3-13
「着きました」
と、イフが、言った。
俺たちの目の前には、三階建ての建物があった。
(広さは……スーパーマーケットぐらいか)
俺は、何とはなしにそう思った。
ふと近所のスーパーのことを思い出していた。
生鮮食品の評判は今一つだがメーカー食品が激安という地域密着型のスーパーである。
(いつも混んでいたな……)
激安が売りなものだから、県外からわざわざやってきて大量に買っていく人たちもよく見受けられた。
駐車場に停まっている車のナンバープレートも、市内のものが少なかったほどだ。
レジには、どう見ても家庭用ではないくらい大量に買い込んだ飲食店を経営していそうな客が並んだりしていた。
俺も、たまにカップ麺やスナック菓子やジュースに買いにいったものだ。
俺は、ギルドの建物の前で立ち止まっていた。
(何で今こんなことを思い出しているんだろう……)
と、俺は、思った。
今このようなことを思い出すことと、入ろうとしているギルドとの関連性は少なそうだし、そもそもたいした意味もないはずである。
変な感覚だ。
フラッシュバックのように、スーパーでの買い物の記憶から、日常生活の様々な場面が思い出された。
ふいに妹の港と手を繋いでスーパーに買い物にきているビジョンが、頭に浮かんだ。
湊はにこにことほほ笑みながら、俺に何か言っているのだが、俺にはそれが聞き取れなかった。





