再びの自分探し1
今日は土曜日。朝起きると外出日和だった。昨日遅くまでパソコンの画像と動画を調べてあたしは寝不足ぎみだ。軽く朝食をすませるとお着換えだ。長めのチェックのスカートに白いシャツにスカートと同系色のカーディガンを合わせる。
高校生の休日のお出かけはこんなものだろう。これはわたしが新しく買ったものだ。ヒナの私服は着る気になれない。なんかこの子ロリータ系好きなのよね。なんで太めの子ってこういうの好きなのかしら。しかも目立つし。そうかと思えば隠密行動に使うのかと思うほど地味な服もあっし・・・・。
自分が転生する前に暮らしていた町に降り立つと懐かしさが、こみあげてくるのかなと思っていたが全くそのようなことはない。道はこっちだったかな、あっちだったかななどと記憶をたどりつつ駅から15分ほど歩いた。商店街も店が数件かわっていたりなどという変化はあったがそれほど記憶とは違ってはいないようだ。
住宅街に入り、緩い坂を上り、左手に曲がって真っ直ぐ歩く。あった!良かった実家のようになくなってはいなかった。むき出しの鉄さびの浮いた階段。手すりに田中荘と古びた看板がかかっている。ボロボロの2階建てのアパート。今の住まいとは大違いだ。
私の部屋は二階だ。階段の下に郵便受けがある。203号室を見てみると名前は入っていない。郵便物を調べてみようとかとも思ったが、鍵がかかっているし、なにより犯罪なのでやめた。階段を上るとカンカン、ギシギシと音がする。そうそうこの音仕事で夜遅くなったとき気を使った。そして203号室の前にきた。で?どうする前の住人について聞いてみるか?ちょっとは不動産屋から聞いているかもしれない。いやいやとなりとか周りの住人い聞いてみたほうがよいのか。でもそれ不審者扱いされないか?などと迷っているとカンカンと階段を上ってくる音が聞こえてくる。
誰かかえって来たようだ。
ここでうウロウロしていてもしょうがない。顔を階段の方に向けると大学生くらいの男性が怪訝そうな顔でわたしをみてた。
「あの、ちょっとすみません。。
この部屋に前に住んでいたいた人のことおききしたいんですけど」おずおずと切りだしてみる。
「今そこにすんでんの俺だけど」
む、この人がこの部屋の新しい住人か。
「そうですか・・・。3年前にここに住んでいた人のことなんでけど。何か知りませんか。あの大家さんから何か聞いているとか。」
というと男性は203号室へつかつかと歩み寄って鍵をあけた。
「なんか知らないけど、困りごと?」
ドアを開ける。
「なんだったら、はなし聞いてあげるよ。なかでコーヒーでも飲んでかない」
もとは自分の部屋とはいえ男性の部屋にあがってよいものかどうか。
「なにか力になれるかもしれないし」
腕を軽くつかまれた。何だか馴れ馴れしい。止めておいた方がいいな。
「いえ、結構です」
するといきなり強い力で引きずられた。慌ててドア枠にしがみつく。
「わああ、ちょっとなにすんの!」
叫んだ瞬間隣の部屋のドアが開いた。
「ちょっとあんた何やってんだ。女子高生連れ込んで」
どすの利いた男の声。
「知らねえよ。こんなブス、勝手に上がってくんじゃねえ」
と言って大学生風の男はわたしを突き飛ばし大きな音を立ててドアを閉めた。何なら塩でもまきそうな勢い。ふう、ひどい目にあった。ふと視線を上げると目が合った。目つきの鋭い男と。デジャヴだろうか・・・。前にもあったような。
「ちっ、ガキが」
おお、このガラの悪さ、感じの悪さ覚えがある。わたしはスカートの裾をパンパンとはたき立ち上がる。
「あの、何か御用でしょうか?」
「ああ?御用でしょうか?じゃねえだろ。昼ひなかから何やってんだ。こら」
ぱこんと頭をはたかれた。




