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71 学校図書室 来訪者

2度目の高校生活が6月から始まってあっと言う間に三月になった。最近ようやく努力が実を結び底辺だった成績が上がってきた。

今日も頑張ってお勉強だ。何と言っても二回目の高校生活、勉強することの大切さが身に染みている。図書室の隅っこの席に座る。

友達は部活にデートに忙しく今日は誰も勉強の邪魔をしに・・・いえいえ遊びに来ない予定。

なのに来たよ、おい。


「モル計算わかってないでしょ?」


笑顔の滝川君。何を隠そう化学の先生にあてられて「わかりません」を連発。というか連続であててくるとか、もはやいじめレベル。

彼とは最近、ごく自然にこうしてよく一緒にいるようになったせいか「付き合ってるの」と言われることもしばしば。

違うとあたしは否定しているけれど、滝川君は「ははは」などと爽やかに笑うばかり。

そのおかげか付き合っても好きあってもないのになぜか公認のカップルぽくなってしまった。風当たりが強くなると思いきや。

逆に誰も何も言いに来なくなった。絡んできた女子もやけにあっさり諦めるのね。もういいや。事実と違うけれどね・・・と開き直りたいが中途半端に良心が痛んでいる。


 金井君は「あいつは腹黒だから止めておいた方がいいよ」という。腹黒かどうかはわからないけれど腹の底が見えないのは確かだと思う。ちなみに金井君と話すときはもれなく渚、由奈、茉奈がついてくるので金井君モテ期説がでているようだ。

あたしは媚び売る女のレッテルをはがすことに成功したようだ。


 それに滝川君が来ると亜弥も高山も視界から消える。なぜか盛んに滝川君との交際をすすめてきた芦原までも。いったいどうしたことでしょう。

ひととおり勉強を教えて満足したのか滝川君は去っていった。お疲れ様です。ふう、次は英語でもやろうかしら、とカバンからノートを出し入れしているとコトンと音がした。

隣に人が座る気配。結構広い図書室でわざわざ人の横に座る必要がありますかね。顔を上げると


「久しぶり、ヒナ」


里沙だった。

えっ、ちょ待っ!里沙って退学にならなかったけ?


「図書室で騒がないでね」


制服を着て忍び込んできたのね。目が笑ってない笑顔が怖い。

そんなことより元気そうだがケガは平気なのかな。


「ケガは大丈夫なの?」

「大丈夫なわけないじゃん。まあ、自転車置き場に落ちたから、この程度ですんだけど。検査検査でたいへんだったよ。まあ、お金出したのうちの親じゃないけどね」


といって含み笑いをする。この話聞きたくないな。多分高山某の親御さんが出しているのでしょうね。

今回ばかりは好奇心も萎える。


「一時期面会謝絶だったでしょ?」

「まあ、頭を強く打ったのは確かだったけど、弁護士の指示?ってやつ」


なにそれオイシイノ。

だいたい全体像が見えてきた。知りたいと思わないけれどね。


「あんた結局翔と付き合ってないんだね」

「ないからそれ!」


きっぱり言い切った。


「翔から、滝川に乗り換えるとかやっばあんた計算高くて腹黒いわあ」


といってケタケタと笑いだす。そんな安い挑発にはノリマセンヨ。

沈黙は金。


「あ~あ、頭打ったとき、あんたみたいに記憶なくなっちゃえばよかったのに。そうしたらあたしだって翔のこと・・・」


まだ好きなんか~い!「やめとけ」とも言えずに黙り込む。


「でさあ、金貸してくんない?10万でいいから」

「はい?」


何言ってんのこの子。脈絡なさすぎでしょ。


「あんたのせいで翔と別れることになったんだから、それぐらいしろよ」

「違うでしょ。それ」


確かに6月以前のヒナは隠し撮りしてたけれど。別れた原因はそこではないよ。


「じゃあ、5万でいいから。あんたんち金持ちじゃん、慰謝料ぐらいはらえよ」

「お金持ちは親であってあたしじゃないの」


そう毎月いただいているお金は親が稼いだものであってあたしが大切に使わなければならないもの。


「ふざけんなよ!おまえ」


いきなり激昂した里沙に胸ぐらをつかまれた。

ひーさすがにこれは怖いよ。へるぷみ~。


「佐藤!何してる!」


担任の山田先生と数人の教師が図書室に駆け込んできた。

誰かが連絡したらしいって・・・真鈴。

彼女が青ざめた顔で立っていた。



その後里沙はどこかに連れて行かれ、あたしは保健室の先生に預けられた。

あたしが落ち着くようにとハーブティーを入れてくれた。しばらくするとスクールカウンセリングの先生が来て少しお話をした。たわいもない話。


また家から迎えが来た。父でも母でもなくもうすぐ高校生になる弟が!って若干15歳にして、すでにあたしの保護者。


「父さんに言ってあいつ恐喝で訴えようか」


口調はあたしを気遣うように穏やかだが、弟がすごく怒っているのがわかる。


「いや、いいよ。一時は友達だったわけだしね」


ごめんね、修、こんな姉さんで。




その夜滝川君から電話があった。


「ごめん。大変な時にそばにいられなくて」


いやいや、謝られる筋合いないし、いいですから。

だめよ、ぜったい、高校生にときめいたりしたら、しっかりしなくては。


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終電のその後で……」ぜひ、こちらも!!
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