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「……思い……出したよ」


 エストは、俺の次の言葉を、黙って、待っていた。


「俺は、トラックに撥ねられて、死んだんだな」


 と、俺は、言った。


 思い出した、自身の身に起こった出来事を口にすると、なぜか他人事のように、聞こえた。


 しかし、この記憶が正しいのならば、まぎれもない事実である。


 俺は、こうして、普通にしゃべることができるし、手足も自由に動かすことができるし、そういうことが、俺を、事故にあったという実感から、遠ざけているのかもしれなかった。


 俺の言葉に、女神エストは、沈痛な面持ちで、


「はい。そうです」


 と、短く、言った。


 広大な青空の空間に、一陣の風が、吹いて、エストと俺の髪を、揺らした。


(俺は、今、どこにいるんだ?)


 俺は、自身の服を、見た。


 俺の服装は、最後の記憶の時と、同じだが、あれだけの事故にもかかわらず、どこも傷んでいないし、血も一滴も付いていない。


「あの女の子は……」


 と、俺は、どうしても気になる一言を発して、途中で、言い淀んだ。


「女の子は、助かりました」


 エストの言葉に、俺は、胸のあたりが、温かくなったように感じて、つかえが、静かにとれていくようだった。


「……そっか」


 とだけ、俺は、言った。

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