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盗賊襲撃

 セレナの声で俺たちは馬車の窓から外を覗く。

 すると、そこには数十人程の盗賊がいた。


 行く道を馬車で塞ぎ、俺の馬車を逃がさないようにぐるりと囲んでいる。

 どうやらここで待ち伏せをしていたらしい。


「へっへっへ。大人しくしろよ」


 シミターを肩に担いだ男がそう警告をしてくる。


「見たところ4人か。おいおい、こりゃあまた綺麗どころが揃って……。エルフまでいるじゃねえか」


 嘗め回すような視線にセレナが自分の身体を抱く。その表情は嫌悪感に包まれていた。


「しかも、こいつぁエセリアルキャリッジじゃねえか。売ればひと財産になるアーティファクトだ。まさかこんな獲物がかかるとはついてるぜ」


「お頭っ! 早く奪っちまいましょうよ!」


 いつの間にか盗賊たちは距離を詰めてきていた。ここから馬車を動かすのは不可能だろう。


「まあまて。抵抗されて怪我をさせちまったら勿体ねえ。おいそこの男。お前は見逃してやるから身ぐるみを置いてこの場から失せなっ!」


 自分たちの優位を信じて疑わないのだろう。下卑た笑みを浮かべる男。


「断るに決まってるだろ」


 俺は溜息を吐くと、馬鹿にするような口調で答えた。


「ほう、この人数を前にその態度。余程の馬鹿なのか?」


 盗賊のお頭はシミターを掲げると。


「もういいっ! 男は殺せ。女はアジトに連れ帰るから傷つけるんじゃねえぞ!」


 その命令と共に盗賊たちが動き出す。俺はその動きを視線で追いかけると……。


「セレナ。左側を頼んだ」


「わかったわ」


 遠距離攻撃の手段を持つセレナには敵との距離が離れている左側任せるとして、俺は正面の盗賊たちのリーダーの相手をすることに決めた。


「アリス。お前にも働いてもらっていいか?」


「勿論よ。逆にこのままじっとしていろと言われる方が無理だわ」


「じゃあ、アリスは右側を頼んだ。お前の実力なら問題ないと思うが、無理だけはするなよ?」


 そうすると右側がお留守になるのだが、そちらはアリスに頼むことにする。


「ふふふ、エルト君に認められるのは悪くないわね。要望通り、指一本触れさせないから」


 ついてくる以上は働いてもらうと言っていた通り頼らせてもらった。

 アリスは馬車から飛び出すと、剣を抜き放ち盗賊たちへ斬りかかった。


「エルト。私は?」


 杖を握りしめて不安そうな顔をするアリシア。

 荒事に慣れていないのか、緊張しているようだ。


 俺はそんな彼女に、


「アリシアはここで待機だ。俺が戻ってくるまでじっとしているんだぞ」


 そう言うと馬車から飛び出した。






「ぐわっ! このエルフ! 精霊使いかよっ!」


「燃やしちゃってっ!!」


 左側ではセレナが火の精霊に命じて火の玉を打ち出しては盗賊たちに攻撃している。


「なんだこの女の動きはっ! 目で追いきれねえぞっ!」


 右側ではアリスが縦横無尽に駆け回り、盗賊たちを翻弄していた。



「ちっ! たかが女二人に情けねえ奴らだ。こいつをとっととぶっ殺して俺が片付けてやる」


 お頭はシミターを振りかぶると俺に突進してきた。その巨大な身体をいかして力で制圧するつもりなのだろう。だが俺は剣を頭上に構えて受け止める体制をとった。


「馬鹿めっ! 剣で受け止めようとしてもその細腕でどうにかなるかっ! 脳天をぶちまけてやるっ!」


 お頭がシミターを振り下ろしてくる。次の瞬間。腕に衝撃が伝わってくるのだが……。


 ――ギインッ――


「ば、馬鹿な……。俺の剣を受け止めただと?」


 ハイデーモンやアークデーモンに比べたら全然力も威圧感も感じない。

 俺は涼しい顔をすると……。


「えーと。こっちからも反撃していいかな?」


 そう確認をとると剣を跳ね上げた。


「な、何者だおまえ?」


 驚愕に目を見開くお頭。その恐怖が張り付いた顔を見ながら俺は質問に答える。


「ただの街人だよ」


 次の瞬間、俺はお頭の死角に目にもとまらぬ速度で移動すると――


「はぁっ!?」


 ――お頭の意識を刈り取るのだった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 脳天ぶちまけるって頭の天辺だけでいいのお頭さん? 中身の脳みそをぶちまけた方がいいと自分は思う
[一言] 今更盗賊が出てきてもね……。 RPGの後半でスライム襲来イベントされてもって感じに近いのかなぁ。 実際にはそんなミスマッチ絶対にないんだけどさ。
[気になる点] 首トンか?みぞおちにドスンか?
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