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【033 クーロ小隊編成(前)】


【033 クーロ小隊編成(前)】



〔本編〕

 この時代における最も小さな軍の組織、それが小隊である。

 小隊は九人の隊員と、一人の小隊長によって形成される十人の集団であり、この小隊が五隊で中隊、さらに中隊が五隊で大隊というように集団が大きくなっていくが、これ以上の軍組織については、今回は割愛かつあいする。

 とにかく、クーロは初陣を経て、小隊長に昇格し、九人の部下を持つことが許されたのであった。


 さて、小隊レベルの小集団は、あまり人員を固定しないのが、一般的である。

 戦況にもよるが、小隊の半分以上が負傷や戦死したりするのが常なので、戦いに向かう行軍中に、小隊を編成することが多い。

 小隊長が行軍中に一兵卒を自らの隊に誘ったり、逆に兵卒の方から、小隊長へ売り込みをしたり様々であったが、戦いの前日にやっと小隊のメンバーが揃うなどという事例も珍しくはない。

 クーロとツヴァンソの初陣の際には、マデギリークからの要請で、クーロにはヨグル、ツヴァンソにはムロイという長年の付き人が同じ小隊に所属するという条件はあったが、実際にどの小隊に編入させるかを直接決めたのは、上層部からの指令を受けた大隊長か、または中隊長の誰かであったろう。

 むろん、クーロもツヴァンソもマデギリークの養子ということは皆が承知していたので、そういう意味ではどの小隊長の元でもいいというわけでなく、ある程度実績のある優秀な小隊長の隊に組み込まれたと考えてよいであろう。

 実際に、クーロが所属した小隊の長ヘルリンは、優秀な小隊長であった。

 クーロとツヴァンソが、初陣における一般の兵より優遇されていたのは、付き人の件と、比較的恵まれた小隊に所属できたという点である。

 少し話が横道に逸れたが、一般的に小隊とは、メンバーが固定されないものであった。


 しかし、クーロは自らの小隊のメンバーは、ある程度固定したいと考えていた。

 九人全員といかないまでも、半数に当たる四人から五人程度については……。

 マデギリークの養子で、初めから将軍を目指すクーロとしては、当然、そちらの方が今後のためになると思い、実際、マデギリークもクーロのその方向性については、全面的に賛同し、協力を惜しまなかった。


 さて、クーロの固定を考えているメンバーの一人目が、付き人のヨグルであった。

 既に自分と五年の付き合いがある四十五歳のヨグルは、クーロのことを熟知しており、相談役の上、自分の心の支えにもなれる頼もしくて、さらに穏やかな人物であった。

 マデギリークの側近くで仕え、後にクーロの付き人になったので、戦場での経験はほとんどないが、それでもいざという時は、仕えていたマデギリークとクーロの護衛としての役割も担っていたので、腕にも確かである。

 彼の兵種はソルジャー、第二段階の槍歩兵であった。


 そして、二人目が自分と同じヘルリン小隊に属していたフォル。

 二十歳という若い兵であり、足が速く、クーロが初陣三日目、結果、五つの小隊を連携させて、難敵を倒した際に、近隣の小隊へクーロの元へ参集するよう伝令を務めた青年が、彼である。

 この時クーロは、フォルの足が速いという能力から、彼に伝令を務めさせたが、それぞれの小隊長へ正確かつ簡潔な伝達をし、さらにクーロの名で各小隊長へ伝達した上、さらにクーロの元へ赴き、直接クーロから指示を受けるよう各小隊長に伝えるという感じに、機転もいた。

 その柔軟性のある思考から、非常に優秀な人物であることがうかがえる。

 絶えず変化する戦場において、それぞれの小隊長に接し、さらにクーロの位置を正確に伝えるなど、小規模レベルではあるが、ある程度戦場が俯瞰ふかんできているからこそ出来る芸当であった。

 さいわいなことにフォルは、どこかの小隊の専属では無かったので、クーロはフォルに直接会い、自分の新しい隊に誘った。

 フォルもクーロのその誘いに、大喜びで応じた。


 続いて、三人目がヘルリン小隊で共に戦った一人、ヤンムール。

 ヘルリン小隊で最も腕が立ち、クーロの最初の配置の際に、クーロの右隣が付き人のヨグルで、左隣がヤンムールであった。

 彼は、既に十数回は戦場を経験しており、小隊長に昇格できるほどの戦績を重ねながら、一兵卒の気安さを好み、小隊長になるのを断り続けている人物である。

 彼は、ヘルリン小隊の元で何度か戦場に出ていたので、クーロもヤンムールを自らの小隊に誘うのを、少しヘルリンに対し気兼ねをしていたが、小隊長のヘルリンが快く承諾したので、ヤンムールに誘いをかけた。

 ヤンムール自身も、クーロの小隊へ加わることについて、快く受諾した。


 さて、クーロの新小隊のうち、三人までは、自分の付き人やヘルリン小隊で共に戦った者だったので、比較的楽に誘えたが、クーロが自らの小隊に加えたいと考えている四人目については、そう簡単に誘えるかは疑問であった。

 しかし、その四人目が、クーロが一番、自分の新小隊に加えたいと思っている人物であった。

 四人目は、弓兵のパインロ。

 クーロの初陣であった荒れ地の戦いの三日目で、見事に敵司令官エンテ将軍の四(死)隊長の一人、鉄槌の猛者もさオロルを一撃で仕留めた弓兵である。

 確かにクーロの指示で、突出してきたオロルを三小隊で包囲することは出来たが、オロルの実力から考えて、包囲した兵だけでは倒すことは不可能であった。

 むしろ、オロルを包囲し続けることが困難になりかけていたところであった。

 そのような中、その場に現れたパインロの一矢は、その強敵オロルを一撃で仕留めたのである。

 パインロは、クーロが指令を出していた五小隊の一員ではない。

 実力から考えて、どこかの小隊に属している人物であるはずがなかった。




〔参考 用語集〕

(人名)

 エンテ(ミケルクスド國の将軍)

 オロル(四隊長の一人。鉄槌の兵)

 クーロ(マデギリークの養子)

 ツヴァンソ(マデギリークの養女。クーロの妹)

 パインロ(謎の上位弓兵)

 フォル(元ヘルリン小隊の一員)

 ヘルリン(クーロの所属していた小隊の長)

 ヤンムール(元ヘルリン小隊の一員)

 マデギリーク(クーロとツヴァンソの養父。将軍)

 ムロイ(ツヴァンソの付き人)

 ヨグル(クーロの付き人)


(兵種名)

 第二段階(兵の習熟度の称号の一つ。下から二番目のランク。この称号を与える権限は町や村の長或いは地方領主以上の者が持つ。セカンドランクとも言う)

 ソルジャー(第二段階の槍兵)


(その他)

 四隊長(エンテ将軍の配下の四人。死隊長とも呼ばれている)

 小隊(この時代の最も小規模な集団。十人で編成される)

 小隊長(小隊は十人規模の隊で、それを率いる隊長)

 大隊(中隊五部隊で編成される隊。二百五十人規模の隊)

 大隊長(大隊は二百五十人規模の隊で、それを率いる隊長)

 中隊(小隊五部隊で編成される隊。五十人規模の隊)

 中隊長(中隊は五十人規模の隊で、それを率いる隊長)

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