2わたしの前世!?
あれは6月だというのに、殺しにかかってるのかと思うほど
暑い日だった。
年齢イコール彼氏なし、いわゆる喪女のわたしは、ガソリンスタンドのバイトを断られて気落ちして歩いていた。バイトすら高齢・汚職歴だからことわられるのよね。なれているけれど。
こうなる前はどんぶりものの店でバイトやってたいたが、お皿割るたびに給料から天引きされる。おかげでとうとう今月の稼ぎは7万切った。フルタイムのバイトで7万とかないわ~。これ、どうやって暮らすのよ。家賃4万のぼろアパートに住んでたがいよいよ家賃も払えなくなるかもだわ。
という事情なので転職のための職探しといいたいところだが、先週バイトを首に。
発端は「バイト今回が初めてです」っていう眩しい感じの高校一年生女子が新しく入ってきったことにある。笑顔がチャーミングでまわりの受けもよかった。みんなチヤホヤして忙しい中でも店長も男性バイトも手取足取り教える。
私の時とはずいぶん違うじゃないの。
しかし、職場が明るくなったのは確か、ちょっとうれしかった。その3日後、彼女がいきなり店のどんぶり45皿割った。洗い場に彼女と私の二人しかいなくて「どーしよう・・・」涙目の彼女にいいいところ見せたくて姉貴ぶりたくて・・・。「大丈夫。あたしがかぶるから」なんて頼りがいのある笑顔で安請け合い。
そして閉店後。
「じゃ、あんた累計50皿割ったからくびね。」と店長の宣言。
「え?うそ・・・そんなん就業規則ありました?」
焦って抗議する。
「あるよ。サインだってしたじゃない。あんたが聞いてなかっただけじゃない。」
以降店長の説教割愛。
せっかく仕事だって慣れてきたのに6か月で、くびとかないわ。まあ過去をグダグダいってもしょうもない。現実に戻ってバイト探しだ。
しっかし暑いな。駅まで続くあついアスファルトの上を延々と歩く。帽子被ってくればよかった。
バイト探しで日焼けするなんて洒落にならないよ。道路には車は走れど歩道にはひとっこひとりいない。とそのとき「おばさん」と呼ぶ声がした。ついうっかり振り返ると、近所の中学校の制服をきた男の子達が5,6人私を見て
「振り返ったよ」
「やっぱ、おばさんじゃん」
などどいい笑っている。おいおい、君たちだってあっと言う間におじさんだぞ。彼らにとっては他愛のないいたずら、無気になるのも大人げないし、何より暑くて相手にする気にもなれない。前を向いてサクサクと歩き出す。そうそう下を向いて歩くからなめられるのだな。
前を向こう。
するとまた「おばちゃん」と呼ぶ声。またかよ。今度は何だよ?と思った瞬間。体がすとんと落ちた。激痛。意識が薄れるなか、遠くから水音が聞こえた。ああ、マンホールに落ちたのね。
ブラックアウト。