28 学園 今日も平和?2
作成した資料を印刷して運ぶ。紙って結構重いのね。いったん印刷したものを空き教室で仕分けして、クリップでとめ、また職員室にもっていく。
「助かったよ。佐伯がいて」
爽やかな笑顔でいう。
「思ったんだけど。委員会のひとたち、誰も手伝ってくれないの?」
「あはは、いないよ。俺、人望ないから」
そんな残念なこと明るくはっきり言わないでほしい。多分、人使いが荒いからじゃないかな。
「おう、滝川、一人で大変じゃなかったか?」
「先輩、すいません。あたしお手伝いしたかったのに・・・。」
あれは確か2組のクラス委員ともう一人は1年生かな。ちゃんと人望あるじゃない。
「いいよ。たいしたことじゃないから。佐伯が手伝ってくれたから大丈夫」
「悪いね、ヒナちゃん」
馴れ馴れしいな、ヒナちゃんとか。それとも交流あったのかな。家のパソコン画像チェッしよう。
「ああ、でも仲いいよな。二人」
「そういうんじゃないって。佐伯が放課後いつも手持無沙汰にしてるから、声かけただけだよ」
ほんと便利に使ってくれてありがとう。
「えー、ほんとかよ」などど男子二人がじゃれだした。その隙をつくように
一年生女子がわたしの横にきてこそっという。
「佐伯先輩は部外者なんですから余計なことしないでください。こんどはあたしがやりますので。つぎは手伝わなくていいです。」
はいはい。
「村田、そんな言い方しないで。半ば強引に俺がお願いしたから」
苦笑しながら、わたしのフォローをする。聞こえてたのね滝川君。そのフォローはうれしいけれど。一年生女子が恨みのこもった目でみている。なんだかんだ押し付けられるとはいっても、いつもこの絶妙なフォローに甘えてしまうので、気を付けよう。
わたしが即座に気の利いた切り返しができればよいのだ。滝川君に好意を持っている子たちからしたら、わたしが彼女面しているように見えるのかもしれない。などと職員室前の廊下でつらつらと考えている。お隣の応接室のドアが開いた。
あれは確か三宅亜弥、里沙の仲間だ。そして2組の担任。その後にダークスーツを着用した中年のがっしりした体格男性と背の高い若い男性が続いた。あのひとどこかで見たことある。
短く髪を刈りこんで、きちんとひげをあたれば・・・まさかね。学校までこないよね。
「どうかした?佐伯」
「え?ああ、ぼおっとしてた」
「平気平気」などと言って適当にごまかした。




