50 図書館にて
図書室に行くと物凄珍しいことに矢部がサクサクと本の整理をしていた。
肉体労働のせいか授業中より生き生きしている。
あれ?矢部サボったから、あたしが呼ばれたんしゃないの。
新田君を見ると苦笑い。
「佐伯。今度、委員会の予算のレジュメ手伝ってね」
滝川君がいい笑顔で言った。
何というかフォローありがとう。
「三宅たちと揉めてる?」
あの状況を見ればそう思うよね。
「揉めてるってほどのことじゃないけど。
里沙が学校来てなくて。心配みたい」
「心配?三宅が?
なんで佐伯にきいてくるんだろう。
最近、佐藤とは付き合いないよね」
よくご存知で。
まあ、里沙は目立つからな
「うん、まあね」と言葉を濁した。
「せっかく、切れてきたのに。
やめときなよ」
ちょっとびっくりした。
滝川君がそんなこと言うとは思わなかった。
あまりあたしに深入りしない方がいいんじゃないかな。
「こっち来て」
滝川君に図書室の隅に連れていかれた。
このパターンは多分ロクでもない用事だな。
「高山にちょっかい出されてる?」
図星すぎて言葉に詰まった。
「佐伯、ちょっとこのあと付き合って、
ああ、デートっていうんじゃないから、安心して」
とにっこり笑って、返事もきかずに行ってしまった。
「ヒナさん」
後ろからいきなり声をかけてられて、心臓が跳ね上がった。
書棚に潜む影。
「え!金井くん」
「あれ、絶対デートだよ。
ヒナさんあいつとデートするの、やめといた方がいいよ。
すっぽかして僕と理科室でコーヒー飲まない?」
「理科室・・・なんで?パソコン部じゃなかった」
「パソコン部と理科部は同志だからね」
「ふふふ」と不気味な笑みを浮かべた。
こう見えても金井君はナイスガイだ。
たよりになるとこともある。
理科部・・何の同志だろう。
想像はつくかな。つくな。聞かないでおこう。
「デートじゃないって。なんの話かきになるから行ってくる。コーヒーはまた今度」
「いつ」
食い気味のきいてくる。なんと物好きな。中味アラサーのおばちゃんだよ。
「明日でいい?」
金井君が嬉しそうに笑うといつもの陰気さが霧散した。
その笑顔でいればいいのに。
小柄だがよくよく見ると素材はいい。
「でもヒナさん、最近変な方向に行ってない?
いまのヒナさん何だか危なっかしいんだよね」
高校生男子に言われてしまった。
情けなさ過ぎる。
「あんま高山たちと関わらない方がいいよ」
的確な忠告ありがとう。




