44 学園 屋上にて2
高山君もとい高山は感情の切り替えが早く
怒りをコントロールしたようだ。
激することもなく、ときに微笑み、ときに意地悪に
あたしとのとの会話を楽しんだ・・わけないよね。
かいつまむと
里沙と別れてあたしと付き合うという内容。
なぜそうなった。
「だってさ、高山あたしのこと嫌いでしょ」
ダイレクトに聞く。
「別に嫌いってほどでもないよ。
しいていえば気にならないかな」
とさっきとは打って変わって爽やかに笑う。
でも目が怖いよ。
しかもそれあたしのこと完全に嫌いでしょ。
「無理やり感はんぱないんだけど。
里沙のが美人だし、このまま付き合えばいいんじゃないの?
だいたい高山面食いでしょ」
一瞬彼の顔が引きつるがさっきみたいに怒りをぶちまけてこない。
というか余裕の笑みを浮かべる。
「なに佐伯?『そんなことないよ。ヒナだって十分可愛いよ』とか
いってほしいわけ」
おっとこれはあたしの失言。
もうヒナとは呼ばないのね。
「そうだね。かわいいとか言われたら嬉しいかも」
否定すると面倒なので思ってもいないことを口にして
話をちゃっちゃとすすめる。
あれ、高山ドン引きしている。
「でもさ、高山とは付き合えないよ。女子を敵にはまわしたくないから」
こんな風に大人の対応で切り返せばよいのかな。
高山がなにやらつぶやきながら舌打ちする。
対応間違えたかしら。
「里沙はさ。俺と釣り合わないんだよ」
え?何言っているのこの子、あなたたちお似合いじゃない。
見た目といい。そのちょっぴり邪悪な性格といい。
話が見えなくてポカーンとする。
「あいつ育ちが悪いんだよ。金ないし。
自分美人だと思って、男にたかるし、ブランド物ばかりせがむし。
こ汚い場所に住んる貧乏人のくせに贅沢ばっかりしたがる。
ほんと馬鹿なやつ。
だいたい彼女面が鬱陶しい。
俺はあいつのアクセサリーじゃない。
身のほどをわきまえろよって感じかな。
俺、一応医者の息子だし。
で、お前弁護士の娘だろ?そういうことだよ」
顔がいいのに性格が超絶残念なのが口惜しい。
あたしは拳を握った。
振り上げたら負け。
まあ、肉弾戦で勝てるとは思わないけれど。
「で、今回は里沙をミスコン2位にして。優勝者なしってことにしたわけ」
にっこり笑って肩をすくめる。
言っていること屑で腹立たしいが
容姿が良いのでひとつひとつの仕草が様になってる。
しかし、そこまで細工できるってことは・・・
「高山がパーティの主催者なの?」
リーダーなのかな。
「そういうこと興味持たないほうがいいよ。
長生きしたかったら」
彼のほの暗い笑顔と脅しとも取れる言葉に背筋が粟だった。
 




