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69 芦原と放課後

今日の晩御飯は何にしようなどと考えながら昇降口に向かうと亜弥に捕まった。隣には気乗りしない顔をした芦原がいる。

今日は人気のない。地学室の前に連れてかれる。金井君、ここ人気ないよ。と教えてあげたい。ほんと亜弥ったら、こういう場所選ぶの天才的。


「ねえ、アビスパのことなんだけど」


すこぶる機嫌が悪いようだ。


「あびすぱ?」

「ほら、この間のパーティのこと」


芦原が補足する。


「それが、どうかしたの」


あたしはすぐ帰ったし何もしてないよ。


「何人かパクられたんだよ」

「え?何で」


薬だろうか。


「とぼけてるわけじゃ無いよね。あんたたれ込んでないよね。」


てか、誰が何で捕まったの?それあたしの方が切実に知りたい。


「何をどう?何があったの」


酒やタバコくらいじゃ捕まえないって沢渡さん言ってたけれど。


珍しく亜弥が言葉につまる。だがそれも一瞬で、薄く笑うと


「あんたさあ。何をどこまで知ってんの。なんならあたしの知ってることと答え合わせする?」


と言い出した。

いや、そんなに迫力たっぷりに凄まれても何一つ知らねえよ。

あまりのことにキョトンとなった。


「亜弥、やめときな。ヒナは滝川と付き合ってんじゃない?よく一緒にいるよ。やばいって」


いままでおとなしくしていた。芦原が慌てたように会話に割りこむ。

びっくりして否定しようとすると芦原が何もいうなと目顔でつたえてくる。

亜弥が小さく舌打ちをすると芦原を引き連れて去って行った。とても17歳とは思えない迫力。だから怖いって。





彼女達と別れて学校を出ると芦原からラインがあった。

滝川とまだ付き合ってないのなら、とっととつきあえと。


なんじゃこりゃ?芦原いきなりどうしたし。

十塚駅のドドールで待ち合わせだと?そのセレクト渋すぎない。芦原スタバ好きじゃんどうしたの。

仕方ないので十塚駅に向かった。待つこと15分弱芦原がやってきた。かなり慌てている。


ドリンクを持って席にきた。その勢いで慌ただしくしゃべりだす。


「ヒナやばいよ。教育実習の日向覚えてる? あいつパクられた。そのほかにも幹部と下っ端数人」

「・・・なんで?薬でもやってたの?」


というか何故あなたはあたしにその情報を持ってくるんですかね。


「違うよ、多分そういうやつもいるだろうけど、今回は恐喝と傷害」


日向・・・そんなバイオレンスな感じしなかったけれど。

そんなことより改めて巻き込まれたくない。しかし、好奇心に負ける浅はかなあたし。


「何したの?」


芦原によるとパー券を強引に売りつけたり、アビスの会員費を強引に徴収したりということらしい。


「日向先生もそんなことしてたの?」

「あいつはもっとタチが悪い。気に入らなかったり、いうこと聞かないやつらを道路だの線路だのに突き飛ばしてたらしい」


芦原がおびえたような顔をする。それが本当なら悪戯どころではない。殺人未遂だ。芦原の話によると仲間を使って巧妙にやっているので今のとこ立証できるものが少ないらしい。背筋が寒くなった。

そんなやつが証拠不十分で不起訴になったらどうしよう。警察ガンバレ。


「高山もヤバイみたい。そうそう、高山が里沙と付き合う前から、日向ともできてたんだって」

「ああ、それは知ってるかも」

「うそ!まじでヒナがあたしより情報知ってるってっ!」


なにそれ情報屋のプライドみたいなの。いきなり対抗心剥き出しじゃないの。あたしはその勢いちょっと引きながら


「実習に来てるとき見かけたの」


という。

芦原が「まじか」といつつ悔しそう。あなたいったい何を目指しているのよ。

だが多分、高山は弁護士に守られるだろう。持てるものはいつでもそうだ。


「でさあ。滝川君と付き合えとか、あれは何?」

「ああ、あいつら幼馴染で高山は滝川がむちゃくちゃ苦手なんだって」

「それだけの理由?」


というかどこソース?高山はかなり裕福だ。

敵なしの気もするけれど滝川君に子供の頃いじめられたのかな。いやそれはないな。彼はそういうことをするタイプではない・・・よね、多分。


「あたしが思うに子供のころからの力関係じゃね?滝川、結構いい家の子らしいよ」


説得力としてはいまひとつの気がする。結構いい家って漠然としすぎでしょ。まあいいや芦原だし。

それよりも気になることがある。


「芦原、そんなことあたしにペラペラしゃべって大丈夫なの?亜弥達との関係」

「う~ん、そろそろ切れよっかなって思ってる」


あれ、脅されているのではないの。そんなに簡単に切れるのか。その方法ぜひ知りたい。


「前にね。タバコ吸ってる写真撮られちゃったんだよね。隠し撮りで。それ学校にばれると停学じゃない。推薦してもらえなくなるけど。

あたし、そこそこ頭いいし、一般で受験することにした」

「そこ、よく吹っ切れたね」


すごいな、金井君の情報収集力。その後も滝川君と付き合うことを推された。

でもね。さすがに身を守るために付き合うってどうかと思うのよ。中味アラサーだし、犯罪な気がする。

しかも彼にとってあたし、恋愛対象ではなく観察対象なのデスヨ。



高飛車かと思うと卑屈で二人になると気さく、アンバランスな少女だった芦原はどこかすっきりとした表情をしていた。


もう、家に帰っていいかな。



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終電のその後で……」ぜひ、こちらも!!
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