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天空城③

「こ、高度3000メートルだって?」


 震えた声を出しながら俺は問い返す。あまりにも馬鹿けた言葉に思考が定まらなかったからだ。


『はいマスター。現在、この天空城は地上より3000メートルの高度を維持して起動しております』


 先程の揺れは恐らく天空城が上空へと飛ぶためのものだったのだろう。

 そうすると…………。


「俺たちはあの転移魔法陣からここに来た。あれはもう起動できないのか?」


 俺は邪神の城に残してきたセレナとアリシアが心配になった。

 ここがどこかわからないので一度戻る必要があるからだ。


『そちらはただいま緊急メンテナンスをしております。終了まで後2時間35分19秒お待ちください』


「き、緊急メンテナンス? そんなのあるの?」


 アリスが引きつった顔をしているのだが、どうやらすぐに戻れないらしい。


「とりあえず慌てても仕方ないようだな。この天空城について色々聞かせてもらえないだろうか?」


 時間が経てば戻れるのなら最悪の状況ではないはず。俺は声の主に色々と質問をすることにした。





「なるほど……。古代魔導文明の遺産……ね」


 話を聞いてみたところ、今から一万年前には高度な魔導文明が存在したらしい。

 その時代は人族が全ての種族を支配していたらしく、空を駆ける乗り物や天候を自在に操るアーティファクト、他にも現代では考えられないような凄い威力のアイテムが大量に存在したらしい。


 だが、その文明は何らかの原因で滅んでしまったらしい。

 それ程の高度な文明を滅ぼす原因はなんだろうか?


 アリスを見てみると深刻な表情を浮かべている。彼女ならば様々な文献を読んでいるので心当たりがあるのではないだろうか?


 とにかく、この天空城は一万年前の高度な魔導文明の中でも突出した魔導装置なのだと声の主は答えた。


「ところでさっきから答えているお前。お前はいったいどういう存在なんだ?」


 明らかにこちらの意図をくみ取り受け答えをしているので意思のようなものがあるのではないか?


『私は天空城の装置全てを統括している人工知能です。正式名称は【エクスぺリウス】となっております』


「わかった、じゃあお前のことはエクスと呼ばせてもらうことにしよう」


『それは……私の名前でしょうか?』


「そうだ。いつまでも名前がないと話し辛いからな」


『わかりました。私の名前を【エクス】と登録させて頂きます』


 喜んでいるのかはわからないが登録してくれたようなので今後はエクスと呼ぶことにする。


「ところでこの天空城って動くんだよな?」


 言い伝えが本当なら空を駆けることができるはず。俺は期待をしながら聞いてみるのだが……。


『はい、天空城を動かすのには全部で三つの鍵が必要になります』


「そうなのか……それがないと動かせないのか」


 無条件で動かせるとは考えていなかったが、そうそう都合よくはいかないようだ。

 俺が落胆しているとエクスは説明を続けた。


『一つはこの天空城を起動するための【帝のペンダント】。これのお蔭で設備全体に魔力がいきわたるようになったので私は動くことができるようになったのです』


「なるほど……」


 ここに来る魔法陣も俺が乗った時は反応しなかったが、アリスがきたことで輝きだしたことを考えるとこの部屋に来るためには必要なのかもしれない。


「そ、そんなとんでもない物をあっさりと私にプレゼントしたの?」


「いや、まさかそんな大層な物だと思ってなかったからな」


 アリスもそのことに気付いたのか頬を引きつらせている。まさか自分が贈られたアイテムが古代文明を起動する鍵だとは思わなかったという表情だ。


「あと二つはなんなんだ?」


 俺が問い返すとエクスはあっさりと答えた。


『あと二つは天空城に防壁を張る【福音の指輪】、天空城を操作する【神杖ウォールブレス】です』


 俺とアリスは微妙な顔をしてお互いを見るのだった。

もしよかったら他に投稿している作品の


『生産スキルがカンストしてS級レアアイテムも作れるけど冒険者アパートの管理人をしています』


もお読みいただけると嬉しいです。こちらは生産チートに題材を絞った作品になりますが、やりたい放題の部分を強調しているのでストレスなく読めるかと思います。


ブックマーク登録頂き評価してもらえると大変嬉しいです。

まだ読んだことのない方は是非お勧めしております。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 邪神もそんな機能を知らなかったのか、それともしてて使わなかったのか 知ってたらもっと他に使いようが有った気がするけどな
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