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本当にあった不思議な話

呼声

私の父が不慮の死を遂げた時、親戚はすぐに駆けつけることも出来ず、

亡くなった日と通夜の二日間、私がお線香を絶やさないための寝ずの番を請け負いました。

さすがに二徹は厳しいので、朝6時頃「7時頃お線香が切れていないか見に行ってね」と

娘に伝言を残し、仮眠をとりました。

8時に起きて朝食を作り家族で食卓を囲んでいると

玄関から「おーい」と呼ぶ男の人の声が聞こえてきました。

早くからお悔やみを言いに誰かが訪ねてきたのかと玄関へと向かいましたが誰もいません。

食事を再開し、しばらくするとまた玄関から呼ぶ声が聞こえます。

今度は娘が席を立ち玄関を見てきましたがやはり誰もいないとのことでした。

少々離れたところからくぐもった声で

「こんちはー」とか「おーい」とか呼びかけられているような声が2度3度と続くと空耳かどうか疑わしくなります。

食卓を囲みながら何だろうね、と話し合いました。

その話の流れで「男の人が亡くなると玄関で物音がして、女の人だと台所で物音がする」と言う経験談を私がすると、

いきなり娘が「あ、お線香!」と大声をあげました。

《まさか…》

時計を見るとそろそろ9時になろうかという時間です。

「切れてないか今すぐ見てきて」と言う私の声に従い、娘が遺体を安置している所へと向かい

しばらくして戻ってくるなり開口一番「ごめん、切れてた」

《やっちまったか》

「じぃじ怒ってないよね」という娘に

「夜が明けるまではお線香切らしてないし大丈夫でしょう」と私。

その後呼ぶ声は聞こえなくなったので、父がお線香が切れていることを知らせたかったのだろうと結論づけました。

「こんちはー」じゃなくて「こっちだー」だったのかな。

ただ、同じ食卓を囲んでいた娘にだけは呼ぶ声が聞こえなかったようで、

万が一にも連れて行くわけにはいかないと父なりに配慮したのかなとも思いました。

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