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「街の商店街の商品券だね」
と、アカリが、言った。
今晩の宿を決めていないと言った時に、イフが、今日のお礼と依頼の前金ですと渡してくれたものだ。
依頼というのは俺と冒険者パーティーを組むということなのだが、俺にとっても利があるわけで、ウィン・ウィンの関係にもかかわらず金銭を受け取ることには抵抗があった。
ちなみに、話の流れで、俺の所持金が100ネカのみということも、イフに伝わってしまった。
それでは子供のおやつしか買えませんよというイフの指摘に、俺は、ぐうの音も出なかった。
結局、クエスト達成の際の報酬の前受金ということで、俺は、ありがたく商品券を受け取ることになったのだった。
(今夜も、野宿は免れたみたいだな)
何だかんだで、俺は、心中ほっとしていた。
「5000ネカ分の券だから、いくつか部屋を選べるけれど、どうする?」
と、アカリが、聞いた。
「一晩3000ネカから選べるんだよな」
「そうだよ」
「じゃあ、それで頼む」
「わかった。じゃ、部屋を用意するね」
アカリは、笑顔で頷いた。
「それはそうと、ソラ君。今日は、街で大活躍だったみたいだね」
チンピラたちとの一件が、既に街の噂になっているようだった。
(あれだけの騒ぎだったら、当然か)
と、俺は、思った。





