55 自宅にて
冷蔵庫を開けると近所のパン屋さんで買ったベーグルが一つ残っていた。
それを軽く温めてハムとチーズとアボカドをのせる。さらにマヨネーズとからしをかける。
これ朝ごはんじゃないよ。夜ご飯。ダイエットしているわけではなくてただ食欲が減退してるだけ。
今日理科室でのお茶のあとに学校で猫をかぶっているというか二重人格の村田君に声をかけられた。
里沙のことで。現在、入院中とのこと病院は十塚駅のそばにある救急病院だった。面会謝絶らしい。
村田の話による事故か自殺かまだ分からないとのこと。高山と別れたことが堪えたらしい。亜弥に聞いてみようかとも思ったがそれも躊躇われた。
里沙本気だったのかな。本気だよね、多分。
とりとめもなく考えていると真鈴から着信。
「ヒナ、今大丈夫?」
大丈夫も何も一人暮らしなので問題ない。
「なんか結構あんた噂されてるよ」
「あー、滝川君のことでしょ」
「付き合ってんの?」
「違う違う。ないから、そんな話」
「いろいろ目撃情報が出てるんだけど」
「お茶しただけだから」
「だから、なんでそういう流れになったし」
「ああ、なんでも滝川君心理学に興味があって、あたしが突然性格が変わったのが興味深いみたいだよ」
「いやさ。それあたし的には面白いけど。まわり納得しないよ。てか今日は金井と理科室でお茶してたでしょ。それも噂になってるよ」
「そんなことまで?」
ああ、面倒くさい。滝川君と仲良くしていると嫉妬されるのはわかるけど。金井君はどちらかというと女子に馬鹿にされてないか。
「金井さ、プログラムでなんか賞とったらしいよ。実は結構有名人なんだよね」
「え?知らなかった」
「ハッキングとかも得意って噂がある。その道では知られてるんだってさ」
「そうなの?」
実はハイスペックなのね。
「だからあ、気を付けないと。また言われてるよ。媚びてるとか」
「それは駄目だね。二人に迷惑かけちゃう」
「そこかい!」
「いや、それだけじゃなくて、滝川君のファンの女子面倒くさいし。ほんとに付き合ってるわけでもなく話してるだけなのになあ」
思わず愚痴ってしまう。
「じゃあ、いっそのこと彼氏つくったら。どっちかと付き合えばいいんじゃん」
「あはは。ないない。たぶん二人ともあたしのことそういう目で見てないよ」
「なんかあんたって不憫な子だね」
女子高生に同情されてしまった。




