霊か何かだ。こんなのに付き合ったら命が無くなる。


「かくれんぼはしません!」


 目の前の女子生徒はクスクスと笑い出した。


「彼と一緒。仕方がない子ね。じゃあ温め合いますか」


 目の前の女は一瞬で裸になり、僕に抱きつく。


「もう、離さないから」


「小百合。僕も離さないよ」


 小百合?誰だ?どうでも良い。幸せだ。僕の意識が遠退く。



 竜崎天音は入院していた。1週間前に夜の池に足を取られて溺れたためだ。一緒にいた社みことによって助けられる。一方新倉勇也は水死体となって上がって来た。


「みことちゃん。私のせいで勇也死んだの?」


「違う。みことと違い、私の助言を受けとらなかったから逃げれなかった」


「あの場で彼女のかくれんぼに付き合うのも勇気がいるよ」


「もう少しで完璧な除霊出来たんだけどなー。次は誰を生け贄にしようっか?」


「みことちゃんヒドイ」


 二人は病室で微笑んだ。


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