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伝言ゲームのとてつもなく駄目なパターン、何か間違った伝聞の生成過程を、目の当たりにしているようだ。
「……そう、だよね」
俺のツッコミに、アカリは、なぜかほっとしたように呟いた。
「ソラ君にお嫁さんがいるんだったら、私がどんなに頑張ったって……でも、そっか……よかった」
アカリが何やら呟いていたので、俺は、
「何がよかったんだ?」
と、聞いた。
「う、ううん! 何でもないよ、何でもない」
俺の問いかけに、アカリは、慌てて両手をぶんぶんと振った。
「顔が少しあかいけど、大丈夫か?」
「そ、そんなことないからっ! そんなことないよ、気にしないで」
顔のほてりを抑えるように、アカリは、両手を頬に当てていた。
(そろそろ眠ることにしよう)
と、俺は、思った。
「じゃあ、お休み」
「うん。お休み、ソラ君。いい夢みてね」
俺は、アカリに案内された部屋に入るなり、ベッドに横になった。
スプリングベッドのようにふかふかしていて、心地がよかった。
俺は、天井を見上げた。
「疲れた……」





