3-6
(迂闊……)
教科書通りマニュアル通りだと、こういう結果に陥るのである。
(……ままよ!)
俺は、心中刮目した。
踏んでしまった轍は仕方がない、そのまま押しきるのみだ。
「パートナーになろうっていうんだろう、冒険者のパーティーを組んで」
と、俺は、声量大きめに言った。
俺の堂々とした物言いに、イフは気圧されたように、
「……は、はい」
と、俺の顔を見た。
「だったら、堅苦しいのはなしだ。収集のクエストのように安全めのものばかりじゃない。モンスター討伐のクエストのような危険なものだってあるんだ。背中を預けられるやつとじゃなきゃ、パーティーは組めない」
なけなしの覚えたての知識全部のせの投げかけである。
言っている自分が苦しくなってくるほどだが、信頼こそが胆だというのは、俺の本心だ。
イフは、神妙な面持ちで黙っていたが、
「失礼しました。さきほどの呼び捨ての一言に、それほど深い意味があったとは……試されていたのですね、私は……洞察が足りませんでした」
と、言った。
(そこまで深い意味もなかったんだが……)
しかも、目からうろこのようなイフの真正直なきらきらとした視線を感じた。
「……そんなところだ」
内心どんなところだと自分にツッコミながら、俺は、首肯した。





