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そして、騒動の時に発現した俺の能力の問題がある。
あのコマンドをなぞって力を振るうという能力のことは、格闘ゲームのコマンドに近い性質をもつということ以外、俺自身よくわからない。
あれだけ便利というか都合のよい能力なのだから、何らかの制限があるのかもしれない。
格闘ゲームでも、重要なダメージソースである超必殺技は、ゲージが溜まっていないと使うことができないなどの制限がある。
俺の能力が、格闘ゲームの仕様に類似点があるのだから、そういったことも十分に考えられるだろう。
あの時視えたコマンドは、236+大K、6+小Pだったが、他のコマンドがどうなっているかも気になるところだ。
とりあえず、俺の能力という表現も冗長すぎるので、当面"入力実装"と命名したい。
誰にと言うわけでもないが、笑うことなかれ、男子とはこういう気恥ずかしい一面を持っているものなのだ。
小学生の時を、思い出してほしい。
野球やサッカーやドッジボールをやったことはあるだろう。
その際の投球だか打法だかシュートだかの際に、必殺技と称して名前をつけたりしなかっただろうか、そのような諸兄は必ず存在するはずである。
(黒歴史と呼ぶことなかれ……いや、実際はそうなのかもしれないが、若気のいたりで片付けよう)
必殺技名を叫んでの渾身の一球は、かくのようにお約束なのだ。
以上のように色々と述懐してみたが、俺の"入力実装"をどう駆使するかが、今後の課題になるだろう。
二日目が、終わろうとしている。
(残りは、後九十八日か)
と、俺は、考えた。
変わらない突きつけられた事実である。
(休もう……)
またたく間に睡魔が襲ってきて、俺は、眠りに落ちた。





